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(回答先: がれきの中で決然と しかし再建復興が中国政府の試金石に――フィナンシャル・タイムズ(1) 投稿者 gataro 日時 2008 年 5 月 31 日 20:40:42)
http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/ft-20080529-02.html
がれきの中で決然と しかし再建復興が中国政府の試金石に――フィナンシャル・タイムズ(2)
2008年5月29日(木)19:29
(1から続き)
中国共産党が被災者支援を最優先課題のひとつに掲げた今、独立した民間団体と協力しようという意欲は拡大するかもしれない。今回の大震災が中国政府と市民 社会の関係にとって分岐点になるかもしれない。そう見る中国ウォッチャーもいる。幅広い民意に支えられた市民社会に貢献できることはたくさんある。中国政 府がそれを公的に認める方向へ、今回の地震を機に動くかもしれないのだ。
「地震や(2002-2003年に中国を襲った)重症急性呼吸器症候群(SARS)は、中国人にとって、そして国際NGOにとって、扉をこじ開けるきっかけとなり得る」とシー助教授。
それでも独立民間団体は青信号になるのを待っているわけにはいかない、その前にNGOの方から一歩踏み出さなくてはならない。エイズ支援NGOのワン氏は こう言う。「NGOにもっと働いてくれと政府の方から言ってくるのは考えにくい。一方でNGOががんばって働いて貢献すれば、NGOの存在を政府が容認し てくれるようになる、という展開はあり得る。大事なのは市民社会が自発的に、自らを駆り立てて活動することだ」
地震はそのほかにも、中国共産党が直面する問題を浮き彫りにしている。それはたとえば党のプロパガンダ機関が、急成長してどんどん商業的になるニュース業界をどうコントロールし、かつ2億2100万人超の中国インターネット・ユーザーの間を行き交う情報の流れをどうコントロールするか、などだ。
これまでのところ、共産党は情報を巧みにコントロールしてきた。国営放送や新聞・雑誌による手厚い総力報道によって、中国の人たちはかつてないほど詳しく緊密に、被災地について情報を得ている。しかしどういう情報をどういう形で発信するかについて、中国政府がかっちり管理していることに変わりはない。
中国における報道の自由拡大を訴える人たちは、震災報道に見える中国メディアのがんばりぶりを頼もしく見ている。過去30年で最悪の大災害を前に、国内の2000紙近い新聞と2000局以上のテレビとラジオ局は、連日大々的に被災地状況を報道している。また中国は今回、外国メディアの自由な被災地取材をかなり認めた。これは悲惨なサイクロン被害に見舞われたビルマ軍政の対応とは対照的な対応だった。
被災の最前線から情報が得られるという今回の現象が、中国における報道の自由への分岐点になるのではないかと期待する声もあがっている。しかし震災報道を容認する当局の姿勢は、国民に与える情報を最終的にコントロールするという中国共産党の変化を示すものではない。それよりもむしろ、当局のメディア統制術がますます洗練されてきていることの表れだ。
中国共産党中央政治局の李長春(リ・ツァンチュン)常務委員は、震災からわずか数日後の時点ですでに、震災報道は「団結と安定を強め、プラス面の報道を中心にして災害に立ち向かう精神的な原動力を提供すべきだ」と強調していた。
地震によって中国の報道統制がいくらかでもこじ開けられるかどうか。それを測るリトマス試験紙は、被災校舎の耐震性の問題になるだろう。地震によって四川省では7000室もの教室が破壊されたと当局も認めている。嘆き悲しむ親たちは、そして中国中のインターネット・ユーザーたちは、校舎が倒壊したのは汚職のせいではないかと追求している。腐敗した地元役人たちが建設費を横からかすめとり、建設基準を無視して、安全基準に満たない粗末な校舎の建設を許可したのではないかというのだ。
成都市都江堰の聚源(ジュユアン)中学校では校舎本館が全壊し、約500人の生徒が死亡した(訳注・900人との情報もある)。にもかかわらず学校周辺のアパートはほとんどが倒壊を免れた。体育教師チン・ビンさんは地震発生時に2クラスと一緒に校庭にいた。校舎の反対側に立ったままの教室棟を指差して、「あの建物は無事だ」と言う。「崩れたもう一つの建物は築10年にもならない。なのになぜ崩れたのか? ひどい手抜き工事だったに違いない」
