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http://www.shinchosha.co.jp/book/423104/
「温暖化による悪影響は地球を蝕んでいく」って本気でそう思ってるの?
ほんとうの環境問題
CO2の排出量を削減しよう」だって? 「地球温暖化を防止しよう」だって? そんな“瑣末”なことは、どうでもいい。ほんとうに重要な「問題」は、別にある??。情緒的で倒錯的なこの国の環境ブームを痛烈に批判し、現代文明の本質に関わる環境問題を根源的に考える書。
発行形態
:
書籍
判型
:
四六判変型
頁数
:
190ページ
ISBN
:
978-4-10-423104-1
C-CODE
:
0095
ジャンル
:
サイエンス・テクノロジー
テクノロジー
発売日
:
2008/03/18
?地球温暖化論の背景にあるエネルギー問題
池田 地球温暖化論というのは、そもそも、一九八八年に、ジェームズ・ハンセンという人が言い出したのが、きっかけでした。
養老 当時は、熱帯雨林の喪失が問題視されていたころでした。地球温暖化論というのは、その緑の喪失とエネルギー問題とを上手に結びつけた話だったと思う。あと、地球温暖化論を原発の推進派が拡大させていったという筋もある。
つまりは、いろんな政治的背景があったと思うけれど、石油エネルギーの使用を抑制することと緑を保存するということを上手にくっつけたのが炭酸ガス問題で、知恵者がいるなと思った。それはつまり、石油会社が長生きをして、アメリカが儲かる、という方向の話だから。要するに、石油エネルギーをできるだけ使わないかたちの産業に、アメリカは早くからシフトしていくことを考えていた。石油問題の重要性をアメリカは古くから知っていたということでしょう。
池田 その時どきでやっぱり政治的な裏があった。たとえばスティーヴン・シュナイダーという学者は、原子力産業の手先みたいな人だけれども、一九七〇年代には、石油をどんどん燃やすとそれによるスモッグの微粒子で大気が汚染されて太陽光を遮ることになって寒冷化が進むという主張をしていた。それが、今度は、CO2によって地球温暖化が進むから火力発電はやめようということを、同じ人が言っている。結局は、火力発電の代わりに原子力発電にしよう、と言っているわけね。どっちにしろ、原子力発電推進が彼の真の目的だったわけだよ。原発推進につながるのなら、寒冷化だろうが、温暖化だろうが、どっちでもいいんだ。
「環境問題が叫ばれる背景にある、そういう政治的な裏を、ちゃんと読もう」と一般の人に言ってもしょうがないかもしれないけれども、少なくとも政治家は、そういうことをある程度はちゃんとわかった上で政治をやらないと、とんでもないことになると思うんだけどね。環境省の役人たちはわかっているのか。本気で考えているのか。そして大臣にそれをちゃんと伝えているのか。とてもそうは思えないな。
養老 「政治的」ということで言えば、たとえば少子化問題についても、「少子化を食い止めよう」という主張と、それとは反対の主張があったとして、月刊総合誌には双方の意見が載っている。でも、人口減少というのも地球温暖化と同様に「中立」の現象なのだから、その現象が進むことによってそれぞれプラスとマイナスがあるに決まっている。そのプラスとマイナスを並べて、見極めていくというのが、最初にやるべきことなのに、それをやらないで、いきなり、「私は賛成」「私は反対」と言うのがいまの政治なんですね。
地球温暖化についても、温暖化によるデメリットもあるかもしれないけれども、間違いなくメリットもあるでしょう。そのメリットを挙げただけで、「おまえは温室効果ガス排出に賛成なのか」とか、「地球破滅の危機に瀕したらどうしますか」と言われる。そんなことを言ったら、何だって言えるんだよ。
池田 そうなんだよね。あと五〇年経ったら大きな隕石が降ってくるかもしれないわけで、そしたら地球温暖化が問題どころの話じゃないよ(笑)。
予測がでたらめかもしれないのにそれをもとに話を進めようとするからおかしなことになる。地球温暖化の予測にしたって、炭酸ガスの濃度だけが重要な変数で、あとの要素は重要でないというようなやり方で予測をしている。炭酸ガス以外の要素が重要じゃないなんてことは誰が決めたの? 丸山茂徳が言っているように(本書の一一七頁)、太陽の活動が落ちたら温暖化なんて全部チャラだよ。
養老 そうなったら、「炭酸ガス、出しておいてよかった」と言うかもしれない。
池田 「もっと排出すればよかった」とか「誰が炭酸ガス抑制しろと言ったんだ」という話になるよ。地球が破滅とかいうのは、大隕石の衝突などのすごい天変地異によってということでしょう。人為的な温暖化ぐらいでは地球の破滅は起こらないよ。ハンセンが「異常気象が地球の温暖化と関係している」と言い出して二〇年が経って、海中に没した田畑もなければ、マラリアやデング熱の大流行もない。それ以外のことはずいぶん起こっているよ。たとえば地震で人が大勢死んだ。でも地震は温暖化と関係ないよね。日本では交通事故で毎年一万人近くが死に、自殺で三万人が死んでいる。温暖化と関係なく、そのほうがよっぽど現象としても大変なことでしょう。