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http://teanotwar.seesaa.net/article/69894794.html から転載。
2007年11月28日
ホロコーストの否定:アメリカ式
イラクで暴力的に殺された人々の数は100万人を超えている。メディアには取り上げられませんが、様々な情報からの信頼できる推定が示しているところです。
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ホロコーストの否定:アメリカ式
マーク・ワイスブロット
2007年11月22日
ZNet 原文
イランのアフメドネジャド大統領がナチスのジェノサイドを否定する人々に寄せた共感は正当にも、嫌悪を持って迎えられた。けれども、もう一つ進められているホロコースト----イラクのホロコースト----に対する否定はほとんど気付かれてさえいない。平均的なアメリカ人は、2003年3月に米国がイラクを侵略してから殺されたイラク人民間人は1万人だと考えている。メディアで最もよく挙げられる死者数は7万人である。けれども、殺されたイラク人の実際の数は、恐らく、100万人以上にのぼる。
この数は、ダルフールで殺されたと推定される人数の5倍、そして13年前にルワンダで起きたジェノサイドの犠牲者よりも多い。
2カ月前に英国の世論調査会社オピニオン・リサーチ・ビジネス社が行なった調査によっても、100万人以上のイラク人が暴力的に死んだという推定は確認されている。この調査では、米国の侵略以降、暴力的に殺された人の数は122万580人であるとしている。この犠牲者数は、ジョンズホプキンス大学の公共衛星学科が1年以上前に行なった調査と合致している。後者の研究は英国の著名な医学誌『ランセット』に発表された。そこでは2006年7月の時点で、60万1000人の人々が殺されたと推定している。研究以後の死者数を加えて現在の数値にするならば、この研究の推定にしたがっても現在の犠牲者数は100万人以上になる。
これらの犠牲者推定数には、戦争が引き起こした公衆衛生問題、例えば下水設備や電力の崩壊や医薬品不足などによる犠牲者数は含まれていない。驚いたことに、ジャーナリストやメディアの編集者、そして政治家の中には、こうした推定が無作為標本に基づいており、全数調査に基づいていないとして、受け容れない者たちもいる。彼らの教育不足について誰かを非難するのは筋違いであるが、科学的な手法とその結果をここまで無視することは弁解できない行為である。あるオブザーバが述べたように、無作為標本抽出を信じないなら、医者が血液検査をすると言ったとき、医者にそれでは血を全部採ってくださいと言わなくてはならないことになる。
イラクで死者数の推定に用いられた方法は、ダルフールで死者数の推定に用いられた方法と同じであり、ダルフールについてはメディアは広くその推定結果を受け容れている。イラクの犠牲者数はまた、暴力を逃れてきた多くの難民とも合致している(難民の数は400万人を超えると推定される)。彼ら彼女らを信じない理由も、殺された人のうちほんの一部しか考慮していないイラク・ボディ・カウントの数値を全死者数であると認める理由もない。
もちろん、イラクで進められているホロコーストを認めれば、戦争に関する議論の趨勢も変わるだろう。米国の政治ではイラク人などいくら死んでも意に介さないが、大量虐殺がこれほどの規模で進められていることが知られれば、どうしてそんな恐ろしい状況になったのかという問いの声はもっと高まるだろう。現在、議論を支配しているのは都合の良い神話である:サダムの失脚によりいずれにせよ起こることになっていた内戦が起き、暴力はすべてもともとイラク人間の憎しみによるものだ、という神話である。
実際には、占領軍の戦略を含む占領そのものが、暴力をホロコーストの規模にまで拡大するに大きな役割を担ったことについては多くの証拠がある。占領の性格が----大多数のイラク人は占領に反対しており、世論調査によると占領者を殺そうとすることは正しいと考えている----エスニックグループ間の対立を引き起こしている。2004年にシーア派の部隊がスンニ派のファルージャに送られたことからも明らかである。「死の部隊」式政府において、内務省トップレベルの官僚から末端の警官に至るまで全員が米軍の訓練を支援を受け、暴力的、分派的「民族浄化」任務を遂行していることははっきりしている(イラクでは、自動車爆弾ではなく銃弾と処刑により殺された人々が最も多い)。ここ数カ月、アメリカ合州国が、内戦の双方----アンバル県のスンニ派民兵にもシーア派政府の民兵にも----に武器を提供していることからも、さらにいっそうこのことは明らかである。
米国政府はイラクで起きているホロコーストに責任を負っているだろうか? この疑問はここ米国では誰もが避けて通りたがるものである。だからこそ、ホロコーストそのものが否定される。
マーク・ワイスブロットはワシントンDCにある「経済政策研究センター」の共同代表。
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投稿者:益岡