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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu166.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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中国では、食料品の価格上昇率が前年比120%を超えるインフレ
状態にある。不満が物価政策を担う中央政府に向かう可能性がある。
2008年4月20日 日曜日
中国各地で反仏デモ
仏カルフールの入り口をふさいで買い物を妨害するダンプカーの列
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080419-00000038-jijp-int.view-000
◆<北京五輪>中国当局は「愛国デモ」への対応に苦慮 4月19日 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080419-00000110-mai-cn
【北京・浦松丈二】北京五輪聖火リレーの妨害があったフランスに対する抗議デモが19日に中国各地に拡大し、中国当局はチベット独立反対を掲げる「愛国デモ」への対応に苦慮している。デモの背景には、食料品高騰への庶民の怒りや仏大手スーパー「カルフール」の店舗拡大に対する地元小売業界の不満などがあり、当局はデモの矛先が政府に向かわないよう警戒を強めていくとみられる。
「君たちの愛国心は十分に理解した。学校に戻りなさい」−−。最大規模のデモが行われた湖北省武漢。カルフール前でデモ隊や市民らが2000人規模に膨れ上がるなか、警察はデモの中心になった学生らをこう諭して解散を命じた。デモ参加者への刺激を避ける対応によって、収拾不可能になる事態は避けられた。
05年の反日デモでは日系のスーパーやレストランが標的になり、店内が壊されたり、邦人が負傷する事件も起きている。人口の多い中国では短時間にデモが数万人規模に拡大することがあり、一部が過激化して店舗打ち壊しなど犯罪行為を誘発するケースが後を断たない。
中国では今年に入り、食料品の価格上昇率が前年比120%を超えるインフレ状態にある。値上げに対する消費者の不満はスーパーだけでなく、物価政策を担う中央政府に向かう可能性がある。
また、カルフールは中国国内で急速な店舗拡大を続けており、これまでに大型店舗112店を展開している。地域によっては、客を奪われた地場小売り業界が大規模スーパーの出店を許可した地方政府への不満を高まらせている。
今回の反仏デモや不買運動がインターネット上で過熱している点も事態を複雑にしている。武漢のデモでも、携帯電話のメールで不特定多数に参加が呼びかけられており、警備当局が規模を事前に予想することが難しかったとみられている。
◆「狭い民族主義」に陥った愛国主義教育運動 2004年9月3日 矢吹晋
http://www.21ccs.jp/china_watching/DirectorsWatching_YABUKI/Directors_watching_04.html
年表1から明らかなように、問題の発端を天安門事件あるいは旧ソ連解体から見ていくのが便利である。91年末の旧ソ連解体が中国共産党指導部に与えた衝撃は、建党以来、最大のものであったはずだ。「蘇東波」の俗称で呼ばれた、民主化の波が激震のように中南海を襲ったことは、疑いない。中国では保守派の姓資姓社論が大手を振ってまかり通った。ケ小平の改革開放路線は風前の灯火に見えた。老ケ小平が密かに深?特区を訪問して、改革開放路線しか生き延びる道はないことを訴える旅に出たのは、文字通り、彼にとって「最期の闘争」であった。
保守派は改革開放路線が中国社会主義を崩壊させると危惧したのに対して、ケ小平は中国社会主義の生き延びる道は改革開放をさらに進める以外にはないと断定した。中国共産党にとって有史以来の存亡の危機にあって、ケ小平の立場は明確であった。
1990年代の初頭、中国がまず各省レベルで「国防教育条例」の作成を急ぎ、その集大成として、2001年4月28日に「中華人民共和国国防教育法」を採択・施行したのは、この文脈で理解さるべきである。こうして国防教育から始まった一連のキャンペーンは、90年代半ばに「愛国主義教育」キャンペーンに引き継がれる。国家教育委員会が「愛国主義教育実施綱要」を各級教育機関に通知したのは1994年9月23日であり、国務院民政部が「愛国主義教育基地」百カ所を指定したのは1995年3月のことであった。
1996年10月10日、江沢民は14期 4中全会で重要講話を行い、「とりわけ青少年の間で愛国主義教育を強化せよとよびかけた。
