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混迷深まるタイ政治:反タクシン派首相府占拠/市民の7割が不支持/汚職・利権問題と民主主義/国の根幹に及ぶ対立
http://www.asyura2.com/08/asia11/msg/610.html
投稿者 gataro 日時 2008 年 11 月 02 日 19:42:31: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10159491488.html から転載。

2008-11-02 18:35:21
gataro-cloneの投稿

混迷深まるタイ政治:反タクシン派首相府占拠/汚職・利権問題と民主主義/国の根幹に及ぶ対立
テーマ:アジア


反タクシン元首相派の市民団体「民主市民連合」と政府の対立で混乱が続くタイの首都バンコクで1日、政府を支持するタクシン派の市民団体が集会を開催、8月下旬から首相府占拠を続ける市民連合を批判し、ソムチャイ政権を結束して支援するよう呼び掛けた。主催者発表では、集会には支持者6万人以上が参加した(タイ、政府支持派が大規模集会 タクシン氏、電話参加 ― 共同通信)。

タイ、政情不安で市民の対立激化(TBS News i)

このように両派の対立が続いていっこうに出口の見えないタイ政治の混迷。タイが抱える問題を「しんぶん赤旗」の現地取材記事で見てみたい。

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混迷深まるタイ政治/上/反タクシン派首相府占拠/市民の7割が不支持
2008.10.27 日刊紙 7頁 国際 (全1,045字) 

 タイの政治が混迷を深めています。原因はタクシン元首相派と反対派の対立激化。選挙で生まれたタクシン派の現政権を反タクシン派が街頭の実力行動で揺さぶり、窮地に追い込んでいます。

 (バンコク=井上歩 写真も) 

 「新しい政治を実現するまでやる。かならず勝たなくてはいけない」

 八月以来、反政府市民団体「民主主義市民連合」(PAD)が占拠している首相府。参加者の女性会社員スマリーさん(56)は、激しい言葉をはきました。

 PADはこの場所を本拠地とし、ステージや大型テントを設置。いまや商店も出て「街」化がすすんでいます。政府は郊外の空港に緊急“避難”して業務を続けています。

 PADは二年前、十万人規模の市民を動員して当時のタクシン首相の汚職・権力乱用を糾弾するデモを展開。軍のクーデターを呼び込んで同首相を追放しました。しかし軍事政権を経て昨年おこなわれた総選挙でタクシン派が圧勝、政権につきました。PADは、この政権を「タクシン元首相のかいらい」と叫んで、街頭行動を再開しました。

対抗デモも

 バンコク市民はPADの占拠行動に七割が不支持を表明しました。選挙で選んだ政府を実力行動で倒そうとするやり方に、政府支持派は強く反発し、対抗デモも起きています。全国的には、国民の六割は双方と距離をおく「サイレント・マジョリティー」(声なき多数)だといわれています。

 十月七日、PADは二回目の過激戦術に出ます。国会の封鎖をはかり、排除に乗り出した警官隊と衝突。死者二人、負傷者約五百人を出す惨事となりました。

 参加者の一部は武装し、銃撃された警察官もいました。しかし、警察の催涙弾でPAD側に死者が出たために、直後の世論調査ではバンコク市民の半数以上が警察の排除に反対を表明。PADは勢いづき、「首相は殺人者」だと政府非難を強めています。

 タイとカンボジアの間では十月、ヒンズー寺院遺跡プレアビヒア周辺の国境紛争が一時険悪化しました。PADはこの問題でも、タクシン派政権が「国を売った」と糾弾し、タカ派的な圧力をかけています。

内部は複雑

 反タクシンで一致するものの、PAD内は複雑です。PADに近いタマサート大学のスビナイ准教授は「PADは国と王室、宗教を守ろうとする点できわめて保守的で右派。支持基盤は都市の中間層だ」と説明します。

 タイ伝統の「王室、宗教、民族」を重んじる保守派、勤王民族派、宗教者、旧エリート層に、民主活動家・市民運動家が加わり、中流階層が支える混成団だというのです。

 (つづく)

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混迷深まるタイ政治/下/汚職・利権問題と民主主義/国の根幹に及ぶ対立
2008.10.28 日刊紙 6頁 国際 (全1,203字) 

 タイの政治と経済は、タクシン政権時代(二〇〇一−〇六年)に大きく変化しました。

 一九九七年のアジア通貨危機と、国際通貨基金(IMF)に押し付けられた緊縮財政策で経済が低迷し、農民や中小企業が疲弊、貧困が増大しました。タクシン政権は経済再建のため、農民や低所得層の底上げを中心とする内需拡大政策をとり、農民の債務凍結、低利融資や低額医療、村落基金設立などを大胆に実施しました。

 これが奏功して経済は回復。この過程で「以前の政権に無視されてきた貧困層と農村が政治的に目覚めた」(タマサート大のスビナイ准教授)と指摘されています。農村部の票を得たタクシン派は、過去三度の総選挙で圧勝します。

 同時に、以前の体制の恩恵を受けてきた都市のエリート層や農村の富裕層は冷遇され、タクシン政治への反感を強めました。

公正を重視

 事態を複雑にしたのは、この新しい政治構造が生んだ政権に、タイの古い問題である汚職・利権政治の疑惑と問題が浮上したことでした。

 タクシン首相一族について巨額の脱税や不正利得の疑惑が相次いで浮上、国民や反対派からの糾弾をうけるようになりました。

 首相府に泊まり込んでいるPAD支持者の女性マナットさん(64)は、参加動機について「政治家は総選挙で選ばれたからと権力を自分たちのためにばかり使っている。悪い政治家は許せない」と語りました。

 タイには、社会的公正を重んじ、権力者の汚職や専横に強く反発する政治文化があると専門家らは指摘します。一九七三年(学生革命)、九二年(五月騒乱)に公正実現のため軍政に対し民主主義を求めてたたかった市民が、腐敗した政党政治を追放する手段として軍のクーデターも容認するという現象が、少なくとも九一年、二〇〇六年の二回ありました。

 都市の中間層がPADを支持し、「目標は革新的」(スビナイ准教授)と捉えている理由はここにあるといえます。

立場に弱点

 しかし、利権政治追放を求めながら民主主義を守る立場を示せないのがPADの弱点です。PADは、選挙を経た現政権も「汚職にまみれたタクシン派が貧しい農民の票を買収してできた」(首相府に掲げた看板)と批判。これに対する「新しい政治」だとして、議席の五割を間接選挙にせよと主張しています。

 民主主義の問題にくわしいチュラロンコン大学のプラパート教授は、「代議制は、学生革命などたくさんの犠牲者を出して勝ち取ったもの。民主主義の後戻りはできない、というのは国民合意だ」と批判します。

 タクシン政権で閣僚を務めたスラナン元首相府相は、「すべての票が買収されていることはありえず、農村部を軽べつする傾向は心配だ」とし、「国民は平等に一票を持っている。国民に選ばれない人が権力を持ち、その権利を侵害してはいけない」と強調します。

 両派の対立は、代議制民主主義のあり方という根幹にまで及んでいます。

 (バンコク=井上歩 写真も) (おわり)

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【関連エントリー】

<タイ情勢>サマック政権退陣を求める抗議活動が続く【YouTube/AFPBB Newsなど】

 

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