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機関投資家のユーロ買い話題に、日本株に内外から打診買い
2008年 04月 7日 14:22 JST
[東京 7日 ロイター] 7日の東京市場は株高/債券安。ドル/円やクロス円も堅調地合い。前週末の3月米雇用統計が予想外の弱い結果になったものの、米金融システムの安定化期待を背景に米金融・株式市場が落ち着いた動きだった。
そのため、タイミングを見計らっていた日本の一部の機関投資家が、ユーロ建てなど海外証券投資に動き始めたとの指摘が出ている。米株先物が上昇していることもあり、日本の株式市場にも内外から打診買いが入っている、という。
<機関投資家の買いでクロス円が堅調、ドル/円買い戻し>
為替市場はドル買い/円売りが優勢になっている。朝方は米雇用統計を受けて「ドル売りの地合い」(信託銀)で、ドル/円は下値のストップを付けに行く動きで101.30円まで下落した。ただ、その後はユーロ/円の上昇や短期筋の買い戻しに支えられて102.68円まで上昇した。
仲値公示にかけて、アジアネームや米系証券のドル買いが入った。前週末の米雇用統計発表直後に101円半ばまで下落したものの、102円前半まで戻していることから「あせって売る感じではない。下げるには力が足りない」(商社)との指摘もある。ある証券関係者は「米雇用統計が悪かったため売ってみたものの、居心地が悪かったので買い戻しの動きに転じている」と指摘。その上で「3月のドル売りモードは遠退き、短期的に104円回復の可能性もある」との見方を示す。
クロス円ではユーロ/円が160円後半に上昇。機関投資家が積極的に買いを入れたようだ。新年度入りして新たな外貨需要が出ている、という。また、本邦の短期筋によるユーロや英ポンド、豪ドル買いが進んだ。
機関投資家の動きについては、弱い米雇用統計にもかかわらず、円買いが進まなかったことで、ユーロを中心に買い出動し始めている、との声も聞かれた。
ある生保の幹部は「ドルの魅力が薄れている中で、外債投資はやはりユーロということになる。欧州中央銀行(ECB)の利下げをどう読むかにかかっているが、年前半の利下げあり、とみるならば、キャピタルゲイン狙いで投資するのも一手」と話していた。
一方、円売りの継続性については慎重論も多い。ある外銀関係者は「信用リスクが払しょくされたわけではない。足元のドル買いは方向感とは関係ないのではないか」といい、「需給要因で買われた後は一服すると見ており、今後も一方向にドル買いが進まれるとは考えにくい」との見方を示す。
新光証券・通貨ストラテジストの鈴木健吾氏は「ドル/円は、JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)がベアー・スターンズ(BSC.N: 株価, 企業情報, レポート)買収を決めてから反発局面にあるが、前週は102円後半になると上値が重くなった。米金融機関の増資は市場に好感されているが、米経済のリセッション入り懸念の影響が出始めており、依然として上値が重い。一方で、テクニカル要因によって下値は100円後半で支えられている」とし、今週は100―103円
の狭いレンジを予想している。
<国内外の長期資金/欧州系ファンドの株買い観測>
株式市場では日経平均が反発している。3月米雇用統計を受けた米景気後退懸念から朝方は売りが先行したものの、為替相場が1ドル102円台のドル高/円安に振れて、輸出関連株に安心感が生じた。GLOBEX(シカゴの24時間金融先物取引システム)のS&P500先物が堅調に推移していることも買いを誘う要因となり、前場中ごろからプラスに転じた。
「国内外の長期資金が前週から割安株に打診買いを継続している」(準大手証券エクイティ部)との声や、「欧州系ファンドが商社株、銀行株などに新規資金を入れている」(大手証券)が出ていた。
三菱UFJ証券・シニアストラテジストの白木豊氏は、サブプライム問題に端を発した金融不安がターニングポイントを通過したとみている。「SIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)、モノライン(米金融保証会社)など未知の物に対する不安心理で、株価が下落する段階が最悪期だった。ベアー・スターンズ救済に関しては意外感があったものの未知の恐怖感はなく、連鎖的な金融破たんが起こらないという安心感につながった」という。「過度な悲観の修正が進めば、為替、クレジットなどの市場も落ち着き、米利下げなどの政策効果が効き始める。米国株の底堅さは政策効果を織り込む段階に入ってきたためだ」と白木氏はみている。
ただ慎重な見方も残っている。新生銀行・アセットマネージメント部部長、作本覚氏は「原料炭の大幅値上げによるコストアップが報じられて鉄鋼株が売られるなど、センチメントは必ずしも明るくはない。価格転嫁による製品値上げや企業の利ざや圧縮による賃金への影響など、個人消費をめぐる環境も悪化しつつあり、影響は鉄鋼株だけにとどまらない」と話す。
さらに「欧米金融機関の財務への懸念が払しょくしきれていない中、来週には米金融機関の決算発表を控え、すでにアナリストによる格下げなどが始まっていることから、日本の銀行株もこれ以上は買いにくい。ショートカバーだけの戻りはそろそろ限界だ。一段の上値をねらうには新規の買いが必要だが、買いを入れる手掛かりが見当たらない」という。
<日銀の利下げ観測高まりの時期に注目>
株高などを受けて円債は反落している。朝方は、前週末の米債高の流れを受けてショート・カバーが優勢となったが、新たに買いを進める材料も乏しく、ドル/円が反発し日経平均株価が上昇に転じると、徐々に売りに押された。期初の買い期待は強いものの、国内投資家などの積極的な買いはいまのところみられない、という。
ある国内証券筋は「米雇用統計で景気後退見通しが強まってはいるが、ある程度は予想された範囲。サブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅融資)問題の余波に対する市場の反応は以前より小さくなっており、ここから日銀の利下げを織り込んで金利が低下していくとなると、もう1つ材料が必要」と話している。
カリヨン証券・チーフエコノミストの加藤進氏は、日銀総裁が決まった後、利下げの議論が高まるかどうかが短期的な焦点という。加藤氏は「利下げ観測が出てくると、おそらく銀行勢はリスクの少ない2年、5年など短いゾーンの債券を買っていくことになる。一方で生保や年金などの長期的な投資家は、超長期ゾーンを含めた長い金利にどこまでの低下余地があるかを見極めることになるだろう」とみる。さらに「前週の10年利付国債入札がかなり低調な結果となった経緯を考えると、今の状況では1.2%をさらに買い進むのは難しいのではないか。米国の長期金利もそれほど下がっているわけではない」とし、短期的にはイールドカーブはスティープニング気味になる可能性があるとみている。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:田巻 一彦)
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