しかし被災地で多くの校舎が倒壊したことについて、中国メディアはここ数日、すっかり静かになってしまった。手抜き工事と汚職との関係性について多くの国民が憤慨しているだけに、これは政治的にデリケートな問題なのだ。
メディアに対する中国当局の実力は、週刊誌「旅遊新報」の停刊処分で改めて強調された。同誌は震災特集号で、震災のがれきに見立てた場所で、薄着のモデルにセクシーなポーズをとらせた悪趣味な写真を複数掲載していた。国営メディアによると地元政府当局は、「国家の尊厳を汚し、人民の高潔な感情を傷つけた」として、同誌の停刊を命令したという。
警察当局も、地震に関する「危険なデマ」を携帯電話や電子メールで広めている人々を次々と発見し検挙したと、誇らしげに発表している。
メディアが発する情報は確実に管理統制する。中国政府のこの確固とした決意は確かに、短期的な政治問題の解消にはつながるだろう。しかし情報統制は、地震に対する政府の長期的な対応能力を損なうかもしれない。
災害復興における汚職を減らし、非効率性を減らすには、マスコミの監視が不可欠だとよく言われる。しかし過去の中国当局は往々にして、報道関係者の自由を認めてこなかった。現代史最悪の自然災害と言われる1976年の唐山地震について著書のある、高名な調査報道ジャーナリスト、銭鋼(チャン・ガン)氏は、積極的な震災報道を政府がどこまで認めるつもりなのか不明だと話す。
これまでのところ中国の検閲当局は、役人の不正糾弾を大きく扱うよりも、復興について前向きなメッセージを広く伝えさせようと動いているようだ。中国紅十字会(中国の赤十字社にあたる)が被災者向けテントに払っている代金が高すぎるという情報は、たちまち消された。人気サイト「QQ.com」でも、テントの一部は都市部の金持ちが使っていて、本当に必要としている貧しい被災者に行き渡っていないという指摘は、やはり削除された。またこの問題を議論していた四川の掲示板サイトは、何の説明もなく閉鎖された。
とはいえそれでも、被災者の苦しむ姿を視聴者や読者に見せてもよいという判断は、進歩と受け止めるべきだろう。中国政府がいきなり報道の自由を尊重するようになった、というわけではないにしても。銭氏は「短期的には小さな細かい変化がいろいろとあるだろうが、大きな変化はないだろう。中国のこととなるといつでも、相当の忍耐力が必要なのだ」と言う。
こうした諸々の要請にどう対応すべきか検討する中国指導層は、地震の政治的影響を熟知しているはずだ。ただでさえ最近のチベット暴動で緊迫していた国内の政治状況が、今回の地震でさらに不安定になっている。
チベットと地震で中国の国民感情は揺さぶられた。その緊張感は、たとえば外国企業への不満として表面化している。中国のウエブサイトやメールでは、外国企業の復興支援協力が不十分だという不満が飛び交っている。この影響で起きた抗議行動は少なくとも1件。中国内のマクドナルドの前で行われた。噂を収めるために陳徳銘(チェン・ドミン)商務相はわざわざ記者会見。複数の多国籍企業が復興事業に計2億4500万ドルを提供してくれたと、国営テレビで感謝して見せた。
揺れる国民感情は、政府が19日に3分間の黙祷(もくとう)を指示した際にもあらわになった。黙祷が終って間もなく、天安門広場に集った大群衆は国家を歌い、そして「中国加油(中国がんばれ)」とシュプレヒコールした。同じような感情の発露は、北京のほかの場所でも、ほかの都市でもあちこちで見られた。
あちこちの集会で飛び交った言葉は確かに、愛国的な色合いを帯びたものだった。しかし集った人たちはただ単に、自分たちの感情の昂ぶりをそうやって表現したというだけで、最近の聖火リレーやチベット暴動に関連して見られたような、外国世論に反発しての愛国表現とは様子が違っていた。
「中国加油!」と叫ぶ中国市民は同時にこれまでと違って、義援金を惜しみなく提供し、情報公開を今まで以上に求めている。いざ緊急時となれば、国民は共産党のやりようをじっと注視しているのだ。彼らの愛国の叫びは、政府を見つめる目の、その表れでもある。
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フィナンシャル・タイムズの英文記事はこちら。 ⇒
http://www.ft.com/cms/s/0/f4287666-2827-11dd-8f1e-000077b07658,dwp_uuid=9c33700c-4c86-11da-89df-0000779e2340.html
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Published: May 22 2008 19:38 | Last updated: May 22 2008 19:38