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「事前了解」生かせたか【朝日】
http://mytown.asahi.com/saga/news.php?k_id=42000000902280001
2009年02月28日
事前了解後、記者らの質問に応じた古川知事=26日、県庁
九州電力玄海原子力発電所(玄海町)でのプルサーマル発電に使うMOX(ウランとプルトニウムの混合酸化物)燃料の輸送に関し、26日に県と町が九電に対して行った「事前了解」は、九電との安全協定に基づく佐賀独特のものだ。この手続きを踏まなければ事を先には運ばせないという、強力にして全国的にもたぐいまれな内容。当事者たちは、使いこなせたか。形骸化(けいがいか)させてはいまいか。
事前了解が必要な根拠は「原子力発電所の安全確保に関する協定書」(1972年11月締結)の第4条だ。
条文では、事前了解が必要になる三つのケースを挙げている。プルサーマル計画導入は「原子炉施設変更」に該当するため、九電はこの条文に基づいて、県と町から事前了解を得る手続きを取った。
「新燃料」輸送も、事前了解の対象に該当した。こうした例は全国の原発立地道県の中では「珍しい」(県原子力安全対策課)という。
現在、地元でプルサーマル計画が具体的に進む各道県では、MOX燃料も含む「新燃料」の輸送について電力会社とどんな取り決めになっているのか。表にまとめた。
中部電力浜岡原発のある静岡県は昨年12月、プルサーマル導入に備え、御前崎市と中電との三者間で、MOX燃料輸送についての安全協定を結んだばかりだ。
県内の港湾に接岸した輸送船から同原発にMOX燃料を輸送する際に、2週間前までに県・市と事前協議することを定める内容。「燃料を陸送するには従来の協定では対応できないと判断した」(同県原子力安全対策室)という。
ほかの5道県では、道県や地元市町村に対し、電力会社が輸送計画を事前に提出したり通報したりすれば済むことになっている(青森県は電源開発・大間原発が建設中で協定未締結)。
九電と愛媛・伊方原発の四国電力、静岡・浜岡原発の中部電力が共同で実施する今回の燃料輸送に際して、国土交通省の承認に加え、地元自治体の事前了解まで必要とされた電力会社は、九電だけだった。
【こらむ】
古川康知事は2月17日の定例会見で、静岡県のようにMOX燃料輸送に絞った協定を結ぶ考えはないか、と問われた際、こう得々と答えていた。
「原発所在地では、玄海のように燃料輸送を事前了解の対象としている所は圧倒的に少ない。浜岡は、やっと我々と同じレベルになったということだ」
我が県が九電と結んだ安全協定は、文字面を見る限り、確かに他道県をリードする厳格で先進的な内容である。
だが、26日夜、国の結論を受けて1時間半で事前了解を即断した知事は、記者たちに了解の根拠を問われると、「安全確認に一義的な責任を持つ国の判断に従った」「県として判断すべき要素はないと考えた」との説明に終始。しまいには「(輸送の安全性は)技術的な問題で、事前了解には本来なじまないと考えている」と、御自慢の協定の意義を自ら否定してしまった。まさに、仏作って魂入れず――。
「判断の場を国から県に取り戻す」と03年に鮮烈な政界デビューを果たした元中央官僚。威勢は「虚勢」でしかなかったのか。(市川雄輝)
◇
■プルサーマル計画が進む8道県の新燃料輸送の条件
(いずれも道県と電力会社間の安全協定で定める手続き)
佐賀県/九州電力・玄海/県・町の事前了解
愛媛県/四国電力・伊方/事前の輸送計画提出
静岡県/中部電力・浜岡/県・市と電力間の事前協議
福井県/関西電力・高浜/事前の輸送計画提出
島根県/中国電力・島根/事前の輸送計画提出
青森県/電源開発・大間/(安全協定未締結)
宮城県/東北電力・女川/事前の通報連絡
北海道/北海道電力・泊/事前の輸送計画提出
◇
■県・玄海町・九州電力の原発安全協定
第4条(事前了解等) 乙(九電)は、次に規定する場合は、事前に甲(県・町)の了解を得るものとする。
(1)原子炉施設を変更しようとするとき
(2)土地の利用計画および冷却水の取排水計画を変更しようとするとき
(3)新燃料、使用済み燃料および放射性廃棄物の輸送計画(輸送上の安全対策を含む)を策定しようとするとき