1994年9月から96年10月という時期に注目したい。これはまさにケ小平の「舞台裏からの引退」時期に相当する。ケ小平は天安門事件後に江沢民執行部が成立したのを見届けて、1989年11月、13期 5中全会で軍事委員会主席のポストを江沢民に譲った。これによって表舞台からは引退した。しかしこのとき、「重大な意思決定においてはケ小平同志の決裁を仰ぎたい」とする江沢民指導部の意向もあり、ケ小平は1989年秋5中全会の正式引退から1994年秋までの5年間は、政治局会議の重要資料を閲覧する立場にあった。しかし、1994年8月22日に満90歳の誕生日を家族で祝ったのを契機として「舞台裏からの引退」を明らかにした。ケ小平のこの申し出を受けて、14期 4中全会(1994年9月25-28日)は、「党の建設強化に関するいくつかの重大問題についての中共中央の決定」を採択した。ここで「党の建設強化」とは、ケ小平なき指導部、ポストケ小平期の指導部の構築の意味であった。
ここから悲劇が始まる。江沢民指導部はここで全権を掌握したものの、二重、三重の意味で劣等感にさいなまれていた。第一に、天安門事件の恐怖はまだ去らない。彼がようやく胸をなでおろしたのは、1999年の天安門事件10周年の後である。しかし、この直後に法輪功の請願デモに囲まれ、驚愕のあまり、途方もない弾圧に乗り出した。
第二に、中国経済はようやく高度成長の軌道にのったものの、GATTからWTOに続く、市場経済化への道は遠い。中国経済の行方に対して自信はない。第三に、米中関係もまだ不安定であり、基礎固めの時期であった。こうして内外すべての政策において自信欠如の執行部に対して、台湾の李登輝総統は訪米問題をつきつけた。
江沢民は1995〜96年の台湾海峡でのミサイル演習を通じて、解放軍を掌握するとともに、台湾当局に対して、高圧政策を展開することを通じて、為政者の権威を示そうとした。台湾問題は愛国主義教育を推進するうえで、恰好の教材となった。台湾が日清戦争を通じて割譲されたことは誰でも知っている。そこから台湾独立批判は、直ちに日本当局批判に結びつけることができる。こうして台湾独立派およびこれを支持する日本軍国主義を仮想敵国扱いする江沢民戦略が固まった。1998年の訪日前後の事態については、細かな検証を必要とするが、おおづかみいえば、愛国主義教育運動を推進するうえで必須の「反面教師としての日本軍国主義」の一語に尽きるであろう。
1990年代半ばの中国の舵取りを江沢民程度の指導者に委ねるほかなかったことは、中国の不幸だと私はかねて考えてきた。近年、ますますその確信を深めている。
江沢民はケ小平路線の正統な後継者とはいいがたいのである。たとえば、愛国主義教育についていえば、ケ小平は確かに天安門事件の一因として語ったことがある。しかし、ケ小平の視野は空疎なイデオロギー教育に解決をゆだねようとしたのではなく、なによりも経済発展を通じて中国の老百姓の支持を勝ち取ろうとしていたことは明らかである。江沢民は愛国主義教育というケ小平の言葉をほとんど歪曲して、民族主義的排外主義に堕したと私は見ている。
中共中央宣伝部が「愛国主義教育綱要」を作成したのは1994年9月のことだ。この「綱要」の趣旨を検討しておきたい。『綱要』は全8項40カ条からなる。すなわち、1項基本原則5カ条(第1-5条)、2項主要内容9カ条(第6-14条)、3項、重点は青少年5カ条(第15-19条)、4項基地建設6カ条(第20-25条)、5項社会的雰囲気の創造3カ条(26-28)、6項愛国意識の増強8カ条(第29-36条)、7項愛国先進典型の宣伝2カ条(第35-36条)、8項領導強化4カ条(第37-40条)、である。
第4条では「愛国主義教育は対外開放の原則を堅持しなければならない。愛国主義は決して狭い民族主義ではない」と明記している。対外開放の原則を堅持すべきこと、狭い民族主義に陥ってはならないとする規定は、きわめて正しい文言と考えられる。この綱要が作成された時点で、これが明記されていたことは確認しておく必要があろう。問題はこの第4 条の精神が果たして活かされたのかどうかである。結果的には「狭い民族主義に陥ったとみるほかない。綱要第5条ではケ小平の次の語録が引用されている。「中国人民は民族的自尊心と誇りをもつ。祖国を熱愛しすべての力を社会主義祖国に貢献することを最大の光栄とみなし、社会主義祖国の利益、尊厳、栄誉を害うことを最大の恥辱とみなす」という考え方である。
ここで中国を日本とおきかえ、社会主義という形容句を削除すれば、そのまま日本の道徳教育におきても用いることができよう。このような考え方自体に問題があるわげではない。だが、実際には、当時の中国指導部は「蘇東波」をおそれるあまり、「プロレタリア国際主義」を極力否定し、ついには国際主義、国際協調を顧みなかった。国際主義なき愛国主義が狭い民族主義に陥ったのは当然の成行きと見るべきであろう。
第12条では国防教育と国家安全教育の必要性を論じて、「軍政・軍民団結を強化し、全人民が外敵の侵略に抵抗し、祖国独立を防衛し、国家主権と領土保全の自覚を高めよ」としている。また全人民を教育して、祖国の利益を売り、祖国の尊厳を損ない、国家安全に危害を加え、祖国を分裂させる言行と断乎たる闘争を行う」ようよびかけている。
