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中国側から日本にわざわざ自衛隊機による物資輸送を提案することはない(神浦元彰)
最新の軍事情報 神浦 元彰
http://www.kamiura.com/new.html
中国、四川大地震 自衛隊機派遣検討 「早く援助物資を」
中国被災地、切実 日中関係良好 自衛隊派遣も容認
中国は「変わった」 驚く日本
(朝日 5月29日 朝刊)
[概要]中国が四川大地震の被災者救援のため、自衛隊の輸送機による救援物資の受け入れを容認する考えを伝えてきた。実現すれば自衛隊機が中国国内に入るのは事実上初めてとなる。具体的な活動については、「(中国側は)国内での輸送までは期待していないようだ。北京、あるいは成都の空港までということだ」(町村官房長官、28日の記者会見)。政府関係者によると、派遣を検討しているのは航空自衛隊のC−130輸送機(小牧基地 愛知県)で、提供するテントや毛布の数に応じ、中国と調整が終わり次第、出来るだけ早く派遣する方針だ。
中国の四川省北川チャン族自治県。災害指揮部のわきに日本が緊急援助物資で送った「JAPAN」のロゴが入ったテント25張りが立つ。そこに住む被災者(15才)は「(日本に)とても感謝している。日本語を勉強して日本文化を知りたい」と話す。手作りのテントで暮らす被災者(63才)は「中央政府が外国から支援を積極的に受け入れている。日本の自衛隊が来ることも大歓迎」と話す。「日本の軍隊が来ても悪い感情はしない」(被災者 58才)など好意的。
中国政府が日本側に自衛隊機による輸送容認を示した背景に、被災地での深刻なテント不足がある。「国際社会の物資提供で、特に緊急を要しているのは、テントとプレハブだ」(中国外務省 報道局長 22日の記者会見)。中国政府は被災者に330万のテントが必要と見積もるが、28日までに配給できたのは60万張りに過ぎない。中国の呼びかけに、米国やスイス、イタリアなどから21万張りのテント提供の申し入れがあった。すでにロシアと米国は、自国の軍用機でテントや食糧の緊急物資を四川省の成都まで送った。中国は救援活動にあたる人民解放軍から指導部に、日本を含む外国軍の物資輸送の提案があり、自衛隊機が中国の空港に乗り入れることも了承済みという。
中国の要請に、外務省や防衛省内から驚きの声があがっている。「あれだけ自衛隊アレルギーだった中国が変わった」(防衛省幹部)。このように前例のない動きは、最近の良好な日中関係を反映している。今月初めに訪日した胡錦涛主席と福田首相との首脳会談では「日中共同声明」がまとまり、「戦略的互恵関係」を確認した。自衛隊と人民解放軍との防衛協力も本格化しつつある。防衛省幹部は「日中間の防衛交流を深める意味でこれほど良い話しはない」と意欲的に話すが、今後の日中関係にどう影響するか、予断は許さないという見方も出ている。
[コメント]「中国が自衛隊機での救援物資受け入れを容認してきた」。昨日、午後にこの1報を聞いて急いで外出先から帰宅した。日中関係に画期的なことが起きたと感じたからだ。と、同時に、このシナリオ(外交・政治劇)を誰が書いたかと考えた。黒衣(くろご)は中国人か日本人か。
中国側から日本にわざわざ自衛隊機による物資輸送を提案することはない。もし防衛省が自衛隊輸送機の不足を理由に、民間チャーター機での輸送を提案すれば、中国側の好意は”否定され”顔に泥を塗られたことになるからだ。中国側が求めているのはテントや毛布で、自衛隊の輸送機による支援ではない。今回の救援要請は形の上からは中国政府から北京の日本大使館に寄せられたことになっているが、実際は日本政府内で事前に検討され、あえて中国側からの要請に答える形にしたと考えた。あらかじめ防衛省と外務省が政府幹部の要請に、自衛隊輸送機の物資輸送を確約しての依頼であると推測した。
なぜ日中両国は自衛隊機の物資輸送にこだわるのか。それは日中間の”喉に刺さった骨”を取り除くためである。その魚の骨とは、日本軍が過去の中国侵略で残した残虐行為という”魚の骨”である。今月に訪日した胡錦涛主席に、福田首相は「いちまでも過去のことにこだわってばかりいないで、未来志向の関係を築きたい」と発言した。胡錦涛主席も「寒い冬が終わり。これからは春の訪れがきたような日中関係に発展させたい」と応じた。このことが未曾有の大災害を受けた中国で、自衛隊機が救援に駆けつけることで、日中間の「喉の骨」を取り除けると考えてシナリオ(大芝居)を書いた黒衣(人物)がいた。
