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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu162.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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先端的な産業の分野で、アメリカを凌駕する国が現れれば、その時
アメリカは覇権国の座から降りることになるだろう。それは日本だ。
2008年2月16日 土曜日
◆アメリカの覇権はもう崩壊したのか 永井俊哉
http://www.nagaitosiya.com/a/after_the_empire.html
(前略)
ヨーロッパと日本は、アメリカが支配者として世界を飛び回るために必要な両翼であり、現在一方の翼を失って、きりきり舞いになっている状態であるが、しかし地面に墜落するまでには、まだまだ時間がかかるだろうというのが私の見通しである。だから、私は、アメリカが覇者としての地位を失ったとするトッドの見解には与しない。
アメリカのヘゲモニーが終焉を迎えたかどうかを論じる前に、そもそも覇権国の条件は何なのかを考えなければならない。トッドは、人口や工業生産高や天然資源が多い国を大国と考え、覇権国を最大の大国と考えているようだが、これらは覇権国であるための必要条件でもなければ、十分条件でもない。
トッドは、人口学者らしく、人口を重視するのだが、アメリカ以前の覇権国、すなわち、スペイン、オランダ、イギリスは、人口大国だっただろうか。国内でも、支配者階級は、決して社会の多数派ではなく、むしろ少数派であることが普通である。元や清の場合、支配民族が、被支配民族の漢民族と比べて、無視できるほど少なかったが、その治世は長く続いた。
工業生産高は、人口と比べれば、重要なファクターではあるが、工業生産高がたんに量的に大きいだけでは、覇権国にはなれない。重要なことは、その時代の最も重要で先端的な産業で主導権を握っているかどうかなのだ。
大航海時代に最も重要であった産業は繊維産業だった。スペインは、毛織物工業のおかげで「太陽の没することのない帝国」を築いたが、プロテスタントの抑圧が原因で、オランダが独立し、国内の毛織物工業が衰退して、没落した。スペインに代わって、オランダが毛織物工業を武器に世界の貿易を支配したが、イギリスが、産業革命による綿織物の大量生産に成功して、世界の支配者となった。そのイギリスも、重工業化の波に乗り遅れたために、二度の世界大戦で勝利したにもかかわらず、急速に没落した。そして、イギリスに代わって、世界の覇者となったのは、世界で最初にモータリゼーションに成功したアメリカである。
今でもアメリカは、情報工学や遺伝工学といった、最も重要で先端的な産業の基幹技術を握っている。コンピュターの頭脳ともいうべきCPUでは、アメリカが主導権を握り、他の国は、より重要でないDRAMを作るとか、OSをはじめとする基幹ソフトは、アメリカがデファクトスタンダードを握り、他の国は派生的で泡沫的なソフトを作るといったぐあいに、量では測ることのできない、質的な差異がアメリカとそれ以外の国にある。
最後に、天然資源であるが、これも覇権国になるための条件では全くない。毛織物、綿織物、鉄道、自動車、情報機器といった、各時代の花形産業の原料を提供した国ほど、覇権国から縁遠い国はない。トッドが次のように言って、ロシアを持ち上げることに首をかしげるのは、私だけではないだろう。
なるほど、石油危機のとき、OPECが注目されたことはあった。しかし産油国は、当時、豊富な資金を手にしたが、世界を支配するだけの知的資源を持たなかった。世界を支配するには、富・知・力の三つにおいて、他の国に対して優位に立たなければならない。そして、その中で一番重要なのは知的支配であろう。先端的な産業の分野で、アメリカを凌駕する国が現れれば、その時アメリカは覇権国の座から降りることになるだろう。
(私のコメント)
「株式日記」が反米的なことを書いていると思っている読者も多いようですが、反米とアメリカ批判とは意味が違う。「株式日記」はアメリカを批判はしてもアメリカを憎んでいるわけではない。地政学的にはアメリカと手を組んでいたほうが日本の利益になるだろう。中国やロシアと組んでも民度の低さは日本人とは相容れないだろう。最近はアメリカ人の民度も落ちてきたようだ。
