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バラク・オバマ米大統領(47)が北朝鮮の地下資源を狙う!? 未曽有の経済危機をどのように乗り越えるかオバマ氏の手腕に世界が注目する中、その北朝鮮政策にも熱いまなざしが向けられている。今後の米朝関係のキーワードに北朝鮮の「地下資源」が浮上。取り組みいかんでは日本の北朝鮮外交は大きく左右される。正義か金か、損得勘定で「チェンジ」されてはたまったものではない。
華々しく誕生したオバマ政権。当面の課題は米国発金融危機に端を発した不況への対応で、待ったなしの状況にある。
一方、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は昨年12月に閉幕したまま、次回日程も決まっていない。オバマ氏は日米韓タッグを堅持する方針を示しているが、“地下資源狙い”が絡むようならば雲行きが変わることも予想される。
一般に“北朝鮮=資源が乏しく貧しい国”といったイメージがある。しかし、そうした見方は近年変わりつつある。
韓国の大韓鉱業振興公社は2007年、北朝鮮の鉱物資源などの潜在価値を3719兆ウォン(約370兆円)と推計した。日本の国家予算の4倍を超える地下資源が眠っている計算だ。
かつては、米国が北朝鮮への軍事行動に出ない背景を原油資源が豊富なイラクと比較し、「何もない国を攻めてもメリットがない」と裏読みする声もあった。もはやそんな見方は古臭い。
地下資源で最も注目されているのは「レアメタル」。その名のとおりレア(希少)な金属のことで、主要産業製品の製造には欠かせない。世界的な枯渇が懸念されている(※別項参照)。
米国の調査では、北朝鮮に豊富なレアメタルが埋蔵していることが明らかになっている。ある北朝鮮ウオッチャーは「米国が北朝鮮との融和に傾いた一因に、資源があるとされている」と話す。
米国は昨年、日本の反対を押し切る形で北朝鮮に対するテロ支援国家指定と敵国通商法を解除した。米国と北朝鮮との交易に事実上の“足かせ”はなくなった。ここに早めに資源を獲得しようという、したたかな米国の戦略が透けて見える。
狙っているのはレアメタルだけではない。「米国はとくにウランに注目している。米国はウラン燃料の確保でロシアに大きく遅れをとり、危機感を持っている。ウランの世界的な推定埋蔵量が400万トンとされる中、実は北朝鮮だけで400万トンの埋蔵量があるとの推計がある」(前出・ウオッチャー)。当然、オバマ氏の耳にも北朝鮮地下資源の情報が入っている。
資源争奪戦はすでに始まっている。北朝鮮と関係が深い中国はもちろんのこと、EU諸国も動き出した。イギリスは06年には金融監督庁が北朝鮮向けの開発投資ファンドに許可を与え、鉱山開発に乗り出している。
地下資源以外でも近年、外国企業の北朝鮮進出は顕著だ。エジプトの通信大手「オラスコム・テレコム」はさきごろ、平壌での第3世代携帯電話通信サービスを開始すると発表したばかり。
昨年訪朝したジャーナリストによれば「(以前と比べ)平壌のホテルでは外国人の姿をとにかくよく見かける」という。抜け目のない各国は、北朝鮮市場を新たなビジネスチャンスととらえ、将来を見据えた“地盤固め”に躍起だ。
迎え入れる北朝鮮側はどうか。北朝鮮事情に詳しい評論家の河信基氏は「北朝鮮は『2012年に強盛大国の大門を開く』としている。それまでに経済再建のメドをつけなければならない。そのためには外資と技術の導入が必要だ」と指摘する。
日本は指をくわえているしかないのか?
○別項1・レアメタル
レアメタルとは、何らかの理由で希少な金属のこと。チタン、ニッケル、白金(プラチナ)などを指す。液晶テレビやパソコン、携帯電話、自動車などの製造に不可欠な材料で「産業のビタミン」とも呼ばれている。
しかし、枯渇を心配する声があり、確保が困難な状態になるとされている。産出国が偏っていて、レアメタルの多くで中国が輸出量の世界1、2位を争っている。
○別項2・北朝鮮の地下資源
もともと、北朝鮮の地下資源に最初に目を付けたのは日本だといわれている。1910年に日本は朝鮮半島に「朝鮮総督府」を置いたが、各地で調査を行い、豊富な資源が眠っていることをつかんだ。
現在も旧財閥系の企業が資料を保管していると考えられている。