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大本営発表のような内閣府のGDP発表
政府の発表を新聞やその他の報道機関も、何のコメントもせず能天気に流している。株式市場は予想以上の実質GDPの成長の発表により上昇した。実際に株が上がるような理由があるのだろうか。このような能天気な報道のせいで今までも日本は大きく道をはずしたことがある。
本来の報道なら、
「名目GDPの成長率1、2%」
とするのが普通であろう。
しかし「実質GDP成長率3、7%」
どの新聞も実質GDPの成長のみを取り上げ、名目GDPの成長率を取り上げていない。これは明らかに意図的なものであろう。良い面だけを取り上げ国民に真実を告げないのは、あるいは悪い面を見せないのは、世論の形成に大きな障害が出るということは既に我々は経験済みである。
新聞等の報道機関は速やかに悪いものは悪いと記すべきである。
これまでもデフレでは名目成長率が大事であり、実質GDPの成長は、正しく経済の実態を表さないものであると云ってきた。またデフレ下では、名目GDPの方が生活実感に近いことも明らかである。
デフレにおいて実質GDPを基調に据えるのは経済学的に初歩的なミスである。インフレの時に貨幣の膨張により実態が分かりにくいため実質GDPを取ることが意義が有る。しかし逆にデフレの時は余計な買われない余計な生産を省くため名目GDPに指針を置くことが常識である。
それでも何故このような報道をするのであろうか。
いたずらに株価を上げるために必要なのであろうか。
選挙が近づいているため与党には勲章が必要なのだ。それに日本の主要新聞が加担して一体どうするのか。
もう一度名目GDPを主体に置いた報道をするべきである。
同時に発表された名目GDPは、情けないことに1、2%に過ぎない。実質GDPは2千6年より高くなっているが、名目GDPは、ほぼ同じである。
ご存じのようにデフレ下では、資金が増えず停滞したままで、生産量が増えると付加価値に対する価格が減じるため、原価率が上がることになる。ますます苦しくなって行くのである。
このように大きく実質GDPと名目GDPが解離したのは以前にもあり、それは2千零年から2千4年頃であった。そのころ政府の無策により資金量の減少が著しかったため、激しい低価格競争から生産量が増え、原価率が高まった時であった。
このようなGDPの大きな解離は、無益な競争を巻き起こし、無駄な消耗をするだけである。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/デフレに内在する生産量増大システム)
現在のこの大きな解離は、石油製品の上昇による物価高が原因である。昨年の原油の高騰が生産コストにようやく反映され、製造コストが上がったためそれが実質GDPの成長に加えられているに過ぎないのだ。同じ生産量であればコストが高ければ生産額が増えるのである。さらに輸出寄与度が異常に高くなっている事もその理由である。国内で売れない分を外国に販売して稼いでいるのである。
そして9年連続の民間賃金の減少と住民税の増額が、売上を押さえるため、このような大きなGDPの解離が生じたのである。
日本は原価が上がり、売上が増えないため増々利鞘が取れなくなっており、苦境に陥っているのである。
既にノックアウトされマットに伸びている状態である。この名目の値は、今般の価格上昇を日本経済が乗り切れないことを物語っている。
このような時にあたかも日本経済が好調のような報道を続けることは百害以外の何物でもない。
今でも間違った実質GDPの解釈により、6年以上景気が拡大しているという事を本当に信じている人達がおり、新聞や雑誌でもそのような記事を時々見かけたり、はなはだしいのは、サブプライム問題を見て、日本を見習うようなことを云うような豪傑までいる始末である。こういった間違った情報が流れるため、経済政策が定まらないきらいがある。
日本政府も借金が増え、民間も貯蓄が増えず、さらに消費を削っていく状態なのであり、このような状態で景気が拡大しているわけがないのである。
瀕死の状態は瀕死の状態であると云わなければならない。これを回復傾向といってごまかしてはならないのである。現在の日本は経済の状態ひとつまともに見ることができない情けない状態にあり、それが本来しなければならない政策を取ることを遅らせている。
日本の経済学者はGDPの差を唖然ぼうぜんとして受け取り、また理屈の合わない原因やごたくに過ぎない理論を振り回すであろう。
日本は単にデフレ続いているだけであり、いまさらにそれが深く沈降しているだけである。
一刻も早く日本は名目GDPを増やす政策をすべきなのである。
その方策は資金を消費者側に入れる政策であり、生産者側を優遇するものではない。ガソリン税の低減や、高速代金の低減、消費税の低減などありとあらゆる消費者側優遇策を取るべきなのである。これがデフレのような資金が不足した経済の回復方法なのである。
(その方法は、http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/日本のウイニングショットを参照してください。)