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http://veritas.nikkei.co.jp/marketeye/index.aspx?id=MS3Z0300E%2003032008
【サブプライム問題、下半期に解決の兆し ニコラス・サージェン氏(08/3/3)】---日経ヴェリタス
フォートワシントン・インベストメント・アドバイザー最高投資責任者
ニコラス・サージェン
米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に関する見方は、1年前に投資家が延滞の増加に気づき始めて以来大きく変化した。
当時はサブプライム問題の影響を受けるのは国内総生産(GDP)の5%にすぎない住宅セクターに限定され、それに伴う損失が経済全体を損なうことはないというのが大方の認識だった。
しかも、当初はサブプライム問題がもたらす損失の推定額はさほどでもなく、米連邦準備理事会(FRB)は約500億ドル程度と見積もっていた。
それに対し、今日では問題がはるかに大規模かつ複雑になり、米国全体の信用市場はおろか海外の市場にも影響が波及している。
最も格付けの高い証券を除けば証券化のプロセスはほとんど中断し、金融機関は別の投資ビークルを通じて保有していた証券をバランスシートに計上せざるを得なくなっている。
そればかりか、金融機関の資本は総額1500〜2000億ドルに上る評価損の計上で著しく棄損された。主要7カ国(G7)の当局者は、最終的な損失額は4000億ドルに達する可能性があると推定している。
信用市場の環境はモーゲージ市場とはほど遠い分野でも急激に厳しくなった。
FRBによる最新調査では、銀行が幅広い分野にわたって貸し出しの基準や条件を著しく引き上げていることが明らかになった。
一部では、過去2回のリセッション(景気後退)の時よりも与信を受けにくくなっている。
資本市場では、投資適格債および高利回り債とも流動性が著しく低下し、投資家は新たな問題が表面化するのではないかと懸念している。
新聞を見れば、モノラインと呼ばれる金融保証会社がトリプルAの格付けを失えば地方債市場がどれほど混乱しかねないか大々的に伝えられている。
最近では政府の保証がついた最上級の格付けを得ている債券ですら入札が失敗に終わるほど投資家のリスク志向が冷え込んでいる。
サブプライムローンの問題はそれ自体よりもはるかに大きな問題の一部にすぎないことが明らかになった。
金利が低く、イールドカーブが平たんで、異例なほど安定した市場環境においては、金融機関に対して利益率の向上を求める圧力が高まる。
彼らは債務を証券化し、高利回りを求める投資家に販売することを通じて手数料を稼いだ。そのプロセスで、完全に理解できないデリバティブやレバレッジを駆使した複雑な金融商品が数多く組成された。
だが悲観ムードが市場を覆う中にいくつかの明るい材料があることも見逃してはならない。
1980年代に発展途上国を襲った債務危機や90年代の日本における銀行危機が残した教訓の1つは、金融機関が貸し出しを正常化させるにはまず不良債権の処理が必要だということだ。
市場価格がはっきりしている証券では実際にそれが行われている。しかし複雑な証券は適正価格が把握しにくく、特に今なお下落している住宅価格の動向に左右されるモーゲージ担保証券の価格算定が困難なため、そのプロセスはまだ完了していない。
第2に、米国の金融緩和はイールドカーブを著しくスティープ化させた。金融緩和そのものが不良債権を消滅させることはないが、イールドカーブがスティープ化すれば金融機関は預金金利と貸出金利の利ザヤが拡大し、収益性が回復する。
さらに、変動金利型住宅ローンの借り手が金利改定時に著しい金利上昇に直面することがなくなるため、いずれ住宅市場を安定させる効果も期待できる。
第3に、過去6カ月間に米国債に対する信用スプレッドが著しく拡大した。現在は投資適格級社債のスプレッドが過去最高水準にあるほか、高利回り債のスプレッドはデフォルト率が極めて低水準にとどまっているにもかかわらず1年前に比べ3倍に膨らんだ。
商業用不動産担保証券のスプレッドは、80年代終盤や90年代初めの投機ブームの時よりも高いデフォルト率を織り込んだ水準に達している。その結果、投資家は1年前に比べ信用リスクに見合ったリターンを得ることができるようになっている。
果たして投資家はサブプライム問題に過剰反応しているのだろうか。その答えは米経済の動向にかかっている。
投資家の間でますます米国のリセッションに対する懸念が高まっているため、信用市場はしばらく不安定な状況が続きそうだ。だが我々の予想通り今年下半期に米経済が回復すれば、質への逃避の動きは収まるに違いない。
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(コメント)
一部では米国の威信失墜による「米国債の暴落」が発生し、それによって世界経済が大不況になるとかドルが機軸通貨の地位を失う等と言われていますが、金融関係筋の中にはドル国債の相場低迷(利回り上昇)とか信用スプレットの拡大はワザと作られていると見られています。
30年もの米国債の相場低迷(利回の上昇)とか、信用スプレットの増加(信用度の低下による値下がり(利回り上昇))はすべて金融機関の収益力を大幅に底上げします。
収益力だけを底上げしても償却処理できなければ、問題解決にはならないとする見方もありますが、公的な資金(資本注入)をおこなう為には公的資金を返済できるだけの収益力の前提が必要です。
つまりイールドカーブ(長期・短期の金利差をあらわすカーブ)のステープル化(長短金利差の拡大)は公的資金注入の前提条件となる金融機関の収益力の拡大を意味しています。
先にバーナンキFRB議長は金融機関がいくつか潰れるかもしれないと言う発言を議会でしていましたが、これは観測筋の間では最悪の場合に公的資金の注入による救済を行なえるようにするためのコンセンサスを予め取るための演技ではないかと見られています。
つまりバーナンキは最初から定められたシナリオに沿ってパフォーマンスを演じていると見た方が良いでしょう。
結局、いまの情勢を見ていると多くの投資家はまたしても「騙される」事になりそうです。
ちなみに私の大好きな「スパイ大作戦(ミッション・インポッシブル)」はアメリカの作品です。ペテンやトリックが好きで騙すのがうまい国の作品でありますが・・・・・・