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“媚中報道”を止めた朝日新聞の気になる最近の報道 − サーチナ
http://www.asyura2.com/08/china01/msg/292.html
投稿者 児童小説 日時 2008 年 9 月 18 日 08:15:21: nh40l4DMIETCQ
 

中国を読み解く視点(70)−高井潔司(北海道大学教授)

  朝日新聞の中国報道がおかしい。ネット右翼から、決まって“媚中派”などと揶揄される同紙だが、最近ではチベット問題などで、そうしたネット右翼に媚びているのではと思いたくなるほど中国当局に手厳しい記事が目に付くようになった。『文芸春秋』08年10月号の「新・東京裁判」特集の「メディアの大罪」の項では、満州事変を機に、それまで軍部に対しても批判を展開していた朝日新聞が「大きく社論を転換することになった」と指摘されている。それによって、体制翼賛、軍国主義礼賛への道が開かれる一因を作った。北京五輪を機に対中論調を変えたとまではいえないだろうが、朝日の影響力は極めて大きいから、その変化に注意を喚起しておきたい。

◆チベット民主活動家を礼賛――偏る情報源

  北京オリンピックの期間中から、中国問題をめぐって、朝日がこんな報道や評論を掲載するのかと、感じる記事がちらほらみられたが、一番驚いたのは、9月11日付の国際面である。まず見開きの国際面の右側のトップ記事となる「厳戒北京で自由叫ぶ チベット民主化支援の活動家」。ワシントン特派員のこの問題をめぐる記事と活動家の実行メンバーのインタビューの2本立てとなっている。

  その情報源はほとんど「チベット学生運動(SFT)」か、亡命チベット組織のメンバーと一方的な内容だ。「綿密に計画された活動の舞台裏を探った」というのが記事の狙いのようなので、それは仕方がないとしても、こうしたデモ活動からすでに2週間以上経過して、こうした活動が今後の“解放運動”にどうつながっていくのか、という分析こそあってしかるべきで、なぜこの時点で、彼らの“ゲリラ的活動”の舞台裏を知らせる必要があるのだろうか。この記事は、「厳戒の中で、してやったり」という活動家の礼賛記事に終わっている。

◆情報源を示さない宗教介入記事

  この日の国際面の右側のページに、もう1本、「宗教に政治介入で波紋」「中国新疆ウイグル自治区 断食時も『営業せよ』」という記事があった、これは上海発の特派員電であった。この記事の奇妙なところは、全く情報源が書かれていないことだ。情報源が書かれていないので、その内容がどの程度信憑性があるのか、評価の仕様がないのである。もちろん、こうした記事の場合、情報源については、それを明らかにすると、情報源に危害が及ぶ場合もあり、情報源が秘匿される場合がある。だが、その場合でも「現地の反体制派筋の話では」とか「現地のイスラム系住民によると」、場合によっては「当局の文書によると」など、ある程度情報源を示して、その確度を読者に評価してもらうのが、「客観報道」の原則である。「客観報道」を装う原則であるといってもいいかもしれない。

  ところが、この記事は「自治区の各地方当局が、断食の時間に食事をさせるなど、宗教活動への介入を強めている」、「政府や共産党のウイグル族職員に対しては、昼間から飲食店を利用し、『宗教的雰囲気を薄めるため積極的な役割を果たす』よう指示した」などと、全て断定調で、見てきたように書いている。

  そこまで中国当局が公然とやるとは思えないから、この記事は内部情報に基づいて書いたものだろう。ウイグル族の反政府組織の情報かもしれないし、当局内部に勤務するウイグル人からの情報かもしれない。自治区内の各地の情報を書いているから、記者が直接、見聞きしたものではないはずだ。ならば、当然、誰から聞いた情報であるのかを書くのが、原則である。上海特派員が上海から発信した記事なのだから、いつ、どこで、どのような方法によって、この情報が得られたのか、この記事の信憑性を高めるためにもできるだけ記事の中に書き込む努力が求められる。

◆問われるデスクワークの力

  実は、これは特派員のせいというより、朝日の国際面担当の部門のデスクワークのレベルの問題であろう。もし特派員がこうした記事を書いたとしても、本社のデスクでチェックされるのが、ジャーナリズム専門組織としての新聞社の長所である。これがなされないというのは、よほどデスクの力が落ちているのか、ネット右翼などの批判を受けて、必要以上に中国の人権問題、少数民族問題に厳しくなければいけないという意識が働いているためではないだろうか。

  もちろん中国の人権問題や民主化の遅れに対して、批判記事はあってしかるべきだろう。しかし、報道の原則やバランスをしっかり守ってやってもらわないと、読者にとって、「信じるか」「信じないのか」の二者択一しかない、乱暴な記事になってしまう。

  この日は見開き紙面と書いたが、この二つの記事は中国の少数民族問題を扱った記事でありながら、左右の紙面で、ばらばらに掲載されている。通常は関連記事として、集められる。一緒に並べてこそ、中国の少数民族問題の問題点が明確になる。それ以上に、朝日の最近の中国報道の姿勢もより明確になっただろう。その意味でも、この日の国際面担当の部門のデスクワークには問題が多い。

  「媚中報道」を止めるのは当然だが、朝日新聞がこのようなレベルの中国報道をしていては、日本の中国報道が大きく歪んでしまう。特定の新聞社の報道を一方的に俎上にあげるのは忍びないが、朝日新聞の影響力が大きいだけに、敢えて苦言を呈しておきたい。(執筆者:高井潔司・北海道大学教授)

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0916&f=column_0916_006.shtml  

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