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国の借金を返した5つの例(小野盛司)(神州の泉)
http://www.asyura2.com/08/hasan55/msg/229.html
投稿者 JAXVN 日時 2008 年 2 月 15 日 08:17:47: fSuEJ1ZfVg3Og
 

「国の借金を返した5つの例(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第二十六弾です)
http://tek.jp/p/

 財務省の発表によれば、2007年度末で、日本の国と地方を合わせた長期債務残高は773兆円で、GDP比では148%となっている。このように一時期債務残高のGDP比が上昇したが、それを低めることができた5つの例について、具体的に何がGDP比を低めたのかを調べてみよう。データは米山秀隆(2003)とOECD(2007)から引用する。

@ナポレオン戦争後のイギリス

 イギリスの対フランス戦争であったナポレオン戦争(1793〜1815年)後、イギリスの政府債務は大きく累積し、政府債務比率(国債残高/国民所得)は210%(1818年)に達した。これを減らしたのは、産業革命による工業力の飛躍的向上がもたらした経済の発展であった。1891年までに債務比率が8割も減ったのだが、その要因が2つある。一つは国債残高が少し減ったこと。それよりもずっと大きい要因は国民所得が4倍にもなったことだ。

http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2008/02/14/photo_3.jpg 

A第一次大戦後のドイツ

 ドイツは第一次大戦の敗戦によって、1921年のロンドン会議によって1320億マルクにものぼる多額の賠償金の支払いを課せられた。これは当時のドイツのGNPの20倍であったということで、債務/GNPは2000%ということになる。しかも債務も国債発行残高ではなく、外国からの借金というわけである。このような巨額の借金の返済に、増税ではとても無理で、通貨を乱発するしかなかった。結果としては価値ある物は外国に持ち去られ、物不足と金余りで、ハイパーインフレになった。1924年にはドイツが毎年支払う賠償金は現実的な額まで削減され、政府も強力な引き締めを行った結果、インフレはピタリと止まった。
 この例では、インフレにより名目の国民所得が増加し、政府債務は事実上消えてしまった。もちろん、インフレが収まった後、通貨の信用は回復したわけで、ハイパーインフレの続いていた短い期間のみが通貨の信用が失われただけである。

B第二次世界大戦後のアメリカ

 第二次世界大戦後の1945年、アメリカの政府債務比率(政府債務/GNP)は110%に増加していた。国債市場に混乱が起こらないようにするため、第二次世界大戦中の1942年に連銀と財務省が、国債の買い支えを行って金利が一定水準を上回らないような措置をとることで合意した。この結果国債の利回りは2.5%以内の水準で維持された。1965年には政府債務比率は36%にまで下がった。
 政府債務は3%増加したものの、名目GNPが3.2倍になったために、政府債務比率はここまで下げることができた。つまり名目GNPの増加率のほうが、債務の増加率よりはるかに大きかったために債務比率は大きく下がったというわけだ。

C第二次世界大戦後の日本

 戦後、1944年には政府債務比率(政府債務/GNP)は189%に達した。これは軍事費の調達を国債発行に頼ったからである。国債の日銀引き受けにより日銀券が大量に発行されただけでなく、戦争で生産設備を破壊され物不足になったためにハイパーインフレとなり、国の債務はほぼ帳消しになった。ただし、1949年にドッジラインを実施し、緊縮財政に移ってからインフレは一挙に収まり円の信用は回復した。

Dイタリア

 1998年にはイタリアの債務のGDP比は132.6%であった。これは社会保障費の増大によるものであった。EU通貨統合という外圧により、財政再建の取組がなされた。その結果2007年には債務のGDP比は116.9%にまで減少している。この間、債務は24%増加しているが、名目GDPは41%増加し、債務以上に増加したため、結果として債務のGDP比は減少した。

 以上、5つすべての場合で共通して言えることは、債務のGDP比が100%を超えるような場合、債務を減らすには、GDP(GNP)を増やすしかないということだ。債務を減らしたことが主たる要因で債務のGDP(GNP)比が減った例はない。@のみが債務を僅かに減らしたことが債務比率の減少に貢献しているが、債務比率の減少への貢献度から言えば、GNPの増加のほうが約4倍大きい。それ以外の4つの場合はすべて政府債務は増えているが、それ以上に名目GDPが増えたために、結果として債務のGDP比が減っている。このことから結論されることは、日本は今は債務を減らすことを一旦棚上げし、景気対策をしてひたすら経済成長率を高めることに専念すべきだということだ。行き過ぎたインフレにする必要はなく、インフレ率の上限を若干高めに設定し、名目成長率を高める努力をすれば、実質成長率も高まり、暮らしも豊かになる。その際、国債市場に混乱が起こらないようにするため、1942年にアメリカで行われたように、国債の買い支えを行い、国債の下落を防ぐようにするとよい。円の信用は落ちることは考えられない。(小野盛司)

米山秀隆(2003) Economic Review 2003,7
OECD(2007) OECD Economic Outlook No.82 (2007)」

http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_f975.html 

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