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韓国の市民デモで必須の3点セットといえば、(1)ロウソク(2)おそろいの標語カード(3)運動歌。左右と主張は違っても、運動スタイルはどこか共通する。ところが5月3日夜、ソウル中心部で米国産牛肉輸入反対集会を見て、この固定観念が崩れ落ちた。 目立つのは女子学生の制服、スナック菓子。「まだ15年しか生きていないのに」という手書きの標語。米国産牛肉を食べたら今すぐ死んでしまいそうな独特の訴えだ。15日の輸入解禁を控え、集まった1万人を超える参加者のうち女子中高生が7割を占めたという。
ここにはお決まりの80年代民主化運動歌はない。大合唱になったのは「オー! 必勝コリア」。02年サッカーW杯の応援歌だ。コンサート会場のようなノリノリの熱気にあてられ、集会慣れしているはずの私が息苦しくなった。こんな経験は初めてだ。20代の民主化運動離れが進んだと言われるが、10代は過激で、元気じゃないか。
デモは中間試験が終わった2日夜から連日のように続いている。先月29日に報じられたMBCテレビの牛海綿状脳症(BSE)特集を見て「給食に使われるかも」と10代に不安感が広がったのが引き金だった。有名女優が「BSEの肉を食べるなら、青酸カリを飲んだほうがマシ」と発言したり、「東方神起」など人気歌手グループのファンサイトでBSEの危険性を訴える書き込みが相次ぎ、感受性の強い女子学生が特に影響を受けたようだ。
集会は、老舗の市民団体が主導するこれまでの方法と違って、若い世代の個人サイトが呼びかけあった。そのうちの一つ、李明博(イミョンバク)大統領の弾劾署名を呼びかける高2男子(18)のサイトは、約130万人の署名が寄せられるほど人気だ。ただ、一部のサイトではBSEの恐怖を誇張したり、怪情報も出回っていて、10代がBSE問題について客観的に状況判断できているか、危なっかしい面もある。
今の10代は、80年代に大学で民主化運動をした活動家世代の子供たち。中3の娘から集会の話を聞かされた元活動家(43)は「運動のプロだった私たちもできない形で社会を動かそうとしている。うれしい半面、情緒的で心配もある」と複雑な心境を語った。 10代が不安を抱え込まず、社会に訴えること自体は健全だ。ただ不安の矛先が次にどこに向かうのか、ほとんど予想できない。大人はその現実に気づき、戸惑っている。(ソウル支局)
http://mainichi.jp/select/opinion/horiyama/news/20080512dde012070029000c.html