を史上最高値まで一気に200ポイント近く持ち上げるきっかけになったという。 前日海外では、カタールやアラブ首長国連邦(UAE)が米ドルペッグ制廃止を検討するとのうわさに加え、ヨルダンが外貨準備に占めるドルの構成を低下させるとの報道もドル売りの手がかりとなったが、まとまったユーロ買いはこうしたうわさを手掛かりにした短期筋の動きだけではなかったとされる。
ある外銀関係者は中東勢がドル売りを強めた要因として、11日に米連邦準備理事会(FRB)が打ち出した資金供給策にあると見る。「米国債と住宅ローン担保証券(RMBS)を交換することで、米中銀のバランスシートが悪化する可能性があるのと同時に、ドル資産そのもののき損も懸念し始めている」というものだ。
外銀筋によると、発行体の信用力を示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の取引市場では前日までに、米国債10年物のCDSが16bpとドイツの同15bp程度を史上初めて上回った。
5中銀が11日に打ち出した資金供給策に入札型ターム物貸出(TAF)を加えると、今回の資金供給規模は全体で4360億ドル。「FRBのバランスシートの半分以上に相当」(東短リサーチ・取締役チーフエコノミストの加藤出氏)する規模に膨れ上がる。「FRBがそれだけ問題解決に前向きな姿勢を見せたといえるが、それだけリスクを取らざるを得なかったともいえる。FRBの対応は後手に回り続けているように見える。今、ドルを売らずに何を売るんだ」。ある都銀のチーフディーラーはきょう午前、こう語気を強めた。
(私のコメント)
ドルがいよいよ100円を割り込みましたが、アメリカの金利が下がれば日本との金利差が縮まり、円キャリーの逆流が起きているのだろう。今起きているのは円高ではなくて、アメリカから通貨が逃げ出しているのです。金利を下げていながらポールソン財務長官は「強いドルはアメリカの国益」と述べていますが、精神分裂にかかっているのでしょうか。
インフレと金融危機が同時に起きているのですから王手飛車取りのようなもので、王を逃がさなければならないから飛車は犠牲にならざるを得ない。金利を下げて資金供給すれば金融機関はひとまず落ち着くが、ドルが暴落して石油や金が値上がりする。金はいよいよ1000ドルを越えましたが、それだけドルの信用がなくなっている。
USドルに連動している国はインフレも輸入されてしまうからジレンマに立たされている。中国とサウジアラビアはいつまでドルペッグを続けるのだろうか? ドルペッグを続けている限り中国とサウジアラビアはドルを買い続けざるを得ない。日本はドル買い介入をするのだろうか? 投機筋は低金利のドルを借りて売りまくれば確実に儲かる。
90年代は日本が一手に引き受けてドルを買い支えてきましたが、今はユーロの登場でドルを売ってユーロを買う動きが主流になっている。サウジアラビアはドルが安くなった分を石油の値上げで損を取り返すから、石油が上がって世界にインフレを撒き散らす。本来ならばアメリカは金利を上げて景気を冷やしてインフレを抑えなければなりませんが、今のアメリカにはそれが出来ない。
90年代の日本も金利を下げて金融緩和しても株や土地の値段は下がり続けたように、アメリカも金利を下げて資金供給をしても住宅市場が持ち直すわけではなく、だぶついた住宅と差し押さえになった住宅が売りに出されるから、当分の間は住宅の下落が続く。その間は決算のたびに評価損が出て金融機関は自己資本をかき集めなければならない。
シティに出資をした中東の政府系ファンドも今ではそれを後悔しているだろう。シティが決算のたびに新たな出資を集められなければシティは倒産する。中東の政府系ファンドはシティを見捨てるか救うかの決断をこれから迫られるだろう。他の政府系ファンドも同じような決断を迫られる。最終的にはアメリカ政府がどう出るかですが、アメリカ政府もシティを救おうにも目処が立たなければ救いようがない。
カーライルキャピタルも破綻したようですが、これからファンドの破綻が続出してくるのではないだろうか? 金融機関は決算のたびに評価損を計上しなければなりませんが、ファンドはサブプライムに手を出していなくても、投資先の格付けが下がれば損失をもろにかぶる。カーライルのようにファンドが破綻すれば投資先も債権者によって売り払われるから目が離せない。