アメリカ人の民度が高ければイラク戦争など仕掛けなかったはずだ。少なくとも80年代頃までのアメリカ人の民度は高かった。映画などの文化作品などで見ればおおよその見当がつく。最近のハリウッド映画にはひどいものが多い。だから最近のアカデミー賞などの作品の題名も思いつかない。文化的にはアメリカはローカルになってしまった。アメリカ音楽にしてもマドンナあたりを最後に世界のスーパースターはいなくなった。
永井氏のブログでも書かれているように世界の覇権国家の条件としては、人口や工業生産高や天然資源などが条件というわけではないようだ。スペインやオランダやイギリスは必ずしも大国というわけではなった。アメリカやロシアはあらゆる意味で大国であり人口や工業生産高や天然資源は大国であり続けるだろう。しかしそれだけでは世界の覇権国家であり続けることは出来ない。
アメリカが世界の覇権国家となることが出来たのは情報工学や遺伝子工学などの最先端の科学技術力によるものであり、人口や工業生産高や天然資源によるものではない。むろん無いよりあった方がいいが、それでは単なる大国に過ぎない。文明が進めば進むほど戦争などにおいても科学技術力が勝敗を左右するようになって来た。
核戦争時代においては人口や工業生産力や天然資源などの大きさはあまり意味がない。核弾頭ミサイルを何千発持っていたところで、ミサイルを打ち落とす科学技術で打ち落とせてしまったら核弾頭ミサイルも無力化してしまう。ソ連はアメリカの科学技術力に太刀打ちできなくなって滅んでしまったのだ。
現在のアメリカはまさに世界の覇権国にふさわしい超大国ですが、科学技術開発力でいつまで世界のトップを走り続けることが出来るだろうか? アメリカの国力を支えてきたのは人口や工業生産高や天然資源の豊富さなどによるものですが、その豊かさを生かして科学技術開発に生かして原子爆弾や宇宙ロケットなどを開発してきた。しかしスペースシャトル計画を最後に宇宙開発は停滞してしまった。
アメリカは情報工学や遺伝子工学に力を入れて資金を投入しているが、最近では日本の科学者が遺伝子工学の壁を突破することに成功した。アメリカはまさに巨額の費用をかけて遺伝子工学に取り組んではいるが卵細胞を用いた研究では倫理的な壁い突き当たっていた。それを日本の科学者が解決したのだ。
◆マウスの肝臓・胃からiPS細胞、臨床応用に一歩前進 2月15日 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080214-00000068-yom-sci
皮膚から様々な臓器や組織の細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)を作った京都大学の山中伸弥教授らの研究グループが、マウスの肝臓や胃の細胞からもiPS細胞を作ることに成功した。
従来のiPS細胞よりがん化しにくく、体の色々な細胞からより安全なiPS細胞を作れる可能性が広がった。臨床応用に向け、さらに一歩前進した。15日の米科学誌サイエンスに発表する。
山中教授らは、ウイルスを運び役にしてがん遺伝子を含む4個の遺伝子を、人やマウスの皮膚に組み込んでiPS細胞を作った。しかし、マウスのiPS細胞を使った実験では、3割にがんができた。その後、がん遺伝子を含まない方法でマウスのiPS細胞の作製にも成功したが、さらに安全な細胞の作製研究を進めてきた。
(私のコメント)
アメリカはまさに国家的威信をかけて科学技術開発に取り組んでいるが、巨額な費用をかけている割には成果が上がっていない。「株式日記」では電気自動車のことや携帯電話のことについて書いてきましたが、自動車はガソリンで動くものという時代から電機で動くものに変わりつつある。その本格的電気自動車でトップを走っているのが日本の電気自動車であり来年には発売される。
自動車といえばアメリカの三大メーカーがありましたが、GMはトヨタに抜かれて自動車王国の座を追われた。燃費の良い自動車の開発に失敗したからだ。アメリカは試作品は出来ても量産品を作る技術が低い。燃料電池にしても一台数億円もするのではとても実用化できない。トヨタのハイブリットカーすらアメリカのメーカーは作ることが出来ない。
アメリカ自慢の情報工学にしても、インターネットはアメリカの軍事技術を転用したものですが、パソコンのCPUやOSをアメリカメーカーが独占して情報工学のトップに立った。しかしそのインターネットもパソコンから携帯電話に時代になり技術の独占は出来なくなりつつある。アメリカの携帯電話は2Gの携帯電話だが日本はすでに3Gから3・5Gの時代に入っている。携帯のインターネット端末としては日本がダントツのリードなのだ。