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(回答先: 火水(ひみつ)から火水(かみ)へ 光の干渉から特異なスピン磁氣が生まれる 投稿者 石工の都仙臺市 日時 2008 年 11 月 07 日 20:50:27)
「次世代のエレクトロニクスデバイス材料、例へば磁石と電氣の性質をあわせ持つ複合機能材料の開發でも、構造カイラリテイの觀察が、其の特性を理解する上で非常に重要に成ると考へられます。 」
「特に重要な發見は、物質が持つカイラリテイとX線が持つヘリシテイがお互ひに影響し合ふことです。」
特別なX線囘折法により鏡像異性體を世界で初めて識別 | 獨立行政法人 理化學研究所プレスリリース
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080407/detail.html
獨立行政法人 理化學研究所
特別なX線囘折法により鏡像異性體を世界で初めて識別
- 圓偏光X線とらせん構造が影響し合ふ囘折原理を發見 -
平成20年4月7日
◇ポイント◇
水晶を構成する原子のらせん構造をX線囘折で“見る”ことに成功
圓偏光X線を利用し、らせん構造の種類によつて異なる反射強度を觀測
エレクトロニクスデバイス材料など、鏡像異性體を持つ物質の構造解明に期待
獨立行政法人理化學研究所(野依良治理事長)は、大型放射光施設SPring-8を使つて、此れまでは識別出來なかつたらせん構造(カイラリテイ)を持つ鏡像異性體※1に就いて、特別なX線囘折により右卷き・左卷きを識別する新しい囘折原理を發見しました。本研究は、放射光科學綜合研究センター(石川哲也センター長)量子秩序研究グループ勵起秩序研究チームの辛埴チームリーダー(國立大學法人東京大學物性研究所教授兼任)と田中良和專任研究員、竹内智之業務協力員(現 財團法人高輝度光科學研究センター研究員)、英國ラザフオードアツプルトン研究所のS.W. ラヴジイ(Lovesey)教授らの共同研究による成果です。
X線囘折は、結晶の構造を調べるための基本的な實驗手法の1つです。然し、通常のX線囘折は、結晶が右卷き・左卷きのどちらのらせん構造を持つてゐるかを識別する事は出來ません。どちらのらせん構造も、結晶で囘折したX線像が同じで區別出來ない事が大きな理由です。其處で、研究グループは、照射するX線のエネルギー(波長)を調べ度い對象物の元素に特有のエネルギーに合はせるとともに、X線を右圓偏光※2、左圓偏光と呼ばれる特別な状態にしました。此れによつて、今まで見えなかつた(らせん構造に由來する)反射を低温型水晶※3で觀測し、右卷き・左卷きのらせん構造に應じて反射強度が異なる事を見いだしました。今囘觀察したX線囘折現象は、らせん構造を持つ圓偏光X線とらせん構造を持つ鏡像異性體が、お互ひに影響し合ふと云ふ新たな囘折原理を示してゐます。研究グループは、此の原理を世界で初めて發見し、らせん構造を持つ鏡像異性體の識別を可能にしました。
此の原理を利用して、アミノ酸、機能性高分子、液晶、次世代のエレクトロニクスデバイス材料など、鏡像異性體を持つた多岐にわたる物質の構造を解明する事が可能に成ると期待されます。
本研究成果は、米國の科學雜誌『Physical Review Letters』(4月11日號)への掲載に先立ち、オンライン版(4月8日附け:日本時間4月9日)に掲載されます。
1. 背景
私たちの身の囘りには、鏡に映つた像のやうに見える「鏡像體」が實物と同じやうに存在するものが多くあります。其れらをお互ひに鏡像異性體と呼びます。たとへば、右手と左手は、お互ひに鏡像の關係にあります。ミクロの世界でも同じやうに、アミノ酸、糖類、アドレナリンなどの有機分子、更には、水晶やテルルなどの無機質結晶にも鏡像異性體があります。花崗岩などの天然礦石の中に見られる水晶も、シリコン原子が右卷きのらせん構造を持つ右水晶(右結晶)・左卷きのらせん構造を持つ左水晶(左結晶)が、同じくらゐの割合で存在してゐます(圖1)。此の鏡像異性體は、物理學的な性質はまつ度く同じですが、可視光が透過したときの偏光面の廻轉が右結晶・左結晶で異なる事が知られてをり、此のやうな性質を光學活性と呼びます。
右結晶・左結晶の生化學的な性質には違ひがあり、私たちの生體を構成するアミノ酸や攝取する糖類には、一方のらせん構造のものしかありません。したがつて、此のやうならせん構造(カイラリテイ)を持つ物質の右左を識別する事は非常に重要です。例へば、サリドマイドと呼ばれる睡眠藥に含まれる分子には鏡像異性體がありますが、一方が無害であるのに對し、もう一方は胎兒の發育不全を引き起こす作用がある事が判明し、大きな社會問題と成りました。また、次世代のエレクトロニクスデバイス材料、例へば磁石と電氣の性質をあわせ持つ複合機能材料の開發でも、構造カイラリテイの觀察が、其の特性を理解する上で非常に重要に成ると考へられます。
