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失業者支援で思想宣伝をするな! 「派遣村」リポート(上)
2009年01月05日09時00分 / 提供:PJ
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「憲法9条」をアピールしながら取材ですか?(撮影:藤倉善郎、1月3日・日比谷公園) 写真一覧(3件)
【PJ 2009年01月05日】− 年末からメディアでも話題になっている東京・日比谷公園の「年越し派遣村」。昨年始まった企業の大量解雇や派遣労働者への雇い止めで、仕事も家も失った人々が急増。彼らに宿泊場所、食料、衣類などを提供し、就職や生活保護に関する相談を受け付けるため、全国ユニオンが昨年12月31日に開設した。
ところが、こうした支援活動について、インターネット上である問題が話題になっている。名古屋での同種の活動を報じた新聞写真に、憲法9条の改正に反対する趣旨の横断幕が写されていたのだ。失業問題に便乗した思想宣伝に対して批判の声があがり、「派遣村が9条信者布教の地に」といった表現も見られた。しかし問題にされた写真は名古屋市内の公園でのもの(CHUNICHI Web http://www.chunichi.co.jp/article/feature/koyou_houkai/list/200901/CK2009010102000141.html 参照)。日比谷公園の「派遣村」ではない。
「派遣村」では、複数の労働組合などと一緒に、民主党の支持母体と言われる「連合」の関係者も支援を表明している。日本共産党からの支援物資も大量に届いていたが、少なくとも左翼の単独イベントではない、むしろ、この“有事”に組織の違いを乗り越えて行われた活動のように見える。そんな「派遣村」にも、思想宣伝に走る人間がいるのか。1月3日朝に足を運んでみると、様々な労組ののぼりが立てられていたが、憲法9条など失業問題と無関係の宣伝文は見当たらない。ほっとして、そのまま夕方まで活動の様子を取材した。
ここでは、主催者によって非常に厳しい取材規制が敷かれている。取材申し込みをした上で腕章を着用した者でなければ、写真も映像も撮影できない。ボランティアも同様だ。撮影場所は限られ、人物の顔の撮影も禁止(撮影を了承した人への個別取材は別)。撮影中に何度もスタッフから「許可を撮っていますか」「顔を写さないで」と声をかけられ、いちいち撮影を中断させられる。海外のある映像カメラマンも、「ホームレスばかりかボランティアまで撮影不可なんて、海外の取材現場ではありえない。これでは取材にならない」と嘆く。
実際、新聞・テレビの報道を見ると、人間の首から下か後姿の映像・写真ばかり。まるで後ろめたい人々の集団のように見えてしまう。50代男性の失業者は、「私は顔を撮影されても困らないし、一律に顔を撮るなというのは確かにおかしい。でも借金を抱えている人は、撮られたくないだろう」という。しかしここにいて驚くのは、「支援村」利用者の多くが、明日からでもすぐ働けそうに見えるほど物腰も顔つきもしっかりしていること。若者も少なくない。このこと自体が今回の大量失業の深刻さを示している。仕方ないこととは言え、それを写真や映像で伝えられないことが無念でならない。
そして問題の思想宣伝だが、やはりいた。「9条改憲阻止!」のタスキをかけた男性が、ビデオカメラを片手に歩き回っているのだ。報道腕章や所属を明示するものは着けていない。明らかなルール違反。しかも、腕章をしている報道陣でさえいちいちスタッフから呼び止められるのに、記者が見た限り「9条改憲阻止!」男は誰にも呼び止められていない。これは“9条特権”なのか、それとも、みな気持ち悪がってかかわりあいになりたくないのか。それとも、すべてのボランティアに顔が知れているほどの「派遣村」幹部なのか?
失業者支援は、関係者の思想を問わず、その活動自体に大きな意義がある。同様に、失業問題に便乗した思想宣伝行為は、その思想の内容を問わず愚かしく恥ずかしい。労組が一堂に会した「派遣村」だけに、なおのことそれに便乗した思想宣伝が見苦しく思えた。「派遣村」主催者は、報道陣を締め付けるなら、同様に“空気が読めない思想宣伝”も何とかしたらどうか。【つづく】
http://news.livedoor.com/article/detail/3962551/
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