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【日本の古本屋メルマガより】自著を語る:『ブックオフと出版業界』(小田光雄著)
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。.☆.:* その68・6月25日号 *:.☆. 。
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☆INDEX☆
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1. 自著を語る その32『ブックオフと出版業界』
2. イベントのお知らせ
3. 日本の古本屋即売展情報
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(中略)
今月の自著を語るは、小田光雄さんにお願いしました。小田さんは、まるで出口を失ったような出版・書店業界の状況を鋭く論じてきました。最新刊の『ブックオフと出版業界』には、古書業界の部内誌に載ったインタビューが再録されています。
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■ブックオフと出版業界■
小田 光雄
『ブックオフと出版業界』の新版を出すにあたって、かつて石神井書林の内堀弘氏からインタビューを受け、『古書月報』の2000年6月号に掲載された記事を再録できて、とてもよかったと思っています。危機の中にある出版業界がどのような状況に向かっているのか、予断を許さない段階に入っていることは間違いないでしょう。それに抗するために現在ほど古書業界との連帯が求められている時もないと考えられるからです。もちろん出版者としても読者としてもです。とりわけ読者としてはささやかな金額でしかありませんが、これから使える金はすべて古書に向けるつもりでいます。
『ブックオフと出版業界』にこれも新たに収録した「ブックオフの現状−2000年〜2008年」を書き進めながら、あらためて怒りが湧き上がってきたからです。ブックオフの株式上場のための公開資料を分析して明らかになったのは、新刊書店業界も古書業界も意図的に狙い撃ちされ、食われてしまったという事実でした。詳細は読んでもらうしかありませんが、そのアウトラインだけを述べれば、ブックオフはCCC(TSUTAYA)と連携し、出店を促進してきたのです。両者をつなぐキイワードがフランチャイズで、ブックオフの本質がフランチャイズによる利益追求だと本書で詳述しましたが、それをブックオフに伝授したのはCCCなのです。つまりブックオフとCCCは盟友として、他業界から書店と古本屋に挑んできたことになります。
今回明らかになった構図は次のようなものです。CCCのフランチャイズメニューはCD・ビデオレンタルのTSUTAYA、雑誌書籍販売のTBN、古本リサイクルのブックオフの三本立てであり、CCCルートでブックオフのかなりの出店展開が行われたと見て間違いないでしょう。したがってCCCは一方で書店を、もう一方で古本屋をターゲットにして成長し、上場企業へと躍進したのです。
しかもCCCのフランチャイズによる成長を支えたのは日販であり、日販こそがCCCの金融と物流を担ったのです。この両者の関係も謎に包まれています。
そして当然のことながら、日販はCCCがブックオフの出店を兼ねていたことを知っていたことになります。このような事実からすれば、ブックオフとCCCと日販が三位一体になって、書店と古本屋つぶしを行ったと考えざるを得ません。まったく溜息の出るような話です。
これらの背信的な事実を突きつけた本書が刊行されても、出版業界や日書連から何の抗議の声も上がっていません。そのような声すらも上げられない状況にまで追いつめられているのでしょうか。
本書は『出版業界の危機と社会構造』『出版社と書店はいかにして消えていくか』を加え、「出版状況論三部作」を形成しています。『ブックオフと出版業界』だけではわからない部分もあると思いますので、この機会に三部作を通読頂ければ幸いです。
なお古本屋で買い求めた本や雑誌から始まる古本エッセイを数千枚書きためましたので、順次刊行していくつもりです。そしてこれらをもって、古書業界へのエールにしたいと考えています。誰も書かなかったような古本エッセイばかりですので、ご期待下さい。
□□ブックオフと出版業界□□
著者:小田 光雄
発行:論創社( http://www.ronso.co.jp/ )
2008年5月発行
定価:2,100円(本体:2,000円)
ISBN:978-4-8460-0774-4
頁数:278頁
◇◆小田 光雄(おだ・みつお)◆◇
1951年静岡県生まれ。出版業に携わる。『日本古書通信』に
「古本屋散策」を連載中。著書『〈郊外〉の誕生と死』など。
訳書『エマ・ゴールドマン自伝』など。
6月から論創社ホームページ( http://www.ronso.co.jp/ )で
「出版状況クロニクル」連載を始める。
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日本の古本屋メールマガジンその68 2008.6.25
【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
東京都千代田区神田小川町3−22 東京古書会館
E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
URL http://www.kosho.or.jp/
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(以下略)
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