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『2010年資本主義大爆裂!』ラビ・バトラ:著 「石油バブル」の崩壊がアメリカ経済は完全に息の根を止められてしまうだろう
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投稿者 TORA 日時 2008 年 2 月 23 日 15:10:51: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu162.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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『2010年資本主義大爆裂!』ラビ・バトラ:著 「石油バブル」の崩壊が
進行すれば、アメリカ経済は完全に息の根を止められてしまうだろう。

2008年2月23日 土曜日

Dr Ravi Batra


◆2010年資本主義大爆裂!―緊急!近未来10の予測 ラビ・バトラ:著
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9982943731

◆アメリカを襲う「二つのバブル崩壊」

●2000年、ITバブル崩壊が「石油バブル」の出発点

グリーンスパン前FRB議長が生み出したものは「二つのバブル」だと前項で述べた。その二つとは、「石油バブル」と「住宅バプル」だ。バブル経済は、第2章で分析したように、いずれはじける運命にある。そもそも、そんな状態を生み出したことが誤りなのだ。

アメリカ市場は、1999年、ダウ平均株価が史上初めて10000ドルを記録した。それは、「ニューエコノミー」、いわゆる「ITバブル」の頂点だった。このとき、グリーンスパン前議長は、大きな誤りを犯した。原油価格が上昇しつつあったことから、インフレを恐れた彼は、1999年の6月以降、少しずつFF金利(フェデラル・ファンド金利)を上げていった。

FRBは、このFF金利を操作することによって市場金利を誘導する。民間銀行で資金が不足したときに、他の銀行から資金を借り入れる場合の金利がFF金利だ。FF金利を上げれば、銀行間の資金の動きが滅少傾向となって、金融が引き締められ、インフレが抑制される。

FRBは、債券市場でアメリカ国債を買い入れるか、売却するかによって金利を上下させる。短期金利は、通常1〜5年のローンに適用され、FF金利に正比例する。消費者は、この金利を負担してローンを組むのだ。

ローンの金利が高くなれば市民は借金をしてまで商品を買おうとは考えなくなる。その結果、国内需要とインフレ率も低下する。ただし、同時に、個人の購買カに直結する実質賃金も下がる。

グリーンスパン前議長の誤りとは、1980年代の日本のバプル経済当時と同じことをしてしまったということだ。バブルの最中に金利を上げると、ある日、株式市場が大暴落することになる。

2000年1月にはダウが11700ドル台を記録し、ナスダツク総合指数も5000ポイントを記録した。しかし、2000年の春から夏にはナスダックが大幅下落しはじめ、この年の終わりには、それまでの景気がバブルだったことをだれもが知ることになった。

2001年に入ると、株価下落に歯止めをかけようと、グリーンスパン前議長は、1月3日に性急にFF金利を0.5%引き下げ、1月末にさらにO・5%引き下げた。けれども、時すでに遅し。アメリカの株式市場はそれまでの勢いを復活することはなかった。

このアメリカのITバブル崩壊は、即座に日本をはじめ世界の市場に影響した。とくに、日本では、日本なりのつましい「IT景気」で、1990年以降のバブル崩壊後の「失われた10年」がようやく終わりつつあるか、と考えられていたところに、このITバブル崩壊が追い打ちをかけた。

その結果、日本の「失われた10年」が「失われた15年」に延長されることになってしまったのだ。世界の株式市場が大きく下落したのに対して、原油価格は下落することはなかった。これはまず、OPEC(石油輸出国機構)各国が原油市場をうまくコントロールしていたことによる。

そして、もう一つの要因は、ITバブル崩壊で株暴落を経験した投資家たちが、株式市場に見切りを付けて、株式とは別の市場に注目し始めたことだ。とくに、ヘッジファンドなどが注目したのが原油市場だった。2001年9・11の同時多発テロも、株式から原油などの商品に投資がシフトする傾向に拍車をかけた。そして、2003年のイラク戦争開始が、「石油バブル」の進行を決定的なものにしたのだ。

●「金利引き下げ」が生んだ「住宅バブル」

アメリカの昔ながらの一般家庭には、鍋やフライパンなど調理道具をピカピカに磨いて長く使い、食事も質素で食材にも無駄を出さず、飾り気のない部屋を、つねにチリ一つない状態に保つ、という「質実剛健」ともいうべき伝統があった。

