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ナーバスな展開続く、悲観と楽観のあいだで揺れ動く市場心理=来週の東京株式市場
2008年 02月 29日 17:53 JST
[東京 29日 ロイター] 来週の東京株式市場も神経質な状況が継続するとみられている。悲観と楽観のあいだで市場センチメントが激しく揺れ動いており、荒い値動きが続く見通しだ。イベントが目白押しで悪材料が出ればいったん下を試す局面がありそうだという。ただ、3月入りで配当権利取りの動きも本格的に出てくるとみられるほか、今週末の下落過程でショートポジションもたまっている。ドル安進行が限定的であればあっさりとリバウンドする可能性もあるという。
来週の日経平均株価の予想レンジは、1万3000円─1万4000円。
<再び広がる信用収縮懸念>
米クレジット市場で再びリスク警戒感が強まっている。トレーダーによると28日の市場で、投資適格級のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)主要指数は、約11bp上昇し、150bpとなった。指数の上昇はリスク警戒感の高まりを、低下は警戒感の後退を示す。
日本のCDS市場でも指標となるiTraxxJapanシリーズ8JPMCDS01のプレミアムが29日、100ベーシスポイント(bp)を再び突破し、22日に付けた過去最高値の110bpに迫った。
きっかけはバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が28日の議会証言で米国の一部中小金融機関の破たんの可能性に言及したことだ。発言の真意は不明ながら、米金融保証会社(モノライン)大手がトリプルA格付けを維持できるとの期待が高まった楽観的ムードは消え去り、市場では信用収縮懸念に再び目が向いている。
三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「直近の株価の戻りは薄商いのなかで先物が主導した形であり、もろさをはらんでいた。モノライン救済策が進行し市場に安心感が出ていたわけだが、サブプライム問題に端を発した信用収縮問題や米景気減速への懸念が消えてなくなったわけではないというのが露呈したと言える」と述べ、来週の日経平均は1万3000円に接近する可能性もあるとの見通しを示す。
<円高・原材料高のダブルパンチを懸念>
さらにバーナンキ発言はドル安を招いている。円高ではなくドル安であるため、対ユーロなどで円高が進んでいるわけではないが、ドル/円は29日午前の東京外為市場で2年9カ月ぶりの円高水準となる104.65円に下落した。
円高による日本経済への影響についてはさまざまな見方があるが、現時点では「バーナンキFRB議長の議会証言発言を受けて、市場は米国経済の減速を確信した。ドル安の流れは当面続き、それに伴う円高が国内の輸出関連を中心に企業収益を圧迫し、株安傾向となる懸念はある」(興銀第一ライフ・アセットマネジメント・シニアポートフォリオマネジャーの宮田康弘氏)と、市場で懸念を示す声が強い。
ドル安が進行する半面、原油や金、貴金属など国際商品が高騰しており、日本の輸出企業にとっては原材料高と円高のダブルパンチになる可能性もある。
市場関係者が注目するのが6日のECB理事会。現在の円高はドル安の裏返しであり、ユーロなどに対して円高が進んでいるわけではない。それゆえ「ECB理事会で域内景気の下振れリスクなどを表明すれば、ユーロが売られユーロ/円でも円高が進み、あらたな株価下押し圧力となる恐れがある」(興銀第一ライフの宮田氏)というわけだ。
<中国全国人民代表大会のアメとムチに注目>
5日から開幕する中国全国人民代表大会も注目を集めている。焦点は中国国内の投機熱をいかにコントロールするか。「最近下落している株価にはアメを、依然投機熱が冷めない不動産にはムチを与えるのではないか。オリンピックの年に波乱は避けたいのだろう。上海総合指数.SSECが4000ポイントを割り込むような事態になればミニパニックが起きる可能性もあるため、対策が採られる可能性が大きい」(新光証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏)という。
また同じく5日に開かれるOPEC定例総会にも注目が集まる。「減産しない見通しだが、燃料用油の需要が低下する春先に向けて減産しようという声がOPEC加盟国の一部からあったようだ。ドル安を背景に原油価格が高騰しており、OPECの足並みの乱れが見られるようだと原油価格が一段高となるかもしれない」(国内証券)と警戒する声もあった。
さらに3日に2月米ISM製造業景気指数(ロイター予測49.0、前月50.7)、5日に2月米ISM非製造業景気指数(予測47.0、前月41.9)、2月米雇用統計(非農業部門の予想は3.5万人増、前月は1.7万人減)と重要経済指標の発表も相次ぐ。「これまでの統計からみて悪い数字が出てくる可能性がある。地合いが軟調であれば売り材料として使われる」(準大手証券エクイティ部)という。
ただ市場では1月22日の日経平均1万2572円68銭を底とみる声は多い。「1月22日の安値で過度な悲観は織り込み済みであり、株価が底割れすることはないとみている。PBRなどのバリューが下支えするほか、自社株買い、中東資金の流入など需給も売り一色ではなくなっている。期末にかけては配当取りの資金も入る。3月末の日経平均は1万4700円程度を予想している」(ソシエテジェネラルアセットマネジメント・チーフエコノミストの吉野晶雄氏)。
28、29日の2日間で日経平均は400円超下落したが、両日とも東証1部売買代金は2兆円前半と薄く、先物主導の下落だった。「きっかけ次第では買い戻しからリバウンドすることもあり得る」(別の準大手証券売買担当者)という。移り気な市場センチメントだけに悲観から一気に楽観に変わる可能性もある。
(ロイター日本語ニュース 伊賀大記記者)
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