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「脳で操作するゲーム」が登場、危惧の声も(WIRED)
http://www.asyura2.com/08/bd52/msg/223.html
投稿者 あっくん 日時 2008 年 2 月 26 日 07:38:02: hhGgKkD30Q.3.
 

(回答先: 米Emotiv社、“脳コントローラー”を年内に発売(WIRED) 投稿者 あっくん 日時 2008 年 2 月 26 日 07:31:08)

http://wiredvision.jp/news/200709/2007091123.html

「脳で操作するゲーム」が登場、危惧の声も(1)
2007年9月11日

Emmet Cole 2007年09月11日


BCIゲーム制作用のソフトウェア開発キットと併せて利用されているNeuroSky社のヘッドセット技術。BCIゲームの第一弾は、2008年に店頭に並ぶ見込みだ。
Photo:NeuroSky社

あなたの脳が、ゲームのコントローラーになる日も近いかもしれない。

などと言うと、素晴らしい話に聞こえるだろうか。しかし、ゲームを操作する仮想コントローラーの役割を脳が果たす可能性について、一部の研究者からは、逆にゲームが脳を操作する結果になるのではと懸念する声が上がっている。

頭で考えるだけでコンピューターを操作できる「ブレイン=コンピューター・インターフェース」(BCI)を使ったデバイスのメーカー数社によると、BCI技術は2008年にも、医療分野から消費者向けゲーム市場へ進出を果たせる状態にあるという。

米Emotiv Systems社や米NeuroSky社などの企業は、すでにBCI対応ソフトウェアの開発キットをリリースしたと述べている。

となると、2008年にはゲーム会社からBCI対応ゲームが本当に発売されるかもしれない。だがその一方で、多くの研究者が、ユーザーの脳に悪影響が及ぶことを心配している。

たとえば、BCIデバイスは時としてユーザーの脳波を遅くすることがある。その後、注意を集中させるのに困難を感じたというユーザーの報告もある。

「脳波の活動が遅くなるゲームをした人が、その状態のまま車を運転したらどうなるか。事故を起こすかもしれない。可能性としては低いと思うが、一般に利用される前に検証すべきだ」。BCIの医学的応用分野の権威である独立系研究者、Niels Birbaumer氏はこのように話す。

一般向けのBCIには、頭皮に取り付けて脳波パターンをモニターする非侵襲性の脳波計(EEG)を用いる。脳波信号はコンピューターが情報として処理できるよう、増幅、デジタル化される。

BCIを使えば、プレイヤーは、頭の中で考えるだけでゲームの仮想環境内にある物体を動かしたり操作したりできる。また、プレイヤーの感情やストレスレベルに関連した脳波パターンを検出し、モニターすることもできる。

BCI技術は、体内に装置を埋め込む侵襲性のもの(日本語版Hotwired過去記事)も非侵襲性のものも、四肢麻痺の患者を対象としたテストでは成功を収めており、患者がコンピューター画面上のカーソル移動や、スイッチのオンオフ、車椅子の操作(日本語版記事)などを行なうのに役立っている。

しかし、BCIが純然たる娯楽に使用された場合、ゲーマーにニューロ・フィードバックの影響が生じることを研究者たちは懸念している。

ニューロ・フィードバックとは、脳波の活動をリアルタイムでグラフィック表示することにより、意識の覚醒度を高め脳波をコントロールできるようにするテクニックだ。血圧、皮膚温度、心拍数などの生理学的な情報を用いるバイオフィードバックと同様の働きをする。

たとえば、『SMART BrainGames』という技術を使い、医療目的で制作されたストレス軽減ゲームがある。これは、プレイヤーがリラックスしている時にのみ、レーシングカーの最高速度が出せるようになっている。

ただ、米食品医薬品局(FDA)がこのデバイスを認可したのは、リラクゼーションと「筋肉の再教育」という用途に対してのみであり、SMART BrainGamesを開発する米CyberLearning Technology社も、この技術は単なるゲームとしては利用されるべきではないと考えている。

CyberLearning Technology社の創立者の1人であるLindsay Greco氏は、「臨床的観点から、この技術が単なる玩具や娯楽として利用されることを非常に憂慮している」と話している。

Emotiv社とNeuroSky社は医療技術から始まった企業で、NeuroSky社のマーケティング担当副社長Greg Hyver氏によると、大学の研究者が同社の技術を使って、注意欠陥障害(ADD)、うつ病、中毒症、恐怖症を治療するテストを行なっているという。しかし、両社が娯楽だけを目的とするゲームの開発キットをリリースしたことに、医療関係者たちは憤っている。

応用精神生理学・バイオフィードバック協会(AAPB)の会長、Alan Garos氏は次のように語る。「バイオフィードバックはほとんどの場合、明確に定義された臨床目的、とりわけ問題の解決や改善のために利用されている。脳活動のフィードバックを治療以外の目的に利用する試みは、慎重に見守る必要がある」

国際ゲーム開発者協会(IGDA)のゲーム・アクセシビリティに関する分科会会長Michelle Hinn氏は、BCIは障害のあるゲーマーにとっては素晴らしいものだが、一般のゲーマーにとってはそれほど有益ではないかもしれないと話す。この分科会は、身体や認知に障害を持つゲーマーが利用できるようなメインストリームのゲーム制作を支持している。

