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株式市場の強弱感が対立している。NYダウは昨年7月9日に14,000ドルの史上最高値を記録してから3度の下落局面を示してきた。1度目は昨年7月9日の14,000ドルから8月16日の12,845ドルまでの1155ドル、8.3%下落、2度目は10月9日の14,164ドルから11月26日の12,743ドルまでの1421ドル、10.0%下落、3度目は12月10日の13,727ドルから本年1月22日の11,971ドルまでの1756ドル、12.8%の下落である。 3度目の下落に対してFRBは1月22日に0.75%ポイント、1月30日に0.5%ポイントの利下げを決定し、ブッシュ政権は2年間で1680億ドル(約18兆円)の景気対策を発表した。景気対策法案は2月13日に大統領署名を得て成立し、NYダウは2月1日に12,743ドルまで反発した。 しかしその後、米国経済の先行きに対する警戒感が強まり株価は反落した。1月29日発表の昨年11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数では、全米主要10都市の1戸建て住宅価格は前年同月比8.4%下落した。16年ぶりに過去最大を記録した10月の下落率6.7%を大幅に上回る下落率を記録した。 NYダウは1月22日の11,971ドルから2月1日に12,743ドルまで反発したが、2月8日に12,182ドルに反落した。その後1月小売売上高が前月比0.3%増加して景気楽観論が生じて2月13日に12,552ドルに上昇したが、その後、モノライン(金融保証会社)FGICの格付け引下げなどを受けて小幅下落している。 米国での資産価格下落-金融不安増大-景気悪化の悪循環を断ち切るためには、政策当局の総合的な対応が必要である。財政政策、金融政策、信用不安対策を総動員して事態悪化の悪循環を断ち切ることが必要である。 しかしながら、米国経済の実態悪はこれから本格化する局面である。米国経済成長率は昨年10−12月期に急減速したが、景気悪化が本格化するのは本年前半であると見込まれている。今後の経済指標が米国経済の本格的な悪化を示す可能性が高く、その前に十分な政策対応が示されなければ株式市場の下落反応が持続する可能性が高い。 2月19日にNY原油先物市場でWTIが終値で初めて1バレル=100ドルを突破した。原油価格が上昇し、市場のインフレ懸念が再燃するとFRBの利下げ政策推進の大きな制約要因になる。2月20日(水)には1月米国消費者物価指数が発表される。コア指数の前月比上昇率が0.2%を超えると市場のインフレ懸念が再び強まることが警戒される。 サブプライムローン問題に端を発する米国の経済、金融の混乱がどこまで深刻化するかどうかが焦点である。日本は1990年以降の資産価格下落に端を発する混乱を14年間も持続させてしまった。97年には橋本政権が短期的な財政収支改善を目指して大増税を実行して回復基調にあった日本経済を崩壊してしまった。 米国は日本の稚拙な政策対応とは異なる政策対応天を示している。サブプライムローンは資産価格上昇局面でのリスク管理を怠った安易な信用供与であり、米国大手金融機関のリスク管理の甘さが大きなツケとなっていま表面化している。問題終息にはなお大きなエネルギーが必要であるが、米国政策当局はこれまでのところ、基本的に適正な対応を示している。 日銀総裁人事が最終局面を迎えている。民主党は参議院で第1党であり、参議院は野党が過半数を確保しているが、衆議院では与党が絶対多数を握っており、内閣も自民党、公明党によって編成されている。与党が政策運営の実権を握っており、野党である民主党の行動には多くの制約がある。 2008年2月20日 |