★阿修羅♪ > 中国1 > 131.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
5月12日に発生した四川大地震は多くの命を奪う大惨事になった。16日現在死者は5万人を超えると見られ、今後さらに増えると予想されている。特に震源地ブン川とその周辺地域の被害は甚大だ。
中国経済全体への影響は限定的
ただ、現時点では震災が中国経済全体に与える影響は限定的と見ていいだろう。もともと四川省の工業生産高は中国全土の4%にも及ばない。さらに今回の地震発生地はいずれも農村や中小都市であり、主要交通網や重要企業は特に被害を受けなかったからだ。
地震が起きた四川省は、日本人になじみのある三国志時代に蜀の国があったところである。震源地に近かった広漢市にある三星堆遺跡は、この地域に 3000〜5000年前にすでに古代文明があったことを示しており、震源地に近い都江堰は2000年前の戦国時代に作られた中国最古の水利施設。土石流の被害があった九寨溝をはじめ、黄龍やパンダ研究基地の臥龍など日本人にも人気の観光資源も多い。
四川省は周囲を山に囲まれた盆地で、温暖で湿気の多い天候に恵まれている。古来より稲作が発達し、有数の穀物生産基地である。「麻婆豆腐」といった四川料理を生んだ「天府の国」として有名。米の生産は中国全土の10%近く占めており、養豚業も盛んだ。
震災地の復興支援がしばらく優先されることを考えると、四川省から出荷される米や家畜などにはある程度影響が出るのは避けられない。このため 5〜6月以降、都市部を中心に物価上昇をもたらす可能性もある。ただそれは一時的なもので、今回の地震が中国経済の波乱要因になるとは考えにくい。
復興事業で建築資材などの需要増も
むしろ震災後の復興事業が電気・通信設備や建材産業の需要を刺激し、中国経済にプラスになる可能性もある。
例えばセメント。中国のセメント製造業は2008年の第1四半期では12億6000万億元の利益をたたき出した。前年同期比43.2%増。これを支えたのは沿海地域の建設ラッシュだ。しかし、中国政府は不動産投資の過熱を抑える政策を相次ぎ打ち出したため、年初から北京、上海、深センなど主要都市の不動産価格に急ブレーキがかかっている。不動産市場が調整局面を迎えたことで、セメントなどの建材需要もしぼみ経済へのマイナスは避けられないと思われていた。
しかし四川大地震で状況が変化するかも知れない、という見方が出ている。災害後の復興事業はセメントなどの建材需要減を補い、むしろ拡大を牽引する原動力になると思われるからだ。そうなれば、セメントなど建材価格は2007年の上昇傾向を継続し、内陸部の鉄鋼、電気・通信設備などの需要も増加するのではないだろうか。
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/xu.cfm?i=20080516c7000c7&p=1
国土の広い中国では、1976年の唐山大地震(マグニチュード7.8)以来、農村地域に地震はあったものの、全土に強いインパクトを与える地震はほとんどなかった。このため、地震に対する人々の意識が薄かったことは間違いない。
今回の四川大地震では、上海や北京をはじめ国土の半分以上の地域に激しい揺れを感じた。地震の破壊力の凄まじさは国民に強いショックを与え、中国は「隠れ地震大国」であることを浮き彫りにした。これをきっかけに、特に富裕層を中心に防災意識が高まるに違いない。
唐山大地震からこれまでの32年間、中国の建築物耐震安全基準は何度も改正されている。現在、中国の建築安全性・耐震基準は他の地震多発国に比べて遜色はないといわれる。しかし四川大地震で多くの中小学校や民間住宅は倒壊したことは、農村地域や中小都市での建築工事の耐震基準管理の甘さ露呈した。
近年、中国の経済成長は急速に内陸部に広がっている。2006年中国の不動産建築面積は18億平方メートルを超えている。注目すべきは四川省での建築面積は全国第5位、北京の約2倍なのだ。内陸部でも「豊かな沿海部に追いつけ」と成長率や利益追求が優先され、耐震などの安全性がおろそかにされていた建築もあったに違いない。今回の地震をきっかけに中国政府はさらに「利益一辺倒」を戒め、より安全なインフラ整備に取り組むだろう。それは、新たなマーケットを生むきっかけになるのではないだろうか。
地震先進国・日本のノウハウ活用できるチャンスも
2年前の2005年11月に四川省の東にある江西省九江市にマグニチュード5.7の地震が発生し12人の死者が出た。農村では住宅が倒壊し6000世帯余りが被害を蒙った。震度がそれほど大きくないにもかかわらず倒壊が多かったのは、農村住宅は国が定めた最低の耐震基準でさえ守られていなかったのが原因だった。その後、同市の新築住宅はすべてマグニチュード7の地震に耐える基準によって建設されているといわれている。
今回の地震で耐震基準に対する政府当局の管理監督が一層厳しくなるのは確実。さらに庶民の間でも学校や住宅などの耐震基準を重視するようになるに違いない。耐震基準以前の歴史的建築物や農民が自力で立てた住宅などもすべて耐震強化工事を実施すべきだと提言する専門家もいる。今後、中国では耐震や防災による新たな市場需要が拡大することは間違いない。
