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【コラム】「88万ウォン世代」を待ち受ける負債(上) − 朝鮮日報
大学生のサークルなどで最も多く読まれている本の中に、『88万ウォン世代』(ウ・ソクホ、パク・クォンイル著)がある。昨年夏から広まり始め、ある大学教授はレポートを書かせたり討論用の教材として利用している。
88万ウォン(約9万1400円)とは、20代の非正規労働者の月平均賃金を象徴する額だ。「20代の若者よ、TOEFLの勉強はやめにして、石を持て」というサブタイトルが読者の目を引く。
著者らは「40代と50代が10代を人質として20代を搾取している」と告発し、「針の穴ほどの生存のチャンスも中年世代が掴んで離さない」と主張している。まるで世代間で大きな対立でもあるかのような表現だ。
この本が若い世代の間に広まっている理由は、共感を覚える層が幅広く形成されているからだ。現在20代の労働者の半分は非正規職で、20代前半になるとそれが3人に二人の割合となってしまう。
今回の米国産牛肉問題を通じ、社会の中堅となっている世代は88万ウォンの人生、とりわけ将来その後を引き継ぐことになる10代の中高生が世論を作り出す方法や、即席の合コンのような行動を珍しそうに眺めていた。
一部の勢力はその世代の直接民主主義への欲求を強く称賛しながら、何か別の目的を実現しようとしていた。また街頭闘争から味わうことのできる壮快感を若い世代と共有しようとする勢力は、彼らのすぐ横でスピーカーのボリュームを最大に引き上げていた。しかし一部のスローガンには共鳴するが、数日前まで大統領府(青瓦台)で聞かれた学生運動の歌さえも数フレーズで途絶えてしまい、化学的な融合にまで発展し得なかった街頭集会の実状。われわれはこの現実を目の当たりにせざるを得なかった。
また別の勢力は節操のないデマを広めてバトルロイヤルのような無差別攻撃に怒りを示し、もうこれ以上若い世代にやられてばかりではなく、それなりの対応をする必要があるとの決意を新たにしている。その一方で、わずか1カ月で数十万人をソウル都心に集めた結束力には唖然としている
http://www.chosunonline.com/article/20080614000038
【コラム】「88万ウォン世代」を待ち受ける負債(下) − 朝鮮日報
事実、この世代の不幸は「88万ウォンの人生には終わりが見えない」という点にある。その悲劇は未来形であることから、より一層深刻なのかもしれない。
人口構造を見てもそうだ。このまま行くと、韓国は近いうちに生産人口が自然減少へと転ずる。さらに、早ければ2020年、遅くとも2024年から人口減少社会に突入し、40年後には「5千万の同胞」ではなく「4千万の同胞」となってしまう。
この世代が国を引っ張るようになる30年後から、問題は深刻となっていく。ある日本の研究所の分析によると、2040年ごろから韓国の経済成長率はほぼゼロになる一方で、高齢者の比率は世界3位以上に入るのが確実だという。働かずに食わせてもらうだけの人口がそれだけ多くなるということだ。
88万ウォン世代の不幸な運命は、老後に備えて準備すべき働き盛りに、子どもたちだけでなく親の面倒をみるために多額の資金を投じなければならないという点にある。
人口構造だけではない。40代、50代、60代が作り上げた多額の負債も彼らの前に残されている。
健康保険はすでに赤字に転じており、次の世代は今後毎年、今よりも多くの税を支払って親の世代の病院での診療費を支払わなければならない。国民年金はこのままでは35年後に赤字に転じ、KDI(韓国開発研究院)の試算によると2060年には完全に底をつく。必死になって掛け金を支払っても、その世代が年金を受け取るべきときには制度が崩壊してしまっているということだ。
最後のベビーブーム世代の面倒をみなければならないその世代は、アルバイトや派遣社員として一生を終わるかもしれないという絶望に悩んでいる。これはどれほど悲惨な未来だろうか。
88万ウォン世代は386世代(60年代に生まれ、80年代に大学に通った以前の30代)さえも既得権層として非難の対象としている。象徴的なのは、お笑いの世界でユ・ジェソク、キム・ジェドン、カン・ホドンら30代が番組を独占し、その地位を若い世代に譲ろうとしないと激しく怒り、興奮していること。88万ウォン世代が手にしたろうそくが、いつ投石や火炎瓶に変わるか分からないような状況だ。
左派も右派も、進歩も保守も、既成の世代であれば節操がないように見えるこの世代については、現状だけでなく30年後にも関心を持たなければならない。ここでは反米も理念も何の意味もなくなってしまうのだ。
何としても、多額の負債を彼らに押し付けることだけはしてはならない。生活できるだけの経済基盤を残してやるという、せめてもの責任感は必要だろう。
http://www.chosunonline.com/article/20080614000039