しかし、今では、「カリスマ主婦」と一時期もてはやされた、「マーサ・スチュワート」に象徴されるような、お酒落なキッチン用品やガーデニング用品をそろえ、「ヒルトン姉妹」のような、「セレブ的」でゴージャスな生活にあこがれ、ビジネスでも「ビル・ゲイツ」のような一攫千金を狙い、車はといえば、国産のフォードではなく、ベンツやBMWを欲しがる風潮が強くなっている。

確かに、「9・11」直後のような社会的動揺と経済的混乱から、アメリカ経済はなんとか脱出したようにも見えるが、だからといって、実質賃金がそんなに上昇したとは思えない。しそれなのに、こうした「セレプ志向」が強まっている背景には、ローンやクレジットでの消費増がある。

米連邦金融監督局の統計では、1975年からの30年間、その他の商品価格が上下しても、住宅価格だけは一貫して上がり続けていたことを示している。かつての日本での「土地神話」と同じように、2005年までは、アメリカでは住宅などの不動産は、持っていれば確実に値上がりする商品だったのだ。確実に値上がりするのであれば、借金をしてでも購入したい、という心理が働く。

ただ、以前は長期ローンを組んで住宅を購入するためには、担保と頭金に加えて、一定の年間所得が必要とされていた。この制約があったために、一定以上の年収がないと、ローンが組めなかったのだ。

ところが、数年前から、「IO=インタレスト・オンリー」という、担保と頭金がいらない新型ローンを組むことができる大手銀行が現れていた。「担保、頭金がいらない」というと、耳触りはいいのだが、実のところ「返済できない可能性が高い」という、ギャンブルに近いローンになる。

ほとんどの金融機関が、「だれにでも資金を提供します。担保も頭金もいりません。今買えば儲かりますよ!さあ住宅を買いましょう!」とあおって、自宅の他に利殖用、転売用のセカンドハウスまで買わせようとしていたのだ。現在と比較して低利だった利子さえ払えば、買った家を転売して数万ドルの利益を,上げることも可能だということで、賭博のようにして住宅ローンを組む人々が増加した。

この「IOローン」登場の背景には、2001年以来の低い金利があった。2000年から01年の「ITバブル崩壊」の株価下落の時に、グリーンスパン前議長がFF金利を引き下げたことを思い起こしてもらいたい。市場に低金利のお金をだぶつかせることで、株価下落を沈静化させようとした。その後、「9・11」の混乱対策で、さらに金利は下がり続け、2004年に引き上げ始めるまで、超低金利が続いたのだ。

このプロセスの中で住宅市場の投機的売買が始まった。住宅価格は高騰しはじめ、低利のローンで買って、転売すればハイリターンになる、という状況になった。アメリカの銀行は競い合うように住宅ローンを貸し付け、個人向け貸付金は、2兆ドル(約230兆円)近くに達していたというデータもある。中には、自行資本金の2倍以上も貸し付けている銀行もあったと聞く。

つまり、FRBのグリーンスパン前議長が、株式市場の下支えのためにだぶつかせた過剰な資金は、「9・11」の影響もあって、先行き不安な株ではなく不動産市場に怒濤のように流れ込んだのだ。これは完壁に「住宅バブル」の状況であり、この状況になるまで放置、いや増長させていたグリーンスパン前FRB議長の責任は重大だ。

●「サププライム危機」の出発点とは

もちろん、アメリカ政府は、この過熱した住宅バプルをなんとか「軟着陸」させようと努力した。しかし、ひとたび経済のリセツション=景気後退が始まれば、長期金利は上昇させざるをえない。そうなれば、住宅ローン、力ードローン、自動車ローンなどの債務が支払えなくなった個人の破産が増加し、銀行もとんでもない不良債権を抱えて行き詰まってしまう。個人破産は2005年の終わりには、すでに増加の傾向を示していたのだ。

2007年半ばに、その巨大な危機が明らかになった「サププライム住宅ローン」は、「IOローン」の借り手とも恐らくかなりの部分でダプっていると思われる。「サブプライム住宅ローン」の破綻が、現在のように巨大な「サププライム危機」となって爆発したことの背景には、やはりグリーンスパン前議長の影がちらついている。

