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http://www.afpbb.com/article/politics/2331887/2494063
【1月3日 AFP】2008年米国大統領選挙の候補者選びは3日、アイオワ(Iowa)州で開催される民主、共和両党の党員集会で火蓋が切って落とされる。民主党候補のトップを走るヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員(60)にとって、米国初の女性大統領を目指す挑戦が初めて有権者の冷静な審判を受ける。
クリントン候補の選挙戦では、夫ビル・クリントン(Bill Clinton)前大統領が務めた2期(1993-2001年)を合わせ、同夫妻が10年以上にわたり民主党の主導権を握るかどうかも注目される。
民主党候補のトップグループを構成する対立候補、ジョン・エドワーズ(John Edwards)元上院議員(54)、バラク・オバマ(Barack Obama)上院議員(46)との接戦が待ち受けるアイオワ州党員集会だが、ヒラリー候補の選挙戦は、明らかに矛盾する自身の主張に形をつけることができるかどうかにかかっている。
■夫政権の遺産に寄りかかりという批判
クリントン候補は「新世紀のための変革の担い手」として自己をアピールしているが、政治理念的には夫のクリントン政権時代に多くを負っている。最近の調査では米国で最も尊敬される女性という結果が出たが、保守派のラジオ番組ではかんしゃくを起こす場面も見せ、対立陣営に格好の攻撃材料を与えた。
世論調査で「嫌い」という回答率も高いことや、共和党支持者を刺激し、かえって共和党候補者に投票する人が増えかねないことなどから、大統領の座を勝ち取ることはできないだろうとみる政治評論家もいる。前月CBSニュースに出演したライバル候補のオバマ氏は「過去の討論でそうであったように、クリントン候補には相手方を活気づけてしまう傾向があるのは確かだ」と指摘した。
■女性運動や「団塊の世代」の共感獲得に難航
クリントン候補は世界で最も著名な女性の1人でもある。しかし自陣の選挙参謀たちが「同候補に共感を持つアメリカ人は少ない」と嘆く面もある。選挙遊説ではクリントン氏のソフトな面を演出するのに苦心してきた。
米国大統領という国家の最高職を目指すことで、フェミニズムが課題としてきた「見えない天井」に挑戦しているともいえる。遊説中、女性に参政権がなかった時代に生まれた年配の女性たちに対し、「生きている間に女性大統領を目にすることができる」と訴える場面もあった。
しかし、クリントン候補自身の実力は上院議員どまりで、大統領選で優勢なのは夫クリントン前大統領の遺産だと批判する声もある。そうした批判派は、クリントン前大統領が任期中に不倫問題を起こした際に夫人が夫を支え続ける決心をしたのは、権力への野心からだとさえ言う。
「大半の人が、特に民主党員は、大統領選で女性に投票したがっていることが世論調査から見て取れる」とアイオワ州立大学(Iowa State University)のDianne Bystrom氏はいう。「人々は女性大統領を実現したいのだと思う。ただ彼らがヒラリー・クリントンを選ぶかどうかだが」
またクリントン候補が大統領になれば、政治的に波乱に富んだ青春時代を過ごした米国のベビーブーマー世代、いわゆる団塊の世代にとって過去を修復する最後の機会ともなりうるとの見方もある。しかし、それは1960年代の社会的闘争の単なる再現に過ぎないと批判する声もある。
■初の接戦経験で試される「強さ」の真価
ライバル候補たちもクリントン候補の知性や政策に精通している点は認めているが、大統領夫人として政治に疎い面を見せたこともあり、夫ビル・クリントン氏が見せた錬金術ばりの政治的手腕には及ばない。
ただし議員として過ごした過去数年間の共和党との論戦において、クリントン候補の強さを疑う者はいないだろう。アイオワ州遊説中、クリントン候補は「(共和党から)一斉砲火のような攻撃を16年も受けてきたが、いまだわたしがここにいるとは彼らも肩を落としていることだろう」と述べた。
選挙戦についてはベテランのクリントン候補だが、ニューヨーク州での過去2回の上院選は格下候補との争いで楽勝だったため、今回のアイオワ党員集会ほどの接戦は過去経験したことがない。
■クリントン政権の「良き10年前は昔ではない」
クリントン候補は共和党による批判や攻撃だけではなく、夫クリントン氏が大統領時代、不倫関係で弾劾を受けた際の屈辱も耐え抜いた。また、従来の大統領夫人の立場を越えてクリントン時代、健康保険改革に取り組んだが失敗し、そのときの風当たりも強かった。
しかしクリントン候補は1日、90年代のクリントン政権を好んで持ち出す自らの立場をこう自己弁護した。「わたしは古代ローマの話をしているのではない。わずか10年前のことを、しかも大半のアメリカ人にとってうまくいっていた時のことを話しているのだ」
危険に満ちる現在の世界情勢に対処し、就任初日から大統領としてアメリカを率いる準備ができているのは自分だけだ、「経験だけが変革を保証する」と同候補は強調する。
アイオワ州東部キオカク(Keokuk)の男性、Paul Wykowskiさんは夫クリントン氏に投票したこともないのに、妻に促されて「ワシントンを内側から変革するために」クリントン支持に「転向」したという。Wykowskiさんは「変革を約束してワシントンの外から政権入りした人間のうち、これまで何人がそれを実現しただろう?」と、ジミー・カーター(Jimmy Carter)時代を引き合いに出し、クリントン候補への支持を表明した。(c)AFP