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http://www.news.janjan.jp/living/0812/0812260257/1.php
六ヶ所再処理工場営業運転の危険 溶融炉内の耐火レンガが脱落、ガラス固化試験長期停滞
桐生広人2008/12/30
ガラス固化体製造試験で、今度はA溶融炉内部の「耐火レンガの脱落が起きた」と日本原燃は12月24日に発表した。設計通りにはなかなか動かないガラス固化は、いまその技術が開発・実験段階で、完成したものではないことをまざまざと見せつけている。環境中に放射能を排出し世界の人々を危険にさらし、エネルギーの専門家に「大金を使って価値のないプルトニウムをつくろうとしている」とまで言われる再処理工場建設の必要性は全くない。
アクティブ試験がはじまって以来、トラブルを繰り返す危険な青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場。10月から再開していたガラス固化体製造試験で、今度はA溶融炉内部の「耐火レンガの脱落が起きた」と日本原燃は12月24日に発表した。
・http://www.jnfl.co.jp/press/pressj2008/pr081224-a.html
フランスの核エネルギー・コンサルタントのマイケル・シュナイダーさんは、「もはや無価値となり核兵器製造にもつながるプルトニウム生産に2兆円もの資金を投じようとする日本の政策はたいへんユニークだが、そこから出る放射能が世界的な被曝に影響を及ぼすのは決して笑える状況ではない」と言っており、工場建設自体が深刻な問題なのだが……(関連記事:プルトニウムには「全く価値がない」、市場的には「マイナスの価値」)。
耐火レンガ脱落の報に、失態を繰り返す危険な再処理工場建設を止めよと訴える「再処理とめたい!首都圏市民のつどい」の定例行動・霞ヶ関通産省前(12月24日、筆者撮影)
ますます不透明となった再処理工場の完工
日本原燃は、ガラス固化体製造試験の度重なるトラブルで先月25日、アクティブ試験の終了時期を3ヶ月遅らせ来年2月に変更するとして、1989年の事業申請から15回目の延期を発表した。ところが、今回の溶融炉内部の損傷事故で、再処理工場の完成時期はますます不透明になり、工場の下に活断層が発見され地震による高レベル放射性廃棄物漏洩の危険がますます高まった。建設を断念するにはよい機会だ。
ガラス固化試験は,現在三度目の長期停止に陥った状態が続いている。10月10日からガラス固化体製造試験を再開したが、白金属堆積の解決のために溶融炉内のガラス溶液をかき回す撹拌棒を入れたり,棒を入れる窓にトラブルが起きるなどし、その対策でガラス固化体製造はほぼ止まった状態だった(関連記事:・ガラス固化体試験3回目の停止、「再処理から撤退を」の声高まる)。
これに続いて11月23日には撹拌棒が曲がって、抜き出せない事故が発生した。12月10日に炉内にカメラを入れて調べたところ,先端部分が90度近く曲がり挿入窓に引っかかって引き出せなくなり,そのため炉の内部が損傷している可能性があると11日に日本原燃は発表した。
天井を支える重要な耐火レンガの脱落を発見
撹拌棒は19日に引き抜かれたが、22日に監視カメラを炉内に入れ炉内の損傷を調べたところ、「溶融炉上部の耐火レンガの一部が損傷していることが確認され」たと24日発表した。報道等によると、損傷が見つかったのは炉の天井部分で,耐火煉瓦の一部、幅14cm、奥行き24cm、厚さ7cm、重さ6kgが剥がれ落ちたというもの。日本原燃は、レンガの外側は金属などで四重に覆われ、一部が損傷しても「必要な断熱機能と構造的強度が維持できていることを確認した」「本事象に関して安全上の問題はない」などと児島社長が記者会見で述べている。
・http://www.jnfl.co.jp/jnfl/president-talk200812.html
この見解について原子力資料情報室は、原燃の発表や児島社長の発言は安全性を全く無視していると批判している。脱落した耐火レンガは天井に張られた他の耐火レンガを支える「アンカーレンガ」というレンガの下の部分で、まさに天井の耐火レンガを支える重要な部分の損傷であるからだ(関連サイト:再処理工場・ガラス溶融炉:耐火レンガ脱落! 原子力資料情報室)。
炉内を曲がった撹拌棒でかき回したり炉底に押し付けたりしたため、炉底も損傷した可能性があることから、原燃はこれから炉内に残る約900リットルの溶融ガラスを抜き出して調べることにしている。約2週間かけて再加熱して抜き取った後、損傷の有無をカメラで確認できるまでに再び炉を冷ますにはさらに2週間程度時間がかかる。溶融ガラスの抜き出しと検査開始まで1ヶ月以上かかる見通しで、損傷があれば修理に時間がかかり、2月の試験運転終了はほとんど難しくなった。
耐火レンガ脱落の報に、失態を繰り返す危険な再処理工場建設を止めよと訴える「再処理とめたい!首都圏市民のつどい」の定例行動・霞ヶ関通産省前(12月24日、筆者撮影)
熱したり冷ましたりはさらに亀裂・損傷が広がる危険が
原子力資料情報室によれば、耐火レンガ脱落の原因が撹拌棒の接触や熱疲労による場合でも、炉の再加熱により脱落部分からさらに亀裂・損傷が広がる危険性があり、アンカーレンガ自体の破壊や天井レンガの脱落も懸念されるという。「高レベル放射性廃棄物という人類最大の負の遺産を扱うガラス固化施設が全く機能しないことが明らかになり、ガラス固化体製造試験は事実上失敗した」と断言、六ヶ所再処理工場の稼働を止めることを求めている。
国が承認した設計には、高レベル放射性廃液の溶融炉に撹拌棒を突っ込むという考えはなかったという。設計通りにはなかなか動かないガラス固化体製造試験というのは、実はいまその技術の開発・実験段階で、完成したものではないことをまざまざと見せつけており、実に恐ろいことだ。
単なる化学コンビナートなら、建設遅延で費用がかさむ点で気になっても、誰しもが必要と思うなら開発努力に声援を送りたくもなる。しかし、環境中に放射能を排出し世界の人々を危険にさらし、エネルギーの専門家に「大金を使い危険な上に価値のないプルトニウムをつくろうとしている」とまで言われる再処理工場建設の必要性は全くない。