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(回答先: 東京、ミサイル防衛の対応テストへ (シドニー・モーニング・ヘラルド) 投稿者 千早@オーストラリア 日時 2007 年 11 月 29 日 00:26:31)
迎撃弾の展開地、隣にマンション 東京市谷に38階建て
2007年05月09日16時50分
国内での配備が始まった弾道ミサイル防衛(BMD)のための地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の運用を巡り、PAC3発射機の展開地周辺には高層建築物の建設を規制する制限区域を設ける必要があるのに、全く手つかずの状態であることが分かった。首都圏の展開予定地の隣接地ではすでに、高層マンションの建設が進む事態になっている。防衛省内からも「早く規制しないと市民生活やPAC3の運用に重大な影響が出る」と懸念の声が出ている。
北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に関心が高まる中、防衛省はBMDシステムの整備を進めており、PAC3は3月末に航空自衛隊入間基地(埼玉県)に初配備された。半径約20キロという防護範囲の制約があるため、他国にミサイル発射の兆候が見られた場合、発射機やレーダー装置などの装備ごと、迎撃に最適な場所に移動・展開させる必要がある。
入間基地のPAC3は、首相官邸や国会、中央省庁など首都中枢の防護が目的で、防衛省がある陸上自衛隊市ケ谷駐屯地(東京都新宿区)が展開予定地となっている。
ところが、同駐屯地に隣接する土地では現在、民間業者が地上38階(高さ約125メートル)の高層マンションを建設中。引き渡しは来春の予定で、予約は完売という。
北朝鮮からの弾道ミサイルを想定し、同駐屯地から迎撃する場合の迎撃ミサイルの飛行コースや上昇角度などを試算したところ、マンションの位置は迎撃ミサイルの飛行コースの方角に完全に重なっていることが分かった。迎撃となれば、風圧でマンションの窓ガラスが割れることはほぼ確実だという。
展開予定地について、同省は「どこに展開するかを事前に公表すれば、それ以外の場所を狙われる」(防衛省幹部)との理由から、公式には明らかにしていない。このため、制限区域の必要性も公にしてこなかった。
しかし、制限区域が設定されていない状態では、高層建築物を避けて発射しなくてはならず、迎撃効率が著しく低下するという。規制には、空港周辺の規制区域が航空法に基づいているのと同じように、法律や条例など根拠法令が必要になる。
BMDシステムの導入を決めた03年12月の閣議決定から3年以上経過しているが、省内には「住民生活に規制をかける調整を平時に持ち出すのは刺激が強すぎる」との意見も根強くあり、他省庁や自治体との制限区域の調整が先送りにされてきた経緯もある。
同省のある幹部は「PAC3の展開予定地は都市部の高層建築物が並んだ人口密集地になる。早く制限区域を確定させて規制しないと、住民生活の保護の観点でも迎撃効率の面でも手遅れになる」と話している。
建設中のマンションは野村不動産、三井不動産、三菱地所の3社が共同で販売している。野村不動産広報部は9日、「現時点では事実関係の確認ができていない」とコメントした。
◇
〈キーワード:PAC3〉 落下の最終段階にある弾道ミサイルを高度十数キロで迎撃する地対空誘導弾。海上からのイージス艦搭載の迎撃ミサイルが上層の大気圏外で撃ち漏らした場合に、地上から迎撃する。2010年初めまでに首都圏、中京・京阪神地区、北九州地区などいずれも人口が多い大都市周辺の計16の空自高射隊に配備される。
[写真] 防衛省のPAC3発射機展開予定地とみられるグラウンド(手前)と、
建設中の高層マンション(奥右)=4日、東京都新宿区市谷本村町で、本社ヘリから