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ワールドレポート 2008年1月9日号
株式暴落で始まった新年
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¥450
あけましておめでとうございます。今年もどうぞよ
ろしくお願いいたします。昨年の「流」から今年の「怒」へ、早速年末
年始から動きが急ピッチですが、特に米国の衰退と崩壊が世界の金融経
済と安全保障を激しく突き動かしています。本当に米国は強いのか。実
は既に米国はベトナム戦争の敗北の頃にピークを過ぎ、あとは虚偽と幻
想による国家運営で世界中を陶酔させてきたというのが実態だと思いま
す。確かに優秀な人は米国にもいますが、その良き力が国と世界を運営
するというよりも、政府の運営は大抵の場合、悪意と虚偽に満ちていて、
同じようにウォール街もペンタゴンも悪意と虚偽にまみれた言動を当た
り前のこととしてやってきたのがこの30年ほどの実態だったと思いま
す。同時に日本を含めた世界の国々にとっても、米国という非常に悪い
けれどもちょっと間抜けな超大国を上手に利用すれば大変便利ですから、
損得勘定のソロバンをはじき、上手におだててそれなりにカネと名誉を
与えてやって見返りをもらい、その結果として自分たちの現状維持を図
ってきたというのが実態なのではないでしょうか。なぜ米国の
軍事力や金融力が世界最強なのか。答えは残忍さと悪賢さと怖いもの知
らずの相乗効果が世界最高だからということであって、普通の人や国は
天を恐れてそこまで本気で悪くはなれないのです。そのことは他国に原
爆を落としたり他国を金融破綻させても一向に悔やんでいる様子がない
ことを見てもよくわかります。普通の国や人はそこまで悪心をいだけな
いのです。でも同時に、今我々は改めてこうした米国の本質を直視した
とき、そういう悪の極限みたいなものがこの世を動かすことがもはやで
きなくなりつつある、悪による恐怖が世の中を動かすことができなくな
りつつある時代が来ていることを感じるのです。よく絶対に米国は崩壊
しない。米国は最後に必ず勝つと信じている人がいますが、私自身、米
国の金融機関で勤務した経験から米国だって決してそんなに強い国では
ないということを実感するのですが、なぜこう信じるのだろうとよく観
察していると、要するに悪は絶対に滅びない。世界で一番悪いのが米国
なのだから、誰も米国にはかなわないという理屈のようなのです。なる
ほど日本にも悪による世の中の支配にあこがれる人がいて、そういう人
が米国を「神格化」して崇拝しているのかなと思うのですが、そういう
人はそろそろ気持ちを変えてもらわないと国内外に居場所がなくなって
しまいます。たとえば1月4日の読売新聞の社説は大変興味深いもので
した。超大国の力と威信の陰りという題で、一極支配の時代を作るかに
見えた超大国米国の地位が揺らいでいる、と書いてあるのです。読売新
聞といえばかつての社主、正力松太郎が米国CIAのスパイとして活動
していた新聞社であり、米国のための謀略機関のような会社です。その
会社が米国が揺らいでいると当惑した社説を掲げているのです。もちろ
んその後、7日の社説では、やはり日米同盟が基軸だといつもの宣伝を
繰り返しているのですが、こんな謀略機関のような会社ですら揺らぎを
見せ始めているのです。中曽根康弘が言い出し、読売の渡辺恒雄が仲介
した自民と民主の大連立話も、結局は現体制維持のためのあがきだった
わけで、どうやら時代は米国の悪による世界支配が通用しないところに
来ているようです。すなわち悪を許さない明るさと温かさが世界に広が
り始め、そのために悪が文字どおり最後の悪あがきをしている、それが
今という時代の真相なのだろうと思います。ですからそれが相似形とし
