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トラック運転手に「最賃制」 韓国/労組、ストで勝ち取る/運送料19%上げも
韓国で来年から、自営業の貨物輸送トラックの運転手に最低限の収入を保障するために、運送会社から運転手に支払われる「標準運送料」が新たに法制化されることになりました。雇用労働者の最低賃金制に当たります。トラック運転手労組「貨物連帯」が十三日から十九日までの全国ストで政府から勝ち取りました。企業連合団体「コンテナ運送事業者協議会」には19%の運送料引き上げを認めさせました。(面川誠)
七日間のストライキは、政府をも相手に立法政策を求めた「政治スト」でした。労働法ではストの目的は労働条件の改善に限定されているため、これまでの「政治スト」では組合幹部が拘束・起訴され有罪判決を受けるのが通例でした。
政府は当初、「正式の労組ではない団体が主導する違法な集団運送拒否行為」として、ストの中止を要求。しかし、ストには組合に未加入の運転手も続々と参加し、一万三千台のトラックが運送拒否に突入しました。
ストの背景にある燃料費など物価急騰による生活苦は、トラック運転手だけでなく国民共通の問題です。十日の「百万人大行進」に見られるように、「企業寄り政府」を公言してきた李明博(イ・ミョンバク)政権への不満も高まっています。たたかいが拡大することを恐れた政府・与党は、コンテナ運送事業者協議会とは別に貨物連帯との交渉に踏み切りました。
十六日にはハンナラ党の任太熙(イム・テヒ)政策調整委員会議長と「貨物連帯」の金達植(キム・ダルシク)本部長が会談。政府との妥結点に道筋を付けました。
十九日に政府の国土海洋省と貨物連帯が合意した内容は、▽標準運送料制度を二〇〇九年から導入するために首相傘下の貨物運賃管理委員会を構成▽高速道路通行料の深夜割引を全貨物車に拡大▽液化天然ガス(LNG)車への転換費用(一台あたり約二千万ウォン=約二百十万円)を支援―など。現在は自営業者とされているトラック運転手の労組加入を認める労働法改正は、見送りとなりました。
最大の成果となった標準運送料制度をめぐっては、労働者の最低賃金(週四十四時間労働で月八十五万二千二十ウォン=約八万九千円)相当の収入を保障できる水準にするか、違反企業への処罰を含む強制力を持たせるか―などが争点として残っています。
貨物連帯 二〇〇二年に結成された韓国の貨物運輸トラック運転手の労働組合で、全国民主労働組合総連盟(民主労総)に加盟。組合員数は約二万人。法律上、ほとんどの組合員が自営業者に分類されますが、運送会社と契約関係にあるため、実質的には「特殊雇用労働者」に当たるというのが組合側の主張。政府は法律上の労働組合とは認めていません。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-06-22/2008062207_01_0.html