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第一生命経済研レポート 2008年3月号
【金融マーケット/ サブプライム問題解決の処方箋】---(第一生命経済研)
経済調査部 嶌峰 義清
○一喜一憂する市場も病巣は改善せず
年が明けて、市場はなおサブプライムローン問題に揺れている。
こうしたなか、市場混乱の沈静化や景気浮揚のため、様々な対策が打ち出されている。FRBの利下げはペースを速め、景気刺激効果を強める水準でなお利下げを模索している。
米政府は、サブプライムローンの借り手保護対策を打ち出したほか、減税などで景気減速に歯止めをかける効果を狙っている。
市場は、予想以上に長引くサブプライム問題と、やはり予想以上に早い景気減速ペースに怯える一方で、ようやくテンポアップしてきたさまざまな対策に期待を寄せている。
しかし、サブプライム問題の病巣とも言える証券化商品市場は、未だ改善の兆候すら見えてこない。
住宅ローン担保証券は、全く買い手がいない状況に変わりなく、売り手が現れるとたちどころに価格が急落し、金融機関の新たな損失拡大に繋がっている。
証券化商品市場には、各種対策の効果は現れていないのが実情だ。
○巨額の『隠れ不良債権』?
当初、この問題は比較的早期に解決できる、と見られていた。
サブプライムローンの残高は1兆5千億ドルだが、そのうち延滞率は16%強(07年9月末現在)、延滞債権は2〜3千億ドル程度だからだ。
しかし、住宅ローン担保証券の買い手がいない実情を勘案すれば、価格が大幅に値下がりし、且つ資産評価ができないような、いわば隠れ不良債権は『住宅ローン担保証券全額』ということになる。
米国の住宅ローン残高はおよそ10兆ドル、そのうち証券化されたものは6〜8割とされていることから、約7兆ドルの住宅ローン担保証券が、価値評価できず、売買もできない状況に置かれているということになる。
見方を変えると、金融機関がこれら証券を“売りたい”と考えても、その規模が巨額であるがゆえに、これを“絶好の投資機会”とする買い手は、さらなる価格下落を目論んで買わない状況が続いているのである。
○公的資金による証券化商品買い取りが必要
こうした状況から脱するためには、証券化商品市場の需給に劇的な変化を与えることが必要だろう。
ひとつには、金融機関がこれら証券を売らなくて済むような環境に変わることが考えられる。しかし、いくら政府系ファンドなどが資本注入を進めて資本を厚くしても、規模に格差がありすぎ、損失処理に限界がある。
相対的魅力に乏しい中小金融機関への資本注入も期待しにくい。金利低下によって、住宅需要が盛り上がればいいが、現状でそれにどれだけの時間がかかるかはわからない。
このように考えれば、収益に関係なくこれら証券を買うことができる主体に買い取らせるしか手段はない。
すなわち、公的資金による証券化商品の買い取りだ。問題がグローバルに広がっていることを勘案すれば、日米欧などが共同で資金を出し、買取機構を設ける必要がある。
このような方針が決まれば、政府が証券化商品の底値を決めることになるため、市場の需給は一気に改善する。無論、7兆ドルもの資金を投入する必要もなく、あとは民間の市場原理に任せればよいのである。
米国経済が失速し、健全とされる住宅ローンにまで問題が波及しないうちに、こうした対策が採られる必要がある。
しまみね よしきよ(主席エコノミスト) 第一生命経済研レポート 2008.3
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(コメント)
機関投資家が分かっている事をFRBや米財務省が知らない筈はありません。
「金融機関への資本注入」だけで済まない場合には結局「公的資金による証券化商品の買い取り」もあるうる事でしょう。
誰も買わない物を買うのですから叩き売り価格で買い取る事となり、結局は米国政府が最終的には大儲けする事となると思われます。(そしてそれは世界中から富を移転する事を意味します。)
前にも書きましたがFRBが「中小金融の破綻もあり得る」と証言した目的は最終的には公的資金による買取の為のコンセンサスを得るための「芝居」だと思われます。