2. 研究手法と成果
今囘の發見は、さまざまな物質のミクロな原子構造を調べる際に一般的に用ゐられてゐるX線囘折と云ふ手法に基づくものです。通常のX線囘折では、右結晶・左結晶を見分ける事が出來ません。其處で、研究グループは、特別な波長と右圓偏光・左圓偏光を持つX線を使つて囘折實驗を行ふことを考へました。
今囘の實驗では、水晶をターゲツトにして左右の違ひを見分ける事に挑戰しました。其のために、まづ大型放射光施設SPring-8の理研ビームライン17SUに於て、「アンジユレータ※4」と云ふ特殊な裝置で右圓偏光、左圓偏光をもつX線を發生させました。此のやうなX線をヘリシテイ(廻轉運動)があると言ひます。更に、其のX線の波長を、水晶のらせん構造を形成してゐるシリコン原子で吸收が尤も大きい0.67ナノメートルのエネルギー(波長)に合はせました。
其の結果、通常では反射しない結晶の001と云ふ反射指數※5の反射が觀測される事がわかりました。更に、右圓偏光のX線を使つたときには、左結晶の囘折(反射)強度が右結晶よりも強くなり、左圓偏光のX線を使つたときには、逆に右結晶の囘折(反射)強度が左結晶よりも強くなる事がわかりました(圖2)。此の發見は、此れまで知られてゐた囘折原理では説明出來ない、まつ度く新しい現象です。特に重要な發見は、物質が持つカイラリテイとX線が持つヘリシテイがお互ひに影響し合ふことです。此の發見により、構造カイラリテイの識別に圓偏光X線が利用出來る事がわかりました。
3. 今後の期待
此の原理を使ふことにより、金屬などのやうに可視光による透過型の光學活性を利用出來ない物質や光學活性が弱い化合物でも、容易に右、左らせん構造を識別する事が出來ます。更に、アミノ酸、機能性高分子、液晶、次世代のエレクトロニクスデバイス材料などの多岐にわたる分子や結晶の鏡像異性體構造を解明する事が出來ると期待されます。
<補足説明>※1 鏡像異性體(光學異性體)
お互ひの結晶或は分子の構造が、右手、左手に分類される雙對物質を指す。例へば、私たちの右手、左手は、どのやうに廻轉しても、移動しても重なる事はない。鏡で映し出したときにだけ一致する。物理的な性質はまつ度く同じだが、光が透過するときに偏光の廻轉方嚮がお互ひに逆に成る事から、光學異性體とも呼ぶ。私たちの體を構成するアミノ酸は、左手系しかない事が知られてゐる。
※2 圓偏光
光やX線は、電場と磁場とが振動し乍ら進む横波である。電場や磁場が一周期進む間に、電場の嚮きが光の進行方嚮の軸の周りを一廻轉し乍ら進む光を圓偏光と呼ぶ。自分に嚮かつて進んでくる光に對して、其の發生源の方嚮を見たときに、光の電場が時間の經過とともに時計囘りに囘るときを、右圓偏光と云ふ。右圓偏光X線の電場の空間的な軌跡はどちらの方嚮から見ても、一般的な右ネジのやうに見える。
※3 低温型水晶
水晶には3種類の形態がある。其のうち1つは結晶構造を持たないもので、石英硝子としてよく知られる。結晶構造を持つものには、低温型と高温型の2種類がある。高温型水晶は、温度540℃以上で結晶化したもので、らせん構造は持たないが、低温型水晶は、其れ以下の温度で結晶化したもので、右左のらせん構造を持つ。
※4 アンジユレータ
磁場の嚮きが互ひ違ひに成るやうに竝べた磁石列によつて電子の軌道を蛇行させ、放射光を發生させる裝置。
※5 反射指數
X線の反射は、結晶の3次元空間の最小繰り返し單位をもとに、反射面がきまる。其の面を表すために3つの指數を用ゐ、其れぞれX、Y、Zの方嚮を示す。其の數字を反射指數と呼ぶ。
宗教と科學、東洋と西洋は最終的には融合しなければ成らない
http://www.asyura2.com/08/bd52/msg/642.html
投稿者 石工の都仙臺市 日時 2008 年 4 月 22 日 22:56:16: Gsx84HOp6wiqQ
「21世紀の世界は日本のキツズ(new breed)が變革してゐくだらう」
http://www.asyura2.com/08/bd53/msg/405.html
投稿者 石工の都仙臺市 日時 2008 年 6 月 29 日 19:00:16: Gsx84HOp6wiqQ
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