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2007-12-28
〔コラム 机の上の空〕 「東の娘」 ベナジール・ブット、暗殺さる
ブッシュ政権が「テロとの戦争」の舞台回しに使って来たパキスタンで、危機が一段と強まっている。
ベナジール・ブット女史の暗殺は、この国のイスラム原理主義への傾斜と「アフガン化」を、ますます加速してゆく恐れを秘めている。
米国は「冷戦」の最終局面における「アフガン戦線」で、パキスタンを後方支援基地に、「イスラム原理主義」のエネルギーを利用して、対ソ連との戦いに勝利を収めた。(映画の「ランボー」を見よ)
その際、手駒化したパキスタン軍部、軍情報機関を再利用し、イスラム過激派を泳がせながら、見事に「9・11」を演出、「テロとの戦争」をフレームアップし、イラクを軍事占領し、石油の確保に動いた。(パール記者謀殺、アタ容疑者への送金、などなど)
親米派のブット女史の暗殺は、そうした米国による操作と制御が、ここに来て遂に行き詰ったことを意味する。
今回の女史の暗殺について、イスラム過激派による犯行説と、ムシャラフ政権内の一部分子によるもの、との二つの見方が出ているが、元々はともに米国が直接、間接に育てたもの。ブッシュ政権としては、手痛いしっぺ返しを食らったかたちだ。
今後の焦点は、ムシャラフ氏がどこまで国内を掌握し続けることができるか、にあるだろう。収拾不可能な事態になりかけたら、米軍は特殊部隊を派遣、「イスラムの核」の「破壊」に乗り出すに違いない。
パキスタンは新年、2008年において、ブッシュ政権の「テロとの戦争」の「東部作戦基地」から、「正面」の座に昇りかねない様相だ。
自らをデモクラシーの「東の娘」(自伝のタイトル)と呼んだベナジール・ブット氏の死は、より深い混迷と混乱の始まりを意味する。