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アメリカとロシアの対立とは?
アメリカの軍需産業のためか?
ロシア経済圏の拡張か?
http://jp.rian.ru/analytics/politics/20071114/87963689.html
(戦略兵器削減協定-1、中短距離ミサイル削減協定、欧州安全保障協力機構)などの「冷戦時代」の末に調印された一連の主要根幹協定を巡るお互いの修辞論(レトリック)が激化していることは、欧州と世界における集団安全保障の全体系を、新しいアプローチで接し、完全に見直す必要になったことの証明である。
現在の紛争の根底には、1990年代初期のロシアに対して、ヨーロッパが根本的に間違った立場を取ったことにある。1991年末に誕生したロシア連邦は、基本的に、政治的イデオロギー的にソ連を否定することになった。具体的な政治的な経済的な軍事的な状況のためだけに、ロシア連邦は、ソヴィエト連邦の法律的後継者として活動することを余儀なくされた。これはまた西側自身の非常に強い要請でもあった。ロシアの人民自身は共産主義体制を拒否したのだ。ここには、自由選択ではなく、軍事敗北と外部占領の結果でナチス体制を断絶したドイツ国民とは基本的な違いがある。
しかし、西側は、ロシアを、ソ連のイデオロギー的、政治的な後継者、そして、「降伏を受入れ」降伏の条件に従う必要のある「冷戦」の敗北を味わった国として、見なした。ロシアに、もしかしたら客観的に西側の興味と合致しないかも知れない自国の国内外の関心があることは、実質的に無視された。ロシアに対しては、何の根拠も持たない「先生」の調子で接した。
NATOは、何らの政治的、ましてや、軍事的理由を持たない、東方への拡張プロセスを始めた。ソ連とワルシャワ条約の消滅後今日に至るまで自己の存在の意味を探索しているブリュッセルの官僚たちの関心の方が、西側自身の諸国が本当に関心を示していた政治的軍事的関心よりも優先された。NATOの拡大は政治的にも、そして特に、軍事的意味においても、このブロックを弱めただけであるという事実を隠すことは、現在、実質的に不可能である。しかし、拡張プロセスには、どうやら、それそのものが目的であるとの性格が植えつけられた。
その結果、ロシアとNATOとの関係は1990年代後半にはすでの極端の悪化し、NATOのユーゴスラヴィアに反する侵略の時、実質的な直接の軍事衝突に発展するほどまでに至った。その後、関係の一時的な緩和が起こり、その後再び悪化した。
状況を深刻化させたのは、アメリカのブッシュ政権下の一方的な侵略政策だった。アメリカは、ロシアに対してのみならず、頻繁に、自分の西側の同盟国に対しても、あとも振り返らず露骨に国際舞台で活動し始めた。アメリカは、長期的戦略的結果など全く考えずに、その時だけの作戦的判断で、アメリカを満足させなくなった数々の現行の協定を崩壊し始めた。アメリカはMD協定に満足しなくなった。これと同じようにまだ現存する戦略兵器削減協定-1にも満足しなくなるだろう。すると崩壊させてしまうかも知れない。
ロシアには、NATOの東方への拡張や、アメリカの欧州へのMD配置体制の意味が判らない。EUやワシントンのこの点についての説明は、いつもそうだが、ロシアにとっては全く理解できないかあるいは明らかなデマ的性格を持ち、ロシアの関心や配慮など全く無視されている。そしてアメリカ政府は「軍人は真の意向ではなくその可能性があるということに反応する」という有名な事実も無視している。従い、西側がいくら平和を愛好すると言葉を発しても説得力は見えない。
このような状況は、モスクワでの「冷戦を好むヴェテランたち」や、現在のクレムリン体制のプロパガンダ作成者にとっては極めて都合が良い。西側の振る舞いは、彼らに「西側には帝国主義的脅威があるぞ」と駆り立てることに慣れたソ連時代の思考(レトリック)に戻ることを可能にさせてしまう。これは、「タカ派」の立場を強め、「対外脅威」という名目で人民を連帯させることを可能にさせる。西側は西側でロシアの新しい脅威(レトリック)を、いつもの伝統的な侵略性と受取っている。この2つのプロパガンダ的レトルック「NATOは東方に拡張する計画を持っているぞというロシア側のレトリック」と「ロシアは相変わらず怖いという西側のレトリック」は、あらゆるレトリックと同じように、現実とは最高に遠く離れた関係にあるが、ロシアと西側の人民と政治エリートの大部分はまったく深刻に受け止めている。さらに、これらのレトリックは、お互いに都合よく「補完し合い」、その結果、関係悪化を促進させるプロセスを自ら支え合っている。
さらに、現存する種々の協定にも明らかな矛盾があることも指摘することができる。これらの協定は、終わりつつあるとは言えまだそれでも継続している冷戦時代に調印された以上、東と西のイデオロギーの衝突が根底に存在している。その結果、協定が維持されるということは、基本的には、衝突の事実を一時的に中止させる効果を持つ。反対に協定の崩壊は新しい衝突を産む。なぜなら、崩壊されてもそれに替わる代用品は何もなく、両者の思考スタイルは相変わらず以前のままであるからだ。
重要なこと(問題)はまさにこの「思考スタイル」にあると言うことだ。両者は、上述のレトリックで物を考えるのを止めるべきだ。ロシアも、「西側がロシアに対する手の込んだ陰謀をめぐらし」、「我々の天然資源争奪のため突進してくるのでは」という「外国の舞台裏」を考え過ぎるのを止める必要がある。西側も、「ロシアも自国国境外(CIS諸国を指す)に自国の関心があること」を認めるべきだ。そして、よく理解せずに「ロシアは必ず周辺国や人民を隷属化するための侵略の力を持っている」というよく考えない根拠にもとづいたレトリックを持つのを止める必要がある。同様に、ロシアに敵対するあらゆる国を、無条件に「民主主義のたいまつ(光明をもたらすもの)」として見なすこともやめるべきだ。
もしこの課題を解決することができたならば、どうやら、兵器削減協定の必要性は単に消滅するだろう。しかし、思考を変える事はすべての中で一番難しいことは良く知られている。ましてや、両者が従来のイデオロギーレトリックから簡単に逃避するのを希望せず、逆にそれを刷新し、新しい意義を持たせようとしているならなおさら変えるのは難しい。さらに、ロシアや東ヨーロッパ諸国やCIS諸国には、イデオロギーレトリックは、統治体制の強化のために国内政治目的のために非常に効果的に使われるからだ。
このような条件の下では、新しい現実を見つめ、現行の協定を現実に見合った内容に変えることが一番理に適っている。ロシアとアメリカは、すでに、中短距離ミサイル削減協定を世界のすべての国に適用させるという非常に理性的な共同提案を提唱した。欧州安全保障協力機構については、どうやら、加盟国の数に拘らず、NATOにとっての兵器の上限数が設定される新しい協定を結ぶ必要がある。その際、どうやら、当初の内容だけでなく欧州安全保障協力機構の「適合した内容」に対してもすべての国の上限を大幅に低くする必要がある。アゼルバイジャン以外の旧ソ連国の欧州安全保障協力機構加盟国で自国に割当てられた兵器数を使っている国は一国もないことを考えると、割当の削減することで殆ど問題になることはないだろう。