ポスト冷戦期の国際情勢において、核保有大国としての中国に侵攻しうる能力をもつのは米国だけである。国際的な安全保障問題を注視しているわれわれの感覚からすると、この認識は時代錯誤以外のなにものでもない。冷戦時代ならいざ知らず、ポスト冷戦期においてこのような国際情勢認識を示したのは、愛国主義教育問題を江沢民がどのように認識していたのか。その核心を雄弁に物語る。つまり、これは問題のすり替えなのだ。中国に「蘇東波」が及ぶかどうかは、国際的外圧の問題ではなく、中国の老百姓が中国共産党の統治を歓迎するかどうか。歓迎するとすれば、どのような共産党の統治を歓迎するのか。これ以外ではありえない。江沢民指導部は国内の民心掌握上の不安という国内問題を「外敵の侵入」という外圧問題にすり替えたことになる。
(私のコメント)
昨日は中国の排外主義的愛国運動を歴史的に見ましたが、最近の愛国運動は江沢民による青少年教育に原因がある。これはケ小平の改革開放政策と矛盾する政策なのですが、最近の愛国運動が改革開放政策を終わらせる可能性がある。オリンピックが一つの転換点になるかもしれない。
愛国運動自体は世界のどこの国でもあることであり悪い事でもない。しかし中国においては中華思想の影響で愛国運動が排外主義になってしまいがちだ。チベット暴動自体がチベットの文化や宗教への排外運動でもあり、北京政府が暴動鎮圧に苦慮しているのも、軍部や武装警察による暴走だからだ。
90年代の愛国教育が2000年代に入って05年の反日デモなどに現れていますが、今回は反仏反米デモでカルフールやケンタッキー・フライドチキンなどへのデモに現れてきている。しかし毎日新聞の記事にもあるように「愛国デモ」への取締りには苦慮しており、これが暴走すれば容易に反政府デモに変化してしまうだろう。
反日デモにおいても武装警察はデモ隊に対しては全く動かず、デモ隊を刺激する事は避けた。もしデモ隊を武装警察が鎮圧すれば愛国運動を鎮圧した事になり、デモ隊の矛先が政府に向けられるのが分かっているからだ。このように外資系の店舗に対してデモが仕掛けられるのは、今後も激しくなる一方だろう。それは改革開放政策が終わりを告げる時だ。
すでに外資系企業への税の優遇政策もとられなくなってきており、労働法の改正で賃金上昇や解雇などへの制限でコストが急上昇している。このようになる事は容易に想像がついた事であり、日本企業なども中国に進出したはいいけれど赤字経営で中国から撤退したいけれども、様々な制約で会社整理もなかなか出来ない仕組みになっている。
中国の愛国運動はソ連崩壊に伴って共産主義のイデオロギーが崩壊した後の中国共産党の唯一のイデオロギーとも言うべき状況になり、愛国運動を盛り上げる事で政権の維持をはかった。そのためには分かりやすい敵が必要になり、日本の軍国主義が敵となった。ロシアやアメリカを敵とするには軍事的脅威が強すぎるから、核を持たない日本が一番やりやすいのだろう。
台湾問題にしても、台湾は日清戦争で日本に割譲されたものであり、その台湾が独立する事は日本に奪われた事と同じ結果をもたらす。だから日本の軍国主義を叩き、日本の左翼と連携して反日活動を扇動する事が中国の愛国運動となった。中国では愛国主義教育基地が100ヶ所作られて、南京大虐殺なども展示の対象となり、青少年から徹底した反日運動教育が行なわれた。
このような背景から考えれば、日本に輸出される冷凍食品の中に毒物が混入される事件の背景にもなるのですが、北京政府はこのような弊害を押さえきれないでいる。このような中国に企業進出させる経営者は、それらのリスクは認識しているはずだ。フランスのカルフールも112店舗も展開していますが、愛国運動の盛り上がり次第では中国への投資がすべてパーになる覚悟も必要だろう。
アメリカのブッシュ大統領は中国を「人権抑圧国家」から外して、北京オリンピックの開会式にも参加しますが、議会から批判されている。アメリカはあまりにも多くの企業が中国に投資しているから中国を叩けない。クリントンにしてもブッシュにしても大統領になった当初は中国を叩きますが、すぐに中国に融和的政策をとるようになる。
中国に進出したアメリカ系の企業が人質になってしまった形になってしまう。日本のマスコミも中国の巨大市場に進出しようと大キャンペーンを行なってアメリカの後を追った。しかし中国が豊かになったからといっても民主国家になるわけではなく、むしろ武装警察によって管理された全体主義国家になり、アメリカは中国に裏切られた形で敵対されるようになる。
アメリカ海軍は台湾周辺海域に空母三隻を展開させていますが、中国の暴発を恐れて警戒しているのだろう。しかしアメリカはイラク戦争に足を奪われているから中国とは問題を起こしたくはない。しかし北京政府も愛国運動で暴走する軍部を抑えきれなくなってきている。胡錦濤は軍部を掌握できていないから、チベットで軍部によるやらせ暴動が起きたのですが、ヒトラーやスターリンなら軍部を粛清するところですが、胡錦濤では無理だろう。
戦前の日本と現在の中国は似た状況にあり、暴走する国民の愛国運動と軍部の暴走を弱体政府では抑えられない。いわば中国という軍事大国をアメリカが育てたようなものですが、フランスなどは老獪だから人権問題を炊きつけて中国を暴発させてアメリカとの対決状況に持っていって、米中共倒れを狙っているのかもしれない。中国の愛国活動家は必ずアメリカ資本の企業にもデモを仕掛けて挑発するだろう。その時点でアメリカも中国にだまされた事を認識するだろう。アメリカ人は馬鹿だから何度でも中国に騙される。