「サププライム住宅ローン」は、1990年代後半、グリーンスパンがFRB議長だったときに、銀行が「信用度の低い借り手」向けに、高い利子を設定し貸しはじめたローン形式だ。

2005年半ば頃までは、すでに触れたように、まだ住宅価格が上昇していたため、住宅を購入して売却しさえすれば、元本を大幅に上回って、売却益が手に入る計算だった。その上、「どんどん消費しましょう」という社会的な雰囲気があり、収入やボーナスが上昇することを見込んで、高金利でも借り手がどんどん資金をローンして家を建てたのだ。

ところが、2005年の終わりから06年のはじめには住宅価格の上昇が止まったことで、銀行が住宅の評価価格を見直しはじめた。これが「サブプライム危機」の実質的なはじまりだ。そして、この危機が、2007年半ばになって一般の目にも見える巨大な破綻となったということだ。

問題の根本は、借り手の返済能力以上に銀行が貸してしまったということだが、この「災害」をさらに大きく、深くしたのは、この「サブプライムローン」が「住宅ローン担保証券(RMBS)などに「証券化」され、さらにこれが加工されて「債務担保証券(CDO)」という複雑な金融商品になっていたことだ。

そして、この「複雑な商品」が、S&P(スタンダード&プアーズ)などの格付け機関によって「AAA(トリプルエー)」と最高の格付けがされていた投資商品にも「混入」していた。これは、要するに「良質の食材の食品」の中に、実は「悪質な食材」が混入していた、ということだ。それを、ウォール街の人々も、経済アナリストも気付かずに、または、事実を知りながらも、「良質の証券」として売ってしまっていたのだ。

彼らが、「強欲」に駆られて売りまくった商品が、実は「悪質な商品」だったことには、恐らく2005年か06年の段階で、だれかが気付いていて、それでも最終的な崩壊ギリギリまで隠されていたのだろう。2007年8月、「サププライム危機」が爆発したことで、世界の株価は何度も同時的に暴落し、金融市場そのものの信用が収縮する、「クレジット・クランチ(信用収縮)」の事態になってしまった。

この惨状に遅ればせながら対応して、FRBが07年9月以降、FF金利を下げたことは、FRBが「サブプライム危機」に対処するつもりがあることを世界にアナウンスすることで、他のローンなどの信頼を取り戻すということと、ニューヨークのダウ平均株価の下落を抑制するという機能は果たせたかもしれない。しかし、FRBの対処が、「サブプライム危機」の解決策になるかというと、それは、はっきりと、「NO」と言わざるを得ない。

明日にも自宅が競売にかけられるという事態に陥っているローンの借り手にとって、FF金利が多少下がっても、何力月も滞納したローンは清算できず、破綻に瀕している「投資商品」なども、復活できる見込みはない。「サブプライム危機」全体として見れば、「焼け石に水」の効果も望めないのだ。

この状況を見れば明らかなように、「住宅バブル」は、グリーンスパン前議長が金利引き上げを17回も繰り返したことで、崩壊しはじめたといえる。「サブプライム危機」の爆発によって、現在、大手銀行が軒並み巨額の損失を出し、不良債権を抱えている。しかも、今後、同時に景気後退が進行する、その混乱状態の中で、「石油バブル」の崩壊が激発・進行すれば、アメリカ経済は完全に息の根を止められてしまうだろう。(P118〜P129)


(私のコメント)
アメリカのバブル崩壊は2000年のITバブルの崩壊で始まっていたはずであった。しかしソフトランディングを目指すFRBのグリーンスパン議長は金利を引き下げることによって住宅バブルを作り出すことで消費を拡大させて株価を支えてきた。さらに9・11テロの発生によって金利をさらに引き下げて、テロによる株価の混乱を防ぐ必要に迫られた。

金のだぶつきは金融機関の貸し出し競争を招いて、担保も頭金も要らない住宅ローンまで現れて、それは日本のバブル最盛期の現象を思わせた。9・11テロの混乱が収まって2003年にはイラク戦争が始まり、アメリカは戦争という公共事業まで始めてバブルの崩壊を防ごうとしたのだ。アメリカへの住宅ローンへの資金やイラク戦争の資金を提供したのは日本のドル買いであった。

