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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu164.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米国の成長エンジンだった金融業界の「メルトダウン(溶融)」
が進み、世界の「ドル離れ」も止まらない。ベアー社の次はどこか?
2008年3月18日 火曜日
◆米経済緊迫 証券資金難「まるで山一」 3月18日 朝日新聞
http://www.asahi.com/business/update/0318/TKY200803170397.html
低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題に端を発した米国の金融危機は、米大手証券の一角を淘汰(とうた)にまで追い込んだ。バブル崩壊に伴う金融システム不安の広がりは、「日本発の金融危機が起きる」と世界が懸念した10年前の日本とよく似た構図だ。今度は米国発の金融危機が世界経済を覆おうとしている。
「ベアー・スターンズの後ろ盾になる」。米証券大手ベアー社の買収を急きょ発表した米銀行大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者(CEO)は16日夜、金融不安の拡大を食い止める姿勢を強調した。
その「救済合併」の内容は、金融関係者に大きな衝撃を与えた。
株式交換方式で行う買収額は、ベアー社1株当たり約2ドル。10日前に70ドルだったベアー社の株価が二束三文の価値に落ちた。「ベアー社の次はどこだ」と市場は早くも疑心暗鬼だ。
「まるで97年に自主廃業した山一証券を見るようだ」。当時を知る日本の金融関係者たちは、「退場」を迫られたベアー社の窮状をみて口をそろえる。日本が金融危機にはまりこむきっかけになった山一も、民間金融機関同士が資金を貸し借りする短期金融市場が破綻(はたん)の「引き金」を引いたからだ。
ベアー社は当初、今月20日に発表する予定だった07年12月〜08年2月期決算で当期黒字を見込んでいた。「手元資金は十分」と経営トップ自ら繰り返していたにもかかわらず、資金繰り難のうわさから13日に金融機関が取引から手を引き、350億ドル(約3兆4000億円)規模とされた手元の資金が一気に干上がった。黒字なのに資金繰りがつかなくなり、事実上の倒産に追い込まれた。
「信用不安に陥った米大手証券にお金を出すのは、もはや中央銀行の米連邦準備制度理事会(FRB)ぐらい。民間同士での資金の融通は難しくなっている」(大手邦銀)。ベアー社を破綻に追い込んだ米金融市場は緊迫の度を増している。
最新の金融技術を駆使し、巨額の利益をあげてきたウォール街の米大手金融機関。ブッシュ政権の景気刺激策と金融緩和政策を背景に起きた住宅バブルにのり、返済能力の低い低所得者向けへの貸し出しにのめりこんだ。
貸出金は証券化商品に形を変えて他の金融機関に売り飛ばされたが、貸し倒れがいったん発生すると、金融機関は保有する証券化商品を「投げ売り」し、価格下落に拍車がかかり、また損失が拡大する。さらに貸し倒れの少ない優良ローンに懸念が広がり、その損失を保証する保険契約にまで飛び火した。
市場を信用不安の波が襲うのは昨年夏、昨年末に続いて今回が3度目。その度にFRBなどが大量の資金供給などでしのいできたが、問題は解決せず、波は大きくなるばかり。そして今回、証券化業務を手広く手掛けていたベアー社が「標的」となり、のみ込まれた。
昨年7月、「最大1000億ドル(約9兆7000億円)」(バーナンキFRB議長)とされたサブプライム関連の損失だったが、米エコノミストの間では「金融業界全体の損失は1兆ドル(約97兆円)」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)との見方も出ている。現実ならば、米国内総生産(GDP)の約7%にあたる規模だ。
米国の成長エンジンだった金融業界の「メルトダウン(溶融)」が進み、世界の「ドル離れ」も止まらない。米景気は「すでに後退局面に入った」との見方がエコノミストの間では主流となりつつある。
◆ドルの崩壊が近い 3月18日 田中 宇
http://tanakanews.com/080318dollar.htm
これは金融機関が資金難に陥ることを防ぐ政策として行われているのだが、金融機関が陥っているのは資金難ではなく、担保割れなどの資産価値の下落であり、債務超過である。資金難は、資産は十分持っているのだがすぐに現金化できない時に起きる。これは緊急融資や、融資を誘発する利下げが対策として有効だ。しかし、資産そのものの価値が下がっているのだから、緊急融資や利下げは解決策にならない。潰れる直前の延命策以上の意味はない。
3月16日にベアスターンズのたたき売り的身売りが決まり、その余波としての危機悪化が週明け17日の世界の金融市場に広がらないように、米連銀は17日のアジア市場が開く直前の時間帯に、貸出金利を0・25%引き下げる発表をした。連銀は、3月18日の定例会議では、短期金利も大幅に再利下げすると予測されている。連銀は、銀行の資金難解消という、見当違いな対策にこだわる道を突き進んでいる。
◆クレジット市場の回復は米住宅市場の安定化次第=グリーンスパン氏 3月6日 ロイター