て我々の日常生活にも起きているわけで、決して悪くなるために悪くな
っている
のではなくて、世の中が急速に明るく温かくなりはじめて、悪が大騒ぎ
をしているということなのです。米国では最近はダイエットをする人が
減って、そもそも体重が増えないような健康な食事をする人が増えてい
るそうです。すなわちダイエットというのは、そもそも太る食事をして
いるからダイエットが必要になるということであって、初めからそうい
う矛盾を生まない食事をすることが最も望ましいことなのです。まさに
それは世界の政治経済でも同じことであって、やりたい放題をやって、
その矛盾を金融市場の幻想や軍事力で解決するようなやり方はもう人々
から見放され始めているのです。すなわち持続可能な世界秩序というの
は、もっと明るくて温かい発想と行動でなければ作ることができないの
です。ところが米国の衰退・崩壊と共にそれ以上の悪が世界から出て来
ず(ロシアや中国は米国より残忍だけれども発想が単純な分、米国ほど
悪くなれない)、同時に未だ光も熱も見えなくて、世界秩序が大混乱状
態に陥っているというところでしょう。これから本当に国内外を明るく
温かくするためには、すべての人、地域、国の個性に合った仕事と生き
方をこの世で実現させていかなければなりません。すなわち虚構として
の競争社会で選抜を繰り返して生き残った人だけがやりたい放題ができ
るという世の中は、もはや維持ができないのですから、みんなが生き生
きと無駄な競争をすることなく、同時に腐敗・沈滞・過度の我慢をする
ことなく飯が食えて共生できるためには、すべての生きとし生けるもの
の個の花を咲かせるしか方法がないのです。もはや親方日の丸も星条旗
も全然力不足で、それにすがって生きることができない時代が来ている
のです。個の花を力や悪で抑えて意図的に格差を作ることは、もはや不
可能な時代が来ているのです。そこに気がついたとき、今年一斉に吹き
出してくる「怒」は、結局は誰かを倒せばよいとか壊せばよいとかいう
ことでは解決のできない話であり、個の花を一斉に咲かせるための具体
的な一歩を踏み出すことによってしかそれを鎮めることができないので
す。今年は本当に重要な年だと思います。みなさんそれぞれに個の花を
咲かせることができるよう、この大混乱の中に見え隠れする自分自身の
糸口をしっかり手にんで、明るい未来を自分の力でたぐり寄せていっ
てください。
今週の論説
株式暴落で始まった新年
年始早々、日米の株
価が大暴落を起こしました。為替は一時107円をつけるドル安円高。
原油はついに1バレル百ドルの大台を越え、ゴールドも872ドルの高
値更新。まさに不況と物価高を象徴する展開であり、1990年に昭和
のバブルが崩壊して年初から株の暴落が始まったことを思い出します。
しかし現役でこの当時の混乱を知っていて実務についている人が大企業
や役所で非常に少ないことが、大企業と役所にとっては致命的な問題を
引き起こすと思います。実際に渡辺金融担当大臣など、原因を見つけて
対策を立てればよいだけの話だと言い放つ始末。とてもそうした対処療
法で直る問題ではないのにそれが全然わかっていない様子で、日本政府
もこれから大混乱の渦に巻き込まれることは避けられません。結局昨年
のサブプライム問題発覚以降、景気が急激に悪くなりつつあり、企業収
益も悪化が避けられず、株価は本格的に近未来の不況と混乱を織り込み
始めたのだと思います。特に日本ではここに来て不動産・建築業界の厳
しさが増していて、先日はマンション分譲のグレイスが倒産。また食品
業界でも大豆が史上最高値を更新したりして全般的に原材料高が顕著に
なっており、その影響を受けてチーズケーキの有名チェーン店が破産。
さらに国内の新車販売は35年ぶりの低水準ですし、軽自動車の販売も