日本はバブル崩壊以来18年も経っているのに、アメリカ政府やFRBのようななりふり構わぬソフトランディング政策をとらなかった。補正予算を組んでの景気梃入れは行なったがバブルを起こすほどの強力な景気対策は取れなかった。政府日銀は財政再建や行政改革に力を入れて株式市場が低迷しても「構造改革をすれば景気は良くなると」痛みを国民に強いる政策を行なっている。

しかしアメリカに対しては1年間に33兆円ものドル買いを行なってアメリカの景気対策に協力してきた。もしそれだけの金を日本の景気対策に使っていれば、失われた15年はもっと早く終わっていただろう。今ではその金を霞ヶ関埋蔵金と呼んでいますが、30兆円前後の埋蔵金があるようだ。

アメリカ政府は戦争をしてまで景気を支えて株価の暴落を防ごうと全力を注いでいるのに、日本政府は7000円台にまで株価を下げるに任せてしまった。ブッシュ政権のような不退転の株価維持政策はとらずに、日本の政治家は株価に無関心をよそおうのが美徳とされた。4万円近くあった株価が7000円台にまで下がってしまったのだから株式投資をしていた人は一財産を失い、株に手を出す人はいなくなってしまった。

グリーンスパンは2004年から金利を上げ始めましたが、すでに住宅ローンバブルが発生して、日本と同じように破裂寸前にまで行ってしまった。バブルに針をさしたのはサブプライムローンであり返済があまり期待できない人にまで住宅資金を貸し出してしまった。そのローンが証券化されて優良ファンドに紛れ込まれてしまったから、世界の金融機関はそのファンドを買い込んで中毒にかかってしまった。

貸出債権の証券化は金融の革命ともいえる、銀行にとっては夢のようなリスクゼロの商売であり、銀行は金を貸してもすぐに証券化して販売して資金を回収することが出来た。だからこそ返済が期待できないような人にまで金を貸し付けて証券化して転売してしまった。シティやメリルリンチは証券化した商品を大量に抱え持っていたから数兆円もの損失を出してしまった。

サブプライムローンは中国の冷凍食品に混入された猛毒のようなものであり、日本の消費者は冷凍食品には手を出さなくなってしまった。スーパーに行っても冷凍食品は撤去されて空になってしまった。欧米の債券市場も同じようになってしまって債券の借り換えさえも20%の高金利でないと出来なくなってしまった。これがじわりじわりとアメリカ経済に効いてくる。

ラビ・バトラ氏は「2010年資本主義大爆裂!」という本で、2010年前後にアメリカの資本主義の終焉を予測している。ソ連のアフガニスタン戦争によって撤退したことにより国内問題が多発してソ連は崩壊してしまった。アメリカのイラク戦争中は何とかもっても戦争終結後にアメリカ国内で問題が多発してアメリカの資本主義は終決する。

「2010年資本主義大爆裂!」という本では10の予測が述べられていますが、興味のある人は買って読んでください。しかし資本主義が終焉したあとにはどのような経済システムが生まれるのだろうか? ラビ・バトラ氏によれば日本で生まれると予測している。

アメリカの資本主義には会社は株主のものといった、一見当たり前のような論理がまかり通っていますが、日本の戦前の資本主義によく似ている。しかし会社は資本主義が進歩するにしたがって株主だけのものではなくなっている。会社は従業員のものでもあるし地域社会のものでもあるし客のものでもある。

しかしアメリカの資本主義では株主万能であり、一旦ハゲタカファンドが会社を買い取ってしまえば資産を切り売りして、会社を借金だらけにして、最終的には転売してしまう。株主という怪物が会社を食いつぶしてしまうのだ。日本にもホリエモンや村上ファンドが現れましたが、日本ではこのような資本主義は否定されている。アメリカの新自由主義経済はまさに破綻しかかっているのだ。

アメリカではバブルが崩壊しかかっているのですが、株価暴落を防ぐ為の手段は利下げしか残されていないようだ。しかし利下げをすればだぶついた資金は石油や農産物の高騰につながりインフレを助長して、利下げをすればするほどインフレで金利は急上昇してしまう。バーナンキFRB議長はこのような仕組みが理解できないのだろうか? まさに気の狂ったパイロットがヘリコプターの上からドルをばら撒いているのだ。


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