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[CNET Japan] アップルのS・ジョブズ氏、がん発病を9カ月間秘密に--米報道
2008年03月06日16時50分 ブックマーク
企業の最高経営責任者(CEO)が病気になったら、株主にはそれを知る権利があるのだろうか。
これは、AppleのCEOであるSteve Jobs氏を特集したFortune誌の記事が提起した問題だが、記事の中ではこれといった答えは示されていない。ちなみに、この記事が公開されたのは米国時間3月4日で、ちょうどAppleが年次株主総会を開催した日にあたる。記事が明らかにしたところでは、Jobs氏は2003年10月、珍しいタイプの膵臓(すいぞう)がんにかかっていることを知ると、その後9カ月にわたってごく一部の関係者以外には診断結果を隠し続け、その間外科手術を用いない代替治療法を見つけようとしていたという。
Fortune誌によると、Jobs氏とAppleの側近らは診断結果を株主に報告するべきか否か議論したが、社外の弁護士に相談した結果、報告する義務はないとの結論に達したという。Jobs氏は最終的にがんの摘出手術を受けることを決心し、手術が行われた翌日の2004年8月1日、Appleは同氏が手術を受けたことを伝える電子メールを、Jobs氏の名前で従業員あてに送付した。
Jobs氏とAppleがこれほど長い期間にわたって診断結果を明らかにしなかったのは、株主を欺いたことになるのだろうか。こうした状況に対するはっきりしたルールはない。幹部社員の疾病は発見と同時に公表するという企業もあれば、その幹部が日常的に執務を取り仕切っているかぎり公表は控えるという企業もある。しかし、Fortune誌の記事の中で取材を受けた2人のコーポレートガバナンス専門家は、Jobs氏が手術を受けようとしていることをAppleは明らかにすべきだったと答えている。「もし手術中にJobs氏が亡くなったと聞いたら、株主たちはどう思っていただろうか」と疑問を表明したのは、Waste Managementの元ディレクターであるRalph Whitworth氏だ。Whitworth氏は、Waste ManagementのCEOがかつて脳腫瘍と診断されたとき、同社の取締役会長を務めていた。
Waste Managementは当時、CEOのJohn Drury氏が脳の手術を受ける直前に声明を発表しており、これこそAppleがJobs氏のときにすべきことだったとWhitworth氏は考えている。ただし、Fortune誌が1999年の記事で伝えているように、Drury氏は手術を受ける3週間前に激しい発作に襲われていた。ということは、Waste Managementはその時点で何らかの発表をすべきだったのだろうか。
これは、あとから考えてもきわめて難しい状況だ。医師が患者の予後に関して楽観的で、当の幹部が表向き健康で元気なら、知らせなければならない理由があるだろうか。もちろん、米国のWoodrow Wilson元大統領の2期目の再現など誰も望まない。Wilson元大統領は当時、脳梗塞を発症してきわめて重い後遺症が残ったのだが、その事実は国民はおろか閣僚にも伏せられたのだ。
しかし、今問題にしているのはそういうことではない。Jobs氏が手術を受けるその日まで、Appleを完璧に取り仕切っていたことに異論はない。また、Jobs氏ががんの代替療法を探そうとしていたからといって、Jobs氏の会社を率いる能力が疑問視されるなどと言っているのでもない。Fortune誌によれば、Jobs氏はがん細胞が大きくなると初めの考えを撤回し、手術を受けることを選んだという。
企業のCEOには、たとえJobs氏ほど著名なCEOであっても、会社に影響を及ぼさないかぎり自分の健康状態を秘密にしておく権利がある。これは、企業の取締役会のためでもある。理由はなんであれ、どの時点でCEOの影響力を弱めるべきかを見極めるためにだ。当時、AppleもJobs氏も何ら問題に直面しなかったのは明らかだし、その後も非常にうまくやっている。それなら、Jobs氏が自分の病気をいつ知ったかということは本当に問題なのだろうか。
だが、Appleのこの強迫的なまでの秘密主義が、やがてふたたび同社につきまとうことになるに違いないと私は考える。AppleにとってJobs氏の存在は160億ドルの市場価値に等しいとも試算されており、Jobs氏の病気が再発するようなことがあれば、同社の株が打撃を受けるのは間違いないと見るアナリストもいる。Jobs氏の健康に関するうわさや憶測は2004年以来飛び交っており、Appleは、将来的にこのような問題には慎重のうえにも慎重に対処しなければならない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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http://news.livedoor.com/article/detail/3541737/