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080306-00000749-reu-bus_all
[ニューヨーク 5日 ロイター] グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は5日、世界のクレジット市場の回復は米住宅価格の安定化と住宅在庫の大幅削減にかかっているとの認識を示した。ドイツ銀行の顧客との電話会議で語ったとして、会議に参加した関係筋が明らかにした。
グリーンスパン氏はまた、クレジット危機の原因について、リスクが全般的に過小評価されたことや、米住宅バブル崩壊後に住宅価値評価が損なわれたことで、昨年クレジット市場全体をめぐって懸念が広がったためと指摘した。
同氏は「米住宅価格安定化の時期が早ければ早いほど、すべての問題解決も早まる」とし、回復の兆しが強まるためには、過剰住宅在庫の減少が必要との見方を示した。
また、企業は記録的な規模の自社株買い戻しを行っており、バランスシートも比較的良好な状態にあると指摘。「(回復まで)先はまだ長いが、少なくとも回復への兆しが幾つかみられる」と述べた。
グリーンスパン氏はドイツ銀行の上級顧問を務める
(私のコメント)
グリーンスパン前FRB議長は現在の状況を戦後最大の金融危機と表明しましたが、住宅バブルを起こした張本人であるだけに説得力がある。日本のバブル崩壊も土地の暴落が収まらない限り続いてきた。日本の金融機関を初めとして各企業も債務超過の危機に襲われましたが、これは社長と経理担当者しかわからない。
ベアー・スターンズ社もほとんどの社員が当日の朝になって事実を始めて知ることになる。単なる不況や資金ショートなら金融緩和で危機を回避できるが、手持ち資産の下落は債務超過をもたらすので「飛ばし」でもしない限り避けられない。あるいは大幅な自己資本の増強で回避できますが、ベアー社の場合も中央銀行からの資金でJPモルガンに買収される事になった。
いわば日銀特融のようなものですが、これからはアメリカの金融機関は公的資金で次々救済されることになるのだろう。「株式日記」でも金融機関の不良債権を簿価で買い取って救済せよと主張してきましたが、金融危機は公的資金によって救済されるのが常識だ。
しかしそれが常識となってしまうとS&L危機のようなモラルハザードがおきるのであり、いったん救済されると何かあっても公的資金で救済されるとあてにするようになってしまう。山一が自主廃業に陥ったのも以前に日銀特融があったからであり、腐敗した経営体質が温存される元になりやすい。
90年代から00年代の日本のバブル崩壊においては、金融庁の厳格査定によって都市銀行が次々合併に追い込まれましたがこれはやりすぎだったと思う。金融庁はアメリカの出先機関のようになり、マスコミもダメな企業は潰せと30社リストまで出回った。堕落した企業はほっておいても潰れるものであり、政府日銀の政策ミスによるバブル崩壊の犠牲となった金融機関は救済するのが筋だ。アメリカもおそらくそうするだろう。
根本的には時価会計に問題があるのであり、不動産のような物件は取得価格で評価すべきであり、アメリカのように時価会計であっても格付けがデタラメであるとアメリカの金融機関も内容が不透明なものとなり、次はどこかと疑心暗鬼になってしまう。要するに時価会計であっても取得原価であっても不動産が乱高下すれば会計制度はおかしくなってしまう。
グリーンスパン氏が言うように住宅価格が安定すれば金融危機も収まるのですが、過剰在庫は人口がそれだけ増えないと解消は難しい。最初から投資目的で住宅を取得した人も大勢いるから、取り壊して更地にしてしまうのが一番手っ取り早い方法だ。
このように今回のアメリカのバブル崩壊は日本と共通性が多いのですが、円とドルとでは通貨価値が大きく異なっている。ドルは基軸通貨であるので対外的借金はいくらでも返せる。実体経済の規模に関わらずドルは毎年15%も増え続けた。このようにマネーだけが実体経済からかけ離れて増え続ければ、その歪みはインフレとなって調整されなければならない。そしてアメリカはインフレを世界中にばら撒いている。
そのために世界はインフレになり金利を上げているがアメリカは金利を下げている。アメリカの金融緩和は世界のインフレを加速させてドル安を加速させる。97年のアジア金融危機のときは、IMFはタイやインドネシアや韓国などに金利を上げさせて経済をパンクさせた。いまはドル危機に対してIMFとはまったく逆のことをアメリカはやっている。
アメリカの大手金融機関が倒産した事で信用不安はますます広がりアメリカからマネーが逃げ出してドルは暴落する。投機筋からドルが売り浴びせられて金利を上げざるを得ない状況に追い込まれたらアメリカもいよいよアウトである。ジョージ・ソロスは92年のポンド危機の時はポンドを売りまくって大儲けをした。今やドルを売り崩して儲ける時が来たのだろうか?
90年代はドルに代わる基軸通貨がありませんでしたが、今はユーロが基軸通貨に変わりつつある。今起きているのは92年のポンド危機と同じであり、ポンドの仇をユーロが討った形となるかもしれない。ポンド危機もアジア金融危機も今度のドル危機も投機筋に狙われてきましたが、アメリカは国内状況から金利を上げられないのは確かだ。だから当面はドルは売り崩されるだろう。投機筋はまさにハゲタカだ。