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米国ドラマ『24』ではデイビッド・パルマーという政治家が初めて黒人米国大統領に当選する。しかし前途多難で参謀と閣僚たちの裏切りにより大統領職から追い出され、結局暗殺で最期を迎える。そんなふうにドラマ、映画などに登場した黒人大統領が現実の世界に誕生するのをみるとやはり政治は生物で、固定観念は崩れるために存在するようだ。
田母神俊雄前日本自衛隊航空幕僚長の論文騒動を見ながら痛々しいほどに執拗な日本極右派の固定観念をいま一度確認した。「大東亜戦争を経験しなかったら、現在のような人類平等の世界が来るのは100年、200年遅くなったかもしれない」などの内容から見て、論文と呼ぶには厳しい粗雑の極致だ。しかしこのような粗雑な固定観念が所信や信念で包まれ、現実の世界で影響力を発揮することは問題だ。日本の世論が論文の内容に対する反論を超えて、このような愚かな姿を先端兵器で武装した5万兵力の総責任者につけた人事システムと文民統制の危機を取り上げるのは当然だ。
一方で、韓国社会には日本に対する固定観念がないのか、あれば根拠のある信念なのかそれともステレオタイプ化した条件反射の産物なのか、いま一度振り返る必要がある。私は植民地被支配の痛々しい記憶が60年以上過度に代表性を帯びる現象には問題があると思っている。学界・言論界など社会の多くの分野で植民地問題が一種の強迫となって作用し、現実を冷静に読みとることができない場合がたびたびあるからだ。
一例として植民地近代化論を挙げてみよう。日帝統治下を以前のように収奪−抵抗の図式だけで説明せず、侵略−開発の2つの側面を同時にきちんと見てみようというのが植民地近代化論だ。
最小限、既存主類学説の弱点、虚点を補う機能だけは学界でも否認することができないだろう。
それなのに少なくない人々がただちに「植民地近代化論=親日」と規定してしまう。非理性的で非合理的な手法だ。親日−反日構図が長年の歳月転嫁の報道、万能の新薬のように通用してきた結果だ。
しかし相対的に柔軟な文化界で固定観念を脱する気配が見える。『奴×3』『ワンスアポンアタイム』『モダンボーイ』『京城スキャンダル』のような映画やドラマが証拠だ。日帝統治下に収奪される朝鮮人と満洲原野の独立軍だけいたわけではないというところに目を向けたのだ。
日本の進歩・左派知識人に対しても多くの人が固定観念を持っている。日本進歩派は善で良心的知識人という考えだ。もちろん彼らは植民地支配や教科書問題などで韓国と立場が合致する場合が多い。そうする度に私も彼らを歓迎するしありがたく思う。しかし彼らも過去に継続的に過ちを犯したことがある。進歩的雑誌 『世界』を中心に韓国は悪、北朝鮮は善という途方もない固定観念をふりまいていたのだ。いくら朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領が独裁をしていたといっても北朝鮮の苛政に比べるところではなかった。
早稲田大の西川潤氏は1971年、北朝鮮を訪問してから『世界』に「北朝鮮の経済的・社会的発展は人類歴史上類を見ないひとつの奇跡」と書いた。北送在日韓国人に対して「日本で失業状態にあった帰国者たちは本当に極楽浄土に安着したと言える」と主張した北朝鮮訪問記も『世界』に掲載された。金日成主席をまるで神さまであるかのようにおだて、朴正煕元首相は狂人や獣のように扱った。(ハン・サンイル 『知識人の傲慢と偏見』)
とても近いからか。韓国と日本が互いを見る目にはまだ苔がぎっしりはりついている。時間がかかってもきちんきちんとはがす作業が必要だ。もちろん田母神前幕僚長はこれにはまらず、まったくの文盲のケースにあたる。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=107005&servcode=100§code=100
※コメント:
めずらしく日本の左派批判である。とてもバランスがとれていて良いと思う。
相変わらずレベルが高い。非常に高い。
日本の新聞の社説よりか ずっと論理的。