鈍化。中小企業では求人の手控えが広がり、
企業倒産は3年ぶりに1万件を突破。中国では国内で激しい食料品の価
格高騰が起きて貧しい人たちが暴発状態になりつつあり、それを少しで
も鎮めるために穀物の輸出に関税をかけることに。それに対して農水省
は今頃になって小麦や大豆の備蓄を拡大しようとしていますが時既に遅
し。これからますます日本は食料の量の確保と価格の安定に悩まされる
ことになります。こうして日本経済は住宅と車の2つのエンジンが同時
に止まった上に急激な物価上昇というひどい下降気流。日本の株式市場
における株式の資金調達額も昨年は前年比6割減となりましたし、銀行
の融資姿勢も昨年から厳しくなっていて、企業は今後は採算をしっかり
取れる投資しかできなくなります。すなわちカネ余りゼロ金利時代のよ
うな、作文さえ上手に書ければカネが出てくるという時代は終っていま
す。さらにこれまで国内の不況を補ってきた海外の様子を見ても米国経
済が急減速をしていますし、日本から中国への投資も昨年から急減。で
すから日本経済は内需も外需も既に推進力が止まっており、そこに物価
高という激しい下降気流とサブプライムというミサイルまで撃ち込まれ
てフラフラ状態。しかもそうした状態の中で政府はこれまでの生産者重
視の姿勢を改めて消費者・生活者重視の政治を行うことを決め、消費者
庁の創設を検討。もはや企業は日本の消費者をだましたり、食い物にし
たりすることができなくなりつつあります。さらに労働組合の連合は今
後、派遣社員の組織化に本腰を入れると言っており、企業と消費者、経
営者と社員はウイン・ウインの関係を築いていかなければ生き残ること
ができなくなりつつあるのです。これが平成の世界大恐慌の第1幕であ
り、これからしばらくは世界大恐慌の環境下で日本経済の失速とそれに
伴う混乱、そして再編成の時期にさしかかってきたと思います。政治の
ほうも福田内閣は結局内閣改造すらできず、早々に総選挙をすれば与党
が大敗することは確実なので、公明党の代表が解散総選挙は秋以降と発
言。どうやら自民党の中枢では町村官房長官を次期総理にしようとして
いるようなのですがとてもこの時代には力不足。それで要するに控えの
投手がいなくて、先発の福田氏にはボロボロになりながらも投げ続けて
もらうしかないというのが実情のようです。注目の大阪府知事選挙でも
与党候補の橋下弁護士を東京は自民も公明も推薦しないのに大阪では公
明党の府連が推薦。これで12日に新テロ特措法で衆議院の再議決が行
われた場合に創価学会の会員がどう反応するのか、大変興味深い状況に
なってきました。一方米国のほうもFRBが1ヶ月物の資金供給量を従
来の1・5倍に拡大し、広がる信用不安に懸命に対処しようとしていま
すが事態は収まる気配を見せません。FRBのエコノミストが米国の住
宅価格は今後何年にもわたって著しく下落する可能性があると指摘し、
信用力の高い人向けの住宅ローンの貸し出しも大幅に落ち込むなかで年
末になって全米の事務所の空室率まで上昇を開始。格付け機関のS&P
はここで新たに65億ドルの証券化商品の格下げを検討。相場の潜在的
損失は世界中で広がるばかり。そしてこうした金融の混乱で最近は製造
業までおかしくなり始め、失業率が5%に急上昇。自動車産業も非常に
厳しい見通しになり、また米国の消費者ローンの延滞率も01年以来の
高水準に達し、これまで健全経営をしてきた地域の銀行にも不良債権の
津波が押し寄せつつあります。全世界に急拡大をしてきたスターバック
スコーヒーも低迷が始まって創業者がトップに復帰。また大手ヘッジフ
ァンドのブラックストーンやサーベラスでも経営環境が厳しくなってい
るようで、今年の米国経済は相当な混乱になりそうです。そうしたなか
で今年秋の大統領選に向けてまずアイオア州で予備
選挙が実施され、共和・民主両党ともに一番の有力候補が落選して変化