◆米シティグループに何が起きている? 3月13日 ビジネスウィーク
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080311/149710/
ほんの1年前まで、米シティグループ(C)は世界最大手の銀行だった。それが今では、新たな資金調達の必要があるとも噂されている。
3月4日、シティ株は一時8%下落し、ここ10年近くの最低水準に達した。米メリルリンチ(MER)などのアナリストが相次いで悲観的なリポートを発表し、シティの危うい財政状態への不安をあおったことも、株価急落につながった。
シティは既に中東のソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)から数十億ドルの出資を受けているが、その中東からも警鐘の声が上がった。アラブ首長国連邦(UAE)の政府系投資会社ドバイ・インターナショナル・キャピタルのサミール・アル・アンサリCEO(最高経営責任者)は産油国投資界の内情に通じている人物だ。そのアンサリ氏が、シティ存続にはさらなる資金が必要との発言をした。
300億ドルの資金調達では足りない?
シティは信用危機による損害から立ち直るため、300億ドル近く(約3兆円)の出資を受けている。経営陣は3月4日、自己資本水準は十分で、新たな資金調達は必要ないと回答したとされる。
だがアンサリ氏によれば、「シティ救済には、これまでの資金調達だけでは足りない」(米ダウ・ジョーンズの報道より)。
シティが受けた信用危機の被害はとどまるところを知らない。今四半期だけでも、サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)関連債務から150億ドル、その他融資・投資先の不良債権から30億ドルの損失を追加計上するだろうと、メリルリンチのガイ・モスコウスキー氏は見ている。
4月18日に行われる第1四半期決算発表を待たず、大方のアナリストは2008年の利益予想について厳しい見方をしている。
モスコウスキー氏による当初の第1四半期業績予想では、1株当たりの利益は55セントだった。しかし現在は1.66ドルの損失に修正し、通年の利益は24セント程度と見ている。
同じく3月4日、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の株式アナリストもシティの通年利益予想を1株当たり2.99ドルから1.05ドルに下げた(S&PはBusinessWeek同様、ザ・マグロウヒル・カンパニーズの事業部門である)。米ゴールドマン・サックス(GS)もこれに追随し、「計算モデルに問題があった」として、第1四半期業績予想を1株当たり15セントの利益から1ドルの損失に下方修正している。
没落のきっかけは信用収縮と住宅ローン危機
シティの問題を挙げればきりがないが、そのほとんどは信用収縮と住宅ローン危機に端を発している。モスコウスキー氏はリポートの中で、「住宅価格の暴落と米国住宅・商業ローン市況の低迷、企業の債務超過、主要投資銀行の業績悪化」を理由に挙げている。
(私のコメント)
このように金融機関やファンドの破綻が表面化しだすと信用不安が止まらない。やがてはドルの信用も失ってアメリカ政府は打つ手を失うかもしれない。アメリカはイラン危機を煽って中東産油国に脅しをかけ続けてきたが、中東産油国が石油をユーロで売る動きは止められないだろう。
金利を上げてドルを安定させれば中東産油国のドル離れは防げるが、米国経済が破綻する。金利を下げて資金供給すればアメリカ経済は一息つくが、ドルが暴落して中東産油国のドル離れが起きるかもしれない。
アメリカはジレンマに立たされていますが、中東産油国最大のサウジアラビアは防衛をアメリカに任せてきたからドル離れが出来ませんが、日本も同じようにアメリカに防衛を任せきりだ。そのアメリカが絶体絶命にピンチに立っているが、日本とサウジアラビアはドルと共にアメリカと心中をするつもりなのだろうか?
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