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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 11月20日(火曜日)
通巻第2006号
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パキスタンのムシャラフ体制崩壊の危機は米国の問題になった
米国の関心事はパキスタンの核兵器をテロリストから如何に守るか、だ
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http://www.melma.com/backnumber_45206_3905832/
NYタイムズが19日に報じたところでは、ペンタゴンはひそかにパキスタンの特殊チームを訓練し、テロリストの核兵器奪取を目的とする攻撃から守るノウハウと関連施設、武器を供与していたことが分かった。核関連物質の安全地域への移設プロジェクトも含まれているという(ヘラルドトリビューン、11月20日付け)。
総額一億ドル。
9・11テロ以降、米国はパキスタンに100億ドルもの支援をしてきたが、その1%にあたる額が特殊目的に費消されていた。
パキスタンの核兵器保有およびカーン博士による「核の闇市」は、この最終兵器がパキスタンからイラン、リビア、北朝鮮への技術情報や部品が流れていたことまで突き止められていたが、米国のもうひとつの関心事は、パキスタンの核兵器がテロリストにわたる可能性だった。
パキスタンはイラクの五倍、一億六千万の人口をかかえる地域の大国である。
ブッシュ政権は911テロ直後、アフガニスタン空爆のためにムシャラフ陸軍参謀総長兼大統領と談判し、パキスタンの空軍基地四箇所を借り受けた。
そのためには経済制裁を突如解除し、あまつさえ日本に緊急援助を強要した。当時の外相は田中真紀子で「あんな汚い国には行きたくない」と暴言を吐いたことは世界にばれた。
その前年のクリントン大統領の南アジア歴訪では、インドに六日間、パキスタンには僅か半日だけ滞在して、ムシャラフを立腹させたばかりであった。
911まで、世界の軍事専門家の推測では、パキスタンの核兵器は中国の技術供与が濃厚であり、そしておそらく中国の特殊チームが守護管理しているだろう、と言われた。
中国はインドを牽制するために過去半世紀にわたってパキスタンに梃子入れしてきた。共同の戦車工場をいとなむほどに中国とパキスタンは軍事同盟である。
ムシャラフが足繁く通うのは北京であり、けっしてワシントンではない。
▼ 米国の譲歩は危機水域を突破している
米国は、北朝鮮ばかりか、パキスタンの核兵器管理でも中国と秘密交渉を続けていた気配がある。でなければ、日本を裏切ってまで北朝鮮に譲歩するほどの政治状況は産まれていないだろうから(ちなみに米国保守を代表する『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、米国が北朝鮮のテロリスト国家解除の路線は「日本への平手打ち」と書いてブッシュ政権を批判した)。
米国はパキスタンの核兵器管理を徹底するための要員を米国で訓練してきたように、これからも特殊武装ヘリ、夜間ゴーグルなどを供与してゆく方針だ。
だが、問題はパキスタンの軍が反米であり、親中であるというメンタリティ。とくに軍の情報関係はタリバンとアルカィーダに同情的なパシュトン族が多数派を形成している。
米軍のプランにはパキスタンの部族を分断し、イラクへの部族部隊を結成させる計画もある。
しかし、世界的規模でみると、核兵器にこだわりすぎた米国の対中譲歩は危機水域を突破している
もし、パキスタンの政治危機がさらに深刻化して、ムシャラフ大統領体制が崩壊すれば、米軍の権益はたちまち脅かされ、それでは次期政権が欧米派のブッド元首相にわたるのならまだしも、イスラム原理主義政権に陥った場合、世界で初めて核兵器をもつテロリスト国家が誕生するという未曾有の危機に繋がり、これは米国と中国の共通の利害に重なる。
だから中国はパキスタンでの米軍の跳梁に一定の理解を示しているようである。
置いてきぼりの日本は、こういう問題にも蚊帳の外にある。
○◎み◎や◎ざ◎き◎○ま◎さ○ひ◎ろ○◎