を訴えるマイナー候補が当選。特に民主党の黒人候補オバマ氏はニュー
ハンプシャー州でも人気をリードしており、既成の政治家に対する巨大
な反乱が米国市民の間に広がっていることが明確になりました。これは
既成勢力には大変な衝撃だったようで、新聞には地震が起きたという見
出しが立ち、ブッシュ政権は慌てふためいて景気の先行きに懸念を表明。
景気対策として何でもやると言い出す始末。ちょうど昨年7月末の参院
選での与党大敗の衝撃が、半年経って米国に上陸したような雰囲気です。
同じようにフランスでも景気の急速な悪化でサルコジ大統領の支持率が
急激に低下。イタリアのナポリではゴミの収集が処分場の問題で停止し
て市内がゴミの山となる大混乱。何か一気に世界中の経済が逆回転を始
めたという感じです。
そうしたなかで安全保障面でも大きな変化が相
次いでいます。まずペルシャ湾では昨年に続いて再びイラン軍が米艦を
威嚇して交戦寸前の状態が発生。イラン側はいつものことだと言ってい
ますが、もし米国が意図的に危機を煽る報道をしたとすれば米国こそ本
当にここでイランと戦争をしたがっているということになり、いよいよ
中東戦争の可能性があります。イスラエルも米情報機関がイランは既に
核開発を止めていると分析していることは誤りだと強硬に主張しており、
イランとはとことん対峙するつもりのようです。ただ、よく気をつけな
ければいけないのが資源・商品相場の動向です。かつて昭和20年代に
朝鮮戦争の反動不況から現在と同じような造船バブルが崩壊してその後
始末の問題から造船疑獄が起き、それが一大事件に発展し、事件の張本
人である岸信介や佐藤栄作が米国からかろうじて助けてもらったという
事件がありました。またソ連のスターリンが急死して世界が平和になる
という思惑から軍需株などを中心に株が大暴落したことがあります。で
すからこれから先、投機で膨れ上がった資源・商品価格はどんな要因で
暴落するかわかりません。疑獄も戦争も平和も何でも急展開で出てくる
時代ですから、くれぐれも相場の行方には注意してください。またパキ
スタンではブット元首相の暗殺後、米国が案の定、同国北部の部族地域
への攻勢を強化すると言い出しましたが、パキスタン政府は外国軍隊の
介入をキッパリ拒否。一方スリランカでは政府と抵抗軍との停戦協定が
崩壊。またアフリカではフランスのサルコジ大統領の強硬姿勢を逆手に
取ってアルカイダがマグレブ諸国で活動を活発化させてテロが.発。そ
のためパリダカラリーが中止。さらにケニアでは大統領選挙の結果を巡
って突然、大虐殺が始まって既に25万人が避難民生活。スーダンでは
米大使館員2人が射殺。北朝鮮も結局期日までに核の無能力化を完了さ
せなかったのですが、中国は通常の遅れの範囲と発言。一方こうした状
況下で湾岸産油国は巨額の外貨を国が運用して米国の金融機関や不動産
の買収に血道を上げており、またフィリピンですら外貨準備が過去最大
を記録して米国の言いなりにはだんだんならない存在になりつつあり、
米国は自国の利益を考えて作ったグローバリゼーションを逆手に取られ
てどんどん中進国、貧困国に侵食され始めています。フランスも最近に
なってEUの拡大についてこれまで否定的だった考えを改めて拡大を志
向する政策に転換していますが、政権交代で親米政権が放逐されたポー
ランドでは新政権が米国のミサイル防衛システム配備に懐疑的な考えを
示しており、さらにイラクに侵攻中のトルコは、フランスの敵視政策の
おかげでこうした非常に危険な賭けをするところまで追い詰められたわ
けで、果たしてフランスにEUの統治ができるのでしょうか。本当に米
国の金融経済安保の流動化が世界を動かし始めた昨今、日本も新しい国
のあり方を本気で模索しなければならないときに来ているのです。
藤原直哉 拝