どのような人物がシナリオを書いたのか。現中国大使(第12代)の宮本雄二氏という可能性はないとおもう。これだけの大芝居を打つにはもっと大局的な立場で日中関係を熟知し、中国政府の中枢に影響力を持っている者である。今の宮本大使のレベル程度の要請では中国首脳は動けない。もし、構想が失敗した時のリスクに耐えきれない。その点からも日本の親中的な政治家という可能性は消える。そこで、ただ一人私の頭に浮かんだのは、福田首相とは小学生頃からの友人で、中国大使(第10代)であった谷野作太郎氏の顔である。今の外務省でチャイナ・スクールの中では最高顧問である。彼ならこのシナリオを書いて日本政府と中国政府の中枢に提案することが可能だ。
福田首相が小泉元首相の官房長官時代に、谷野氏は「小泉首相の靖国神社参拝はやめたほうがいい」と福田氏に助言し、それを進言した福田氏が小泉政権から追われる経緯に関与した人である。
ある意味では。今回の中国への自衛隊輸送機派遣は、ブッシュ政権が終焉するのを待って、外務省のチャイナ・スクールが、親米一辺倒のアメリカ・スクールに巻き返しを図った大芝居ともいえる。確かに言えることは、これで日中関係は新たなの友好の時代に脱皮できることである。
ちょっと気になるのは、町村官房長官は昨日の記者会見で、「自衛隊機で自衛隊の毛布やテントを被災地に運んで救援するとことと理解している」と話したが、毛布やテントであっても、自衛隊が装備しているものは武器である。武器とは銃器やミサイルや戦車だけではない。毛布やテントであっても自衛隊が戦争に使うための装備品は武器なのである。毛布やテントが武器である以上、中国に無条件に提供することは「武器輸出禁止3原則」に抵触する。一旦、自衛隊の備品であることを書類上抜いて廃品扱いとするか、民間のテントや毛布を購入して援助する方法となる。中国が困っているときに言いたくはないが、もし日本に侵略する意図を持った国があれば、自衛隊のテントや毛布が不足しているときが侵略のチャンスと考える可能性があるからである。
ともあれ、今回のことは日中関係を画期的に改善できるチャンスであると考える。何としても自衛隊輸送を成功させて、日中間の喉の刺さった骨を取り除いて欲しいと願っている。
※赤字の部分は、間違いであることがわかりました。毛布やテントは武器輸出禁止3原則に該当する「武器」ではありませんでした。しばらくこの間違いのまま、赤字で掲載し、数日後に訂正するつもりです。ご迷惑をおかけしたことをお詫びします。詳しくは、本日の「メールにお返事」を参照してください。
届いたメール
5/29の「What's new?」の記述内容に誤りがあるように見受けられましたので、 失礼ながら下記のようにご指摘させて頂きます。 用件のみで失礼致します。
防衛省サイト内
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2003/2003/html/15s30000.html
(2) 武器の定義 「武器」という用語は、種々の法令又は運用の上において用いられており、その定義については、それぞれの法令等の趣旨によって解釈すべきものであるが、
1) 武器輸出三原則における「武器」とは、「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」をいい、具体的には、輸出貿易管理令別表第一の第197の項から第205の項までに掲げるもののうちこの定義に相当するものが「武器」である。
2) 自衛隊法上の「武器」については、「火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は、武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等」であると解している。
なお、本来的に、火器等を搭載し、そのもの自体が直接人の殺傷又は武力闘争の手段として物の破壊を目的として行動する護衛艦、戦闘機、戦車のようなものは、右の「武器」に当たると考える。
コメント
同様のご指摘をされたメールが3通届きました。すなわちテントや毛布は武器輸出禁止3原則に該当する「武器」ではないという指摘です。この点で私が誤解していましたので、さっそく本日のWhat Newを訂正しました。ご指摘ありがとうございます。
この定義に従うなら、戦闘用ヘルメットは武器に該当しませんね。私が想定していたより、はるかに多くのものが武器ではないことがわかりました。