地震大国・日本には建築基準法があり、近年「耐震偽造」事件も経験したため、設計や補強については経験豊富だ。四川大地震の復興支援も含めて、今後、中国と協力する場面が増えるだろう。
かつてない報道規制緩和、当局の思惑は
日本のマスコミでは、今回の地震報道に対する中国政府の姿勢を疑う声もあったが、筆者の見る限り、中国国内の震災報道はかなり自由に行われているといえる。1976年唐山大地震は3年後になってようやく24万人という死者の数字が明らかになるなど“情報統制”が厳しかった。これに対して、今回は地震発生1時間後に震災地に出向いた温家宝首相の様子を伝えるなど、中国のメディアも迅速に震災地の情報を国民に伝えている。
特に一般市民がネットや携帯電話を使って情報を伝える「地震報道」が規制されなかったのは特筆すべきである。震災地の市民は、携帯電話などで撮影した動画や写真をネットに書き込み、巨大な「市民リポーター」が形成された。
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/xu.cfm?i=20080516c7000c7&p=2
地震発生後にネットで現れた最初の動画投稿は、四川大学の学生が撮影した地震発生瞬間の映像である。これには全国からアクセスが殺到した。「市民リポーターに負けてはならじ」と、活字メディアやテレビ局も従来ならプライバシーや当局に規制されるような犠牲者などの震災映像をそのまま伝えている。
この原稿をまとめる時点までは、中国最大の政府系通信社・新華社はすでに250以上の地震関連報道記事を発表しており、中国版NHKの中央テレビは24時間の震災地生中継を継続している。このような報道は政府の許可なしでは実現できない。
03年に中国がSARS(重症急性呼吸器症候群)に見舞われた当初、当局の情報規制はむしろ被害拡大というマイナスの結果を招いた。その後、胡・温政権は報道の規制緩和に踏み切ったが、情報開示は結果的にSARS撲滅に貢献した。
この経験を踏まえたのか、今年2月に豪雪災害では災害報道の自由度をかなり認めていた。「無用の混乱を招く」としての報道規制が当たり前だったことを考えると、隔世の感がある。
今回は聖火リレーをめぐる世界各地での騒ぎや、サイクロン被害を受けたミャンマー軍事政権の情報規制に対する国際的な批判があった直後だけに、中国政府は最初から情報規制を加える意図がなかったのではないか。
むしろ情報の透明化によって、デマの流布を止め、国民の団結が強化される効果があった。中国政府はここまで計算していたのだろうか?この原稿をまとめている時点で、政府は四川地震による死者が2万人近くに達し、最終的には5万人以上にのぼる可能性があると発表したばかりである。
無視できない「市民リポーター」と「ネットパワー」
今回の中国政府の対応は、これまでの対応といろいろな点で異なる。その背後にあるのは、中国国内で5億7000万人を超える携帯電話ユーザーと2 億2000万人を超えるインターネットユーザーだ。この膨大なネット携帯人口の意見は政府や企業にとって無視できない存在となっている。
例えば、地震後の企業や有名人の寄付活動や寄付金額は「市民リポーター」が随時にネット上で公表。中国での「儲け」が大きいわりに、地震に対する寄付など社会貢献に出遅れた海外企業に対しても、容赦ない批判が寄せられている。現地に進出している日本企業も、こうした状況を踏まえて迅速に対応していく必要があろう。
政府からやや距離を置き、民間の立場を重んじる「南方都市報」などのメディアは、震災地からの報道のいっそうの自由化を求めている。さらに当局を称えるための“救出ショー”“政治演出”を戒め、確実で効率的な救助を訴えている。こうした声に促されるように、中国政府は15日になって一旦は断っていた日本からの国際緊急救助隊を受け入れると発表した。
地震は大惨事だが、これをきっかけに中国で人命尊重や情報自由化についての認識が高まればと願う。そして一刻も早く瓦礫の下にある人命を一人でも多く助かることを祈りたい。
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/xu.cfm?i=20080516c7000c7&p=3
関連記事:
<四川省大地震>中国の報道態度に変化 相反する欧米の反応【東亜日報】
http://www.asyura2.com/08/china01/msg/107.html
※コメント:
地震報道が「中国・アメリカ・ヨーロッパ」で三分裂している。
中国政府は積極的に救済処置をとっているのかどうか?混乱している。
共産党独裁の中国マスコミは怪しいし、
「民主の拡大」を唱えるアメリカのマスコミも政治的な気がするし、
「人権」外交の歴史の深いヨーロッパマスコミも、どこまで信用していいかどうか
(ヨーロッパはもともと、中国に対して批判的だ)
とりあえず日本マスコミは信じない方が良さそうだwww