「(BCIを利用したゲームが)注意の欠陥を引き起こさないとは言いきれない。それは現実に起こる可能性が非常に高く、現実的な懸念だ」とHinn氏は話す。Hinn氏は心理学で修士号を取った後、現在は人間とコンピューターの相互作用での博士号取得へ向け、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で学んでいる。

ワイアード・ニュースが取材したところ、米LucasArts社、米Activision社、米Disney Interactive Studios社を含む大半のゲーム会社が、BCIゲームの開発を行なっているかという質問に対してコメントを拒否した。カプコンと英Eidos Interactive社だけは、開発していないと回答している。

Emotiv社の最高経営責任者(CEO)であるNam Do氏は、同社の技術の詳細を説明することは控えたが、それがニューロ・フィードバックを用いたものであることは否定した。

(2)へ続く

[日本語版:ガリレオ-緒方 亮/高橋朋子]
WIRED NEWS 原文(English)

http://wiredvision.jp/news/200709/2007091221.html

「脳で操作するゲーム」が登場、危惧の声も(2)
2007年9月12日

Emmet Cole 2007年09月12日

(1)から続く

Emotiv社のDo氏は、ワイアード・ニュースに寄せた電子メールの中で、次のように説明している。

「Emotiv社の技術はまったく別の基本概念に基づいたもので、社内の研究チームで大規模な開発と研究を行なっている。従来のようなバイオフィードバックやニューロ・フィードバックはまったく用いていないため、そうした懸念は当てはまらない。双方向の相互作用もなく、当社の技術はどんな形であれ、脳を訓練して所定の状態にさせることはしない」

一方、NeuroSky社のHyver氏は、こうした懸念は、技術が一般に知られていないことから来るものだと話す。

「このような懸念を抱くのは自然なことだ。一般の人は、病院に行った時くらいしかこの種の技術に触れることはない」とHyver氏は述べた。

独立系研究者のBirbaumer氏は、こうした技術を長期間利用した人がほとんどいない現状では、どのような副作用が出るか誰にもわからないと話す。

BCIを使ったゲームの長期使用が、ゲームをしていない時に注意欠陥を引き起こすかどうかを検証するためには、2〜3年をかけ、対象者30〜60人規模の臨床研究を行なう必要がある、とBirbaumer氏は考えている。

NeuroSky社もEmotiv社も、自社技術の臨床研究を行なっているかどうかについてはコメントを控えた。

ただ、NeuroSky社のHyver氏は、安全性の確保は最終的にはゲーム会社の責任だと述べている。「独自に調査を行なって長期的な影響の理解に努めることは、最終的には製品を販売する開発者や企業の責務だ」

FDAの広報によると、BCI技術を用いたデバイスは、FDAに医療機器の市販前届出
申請(510(k)申請)を行なう必要があり、メーカーはそのデバイスがすでに認可されたデバイスと「実質的に同等」であることを証明しなければならないという。ただし、実際に510(k)申請を行なった企業名は明らかにしない、とFDAは述べている。

この記事のためにインタビューしたすべての研究者が、有害な副作用を心配しているわけではない。また、一方で、BCIの技術が従来のコンピューター・ゲームと同じレベルのパフォーマンスを実現できるのかという、別の疑問を呈する声も聞かれた。

「BCIのデバイスが現行のビデオゲーム機のレベルに到達するまでには、まだ長い道のりがある」と、ミネソタ大学の医用生体工学教授Bin He氏は話す。

やはりゲーム会社向けにBCIデバイスを作っている独Guger Technologies社のCEO、Christoph Guger氏は、BCI技術に基づくデバイスは「比較的動作の遅い」ものになると考えている。

『Doom』のような複雑なゲームが、すぐにでも頭で考えるだけで操作可能になるわけではなく、近い将来プレイできるとすれば『Tetris』のようなカジュアルゲームが精いっぱいだろう。「それでも、BCIシステムの操作や、それを使ったゲームのプレイ方法を学ぶこと自体を楽しめる」とGuger氏は言う。

さらに別の問題、プライバシーを心配する声もある。

イギリスのリバプール・ジョン・ムアーズ大学の精神生理学者Stephen Fairclough氏は、BCIゲームはマーケティング業者や政府機関に、ユーザーの感情や脳の状態を知る有利な立場を与え、ユーザーのコンピューターを嘘発見器に変えてしまう可能性もあると話す。

ただ、Birbaumer氏が指摘するとおり、感情は脳の深い部分で生まれるため、EEGで測れるものではなく、機能的MRI(fMRI)でしか視覚化できないことを考えれば、その可能性はかなり低いかもしれない。

それでも、許可を得た上とはいえ、ユーザーの心を読もうと試みている企業はすでに存在する。米THQ社は、米EmSense社が開発したBCIを使い、軍隊をテーマにしたシューティングゲーム『Frontlines』に対するプレイヤーの生理的反応を調べている。

ここで使われている技術は、EEGの読み取りに、心拍数や発汗反応などのデータを組み合わせた
ものだ。

精神生理学者のFairclough氏は、「パスワードとファイアーウォールを使った脳のセキュリティー・ネットワーク」を構想している。

「われわれが通常コンピューターで利用しているような電子的なセキュリティーを、BCIの分野にも応用するべきだ」

[日本語版:ガリレオ-緒方 亮/高橋朋子]
WIRED NEWS 原文(English)

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