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2008年01月06日
米国のイラク攻撃ーもう一つのパンドラの箱
米国が嘘までついてイラクを攻撃した最大の理由は、石油欲しさでも、軍需産業の要請でもなく、イラクを、アラブの反米、反イスラエル武装抵抗組織と戦う軍事的拠点(民主化と言う名のイラクの親米化)にするためであった。この認識はもはや国際的に一致するところである。米国のイラク戦争は、こよなくパレスチナ問題なのである。
しかしそのような米国の軍事的攻撃が、イラクを民主化するどころか分裂、崩壊させてしまった。それを世界中が今や目撃している。
その分裂、混乱、崩壊は、しかし、決してイスラム教シーア派とスンニ派の対立の為だけで起こったのではない。イラクを取り巻くシーア派のイラン、スンニ派の石油湾岸諸国(サウディアラビア、ア首長国連邦など)を巻き込んだ覇権争いから来ているだけではない。
祖国なき最大の民(川上洋一著 クルド人 もう一つの中東問題 集英社新書)と言われる、推定2500万人のクルド人の分離独立の動きと、国内に最大のクルド人口を抱えるトルコのクルド人攻撃こそ、イラク情勢の混乱が最後にたどり着く最悪のシナリオであったのだ。
そしてその最悪の事態が昨年12月1日に始まった。ついにトルコ軍がイラク領内を越境して北部イラクの武装組織クルド労働者党を爆撃したのだ(07年12月3日朝日ほか)。こうして米国のイラク攻撃がもたらしたもう一つのパンドラの箱が開かれた。
この大事件は日本ではほとんど報道されることはない。しかしトルコのイラク攻撃はその後も断続的に続き、昨年12月18日には数百人規模の地上部隊がイラク領内に侵攻するという事態に発展した(07年12月19日読売)。
1月6日の朝日新聞は、「空爆 限りなき痛み」という見出しの下に、多くのクルド民間人の犠牲者とともに、2000人以上のクルド住民が避難生活を強いられていると報じている。そして、米国が、クルド労働者党は「テロ」であり、トルコと米国の共通の敵であるとして、トルコの攻撃を容認するどころか、支援していると報じている。
イラクはもはや崩壊した国家である。あまりにも不正義で、無責任な米国の中東政策によって、引きちぎられた国となってしまったのだ。誰かがその米国の横暴を止めなければならない。傲慢な米国の軍事力行使に鉄槌が下らなければならない。