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(回答先: アメリカのブッシュ政権・・・ ペルシャ湾岸諸国に数十億ドル規模の武器を販売する 【ロイター】 投稿者 hou 日時 2007 年 11 月 18 日 23:48:42)
http://jp.rian.ru/analytics/politics/20071116/88322461.html
ドミトリー・コスイリョフ、ロシア・ノーボスチ通信社政治解説員。
大きな契約であれ、小さな契約であれ、契約の条件を1つ1つ1カペイカまでチェックして取引するインドの習慣をよく知っている人ですら、インドの首相マンモハン・シングのまさにモスクワ訪問の直前に起こったことには驚いた。ロシアのインドでの原子力発電所建設へ参加するというあたかも完全に用意されていた協定が一時的に議題から外れたからだ。数十億ドルに相当するまさにこの契約は、以前はインド首相の訪問行事の根幹部分であると宣言されていたからだ。従い、ロシア・インド関係に危機が生じたと述べる人を理解することができる。この危機が、インドの「裏切り」あるいは「冷淡」としてではなく、世界でのインドでもロシアでも変わりつつある状態の性格の結果であると見なせばもっと判る。
実際は、今回起こったパニックは、ロシアとインドの間の問題(そのようなものが仮にあっても)を示すものではなく、現在までロシア・アメリカ(あるいはロシア・西側)の対立の枠内で世界を見ている人には時宜に即したそして待ちに待った危機思考があることを示していると言える。そして、そのような人達は、「敵対的な西側」との綱引き競争の中で、自動的にインドや中国あるいは将来的な同盟国として他の重要な国々の名前を挙げる。そして、名前を挙げた国を「我々の側」(ロシアの側)か、あるいは「アメリカの側」につくのか?あるいは、我々のパイプラインや原子力発電所に関する協定にサインするか、あるいは、(アメリカや西側の)敵対的な圧力に屈しサインを拒否するのかと思考する。
このような思考的な危機はロシアとインドの間にも、世界全体にも、起こっていない。
それでもウラジミル・プーチンとマンモハン・シングは何について協定を結んだのかを見てみよう。彼らの最初の計画、「お茶と兵器の交換」の図式で1990年代初めに実質的に崩壊していたバーター取引に替わる根幹的なハイテクプロジェクトの協力を発見すること、は順調に発展していたようである。モスクワでは、多目的輸送飛行機製造、月の共同研究についての協定にサインされた。特に、ロシアの月面走行車を、地球衛星船に運ぶインド空港からのインド製ミサイルの打上げが可能だ。さらには、両国により、月の表面の有効資源を探索する計器が製造されることになっている。来年には、「ルンヌイ・ポリゴン」(月での作業場)と称するプロジェクトが煮詰められ承認の方向で動くが、どうやら、いつものように、激しい交渉になるだろう。
これはすべてすでに明らかな傾向に入っていた。ロシアとインドとは、将来の何らかの技術的な共同開発に関することはすべて順調に行っている。さらに、インドでのあらゆる製造の近代化プロジェクトもすべて順調に行っている。順調に行ってないのは一般の取引だ。なぜなら、両国のビジネス界は、まだヨーロッパあるいはアメリカ市場に興味を持っているからだ。そして、最も敏感な分野、エネルギー分野もうまく行ってない。インドは大分前から、「サハリン-1」プロジェクトの枠を越え、ロシアの石油ガス企業の共同所有者になり、年間8-9%ずつ経済成長が続く、実質的に完全に石油ガス埋蔵を失った国内へのエネルギーの安定調達を確実にする、ことを望んでいた。この筋書きに関する作業は進められているが速度は遅い。
速度が遅いのは、特に、ロシアでは、エネルギー分野ではいずれにせよ何も得られない、それどころかインドに原子力発電所を売却しなければならないという意見が主流を占めているからだ。
しかし、ここには、異なる、インドにとってはかつて見たことがない先鋭な、筋書きが作用する。その筋書きは、本年7月に調印され、現在ワシントンの政治の台所のすべての地獄を通って契約された有名なインド・アメリカ「核取引123」(すなわち、インドと原子力協力を行うために原子力法第123条を改正する取引のこと)1つだけでは全く収まらない。そうだ。核不拡散の一環で(あるいは正確にはその枠外で)特別な条件を獲得すること、これは、インドにとって小さくない課題で、そのために、すでに用意された、そして、それほど深刻に論争しなくとも済む協定のサインは延期することができる。しかし、重要なことは、「123条改正取引」を取り巻くインド自身に充満しているすべての灼熱した雰囲気の中にある。そのことから、政治的なキャリア組が首になったり、首相とその助言者の狭い範囲の者が、偉大な、そして、急進的に重みを増している国を、アメリカの副次的な同盟国にしてしまうとの激しい非難が前面に出てくる。ましてや、アメリカのブッシュ反対論者(民主党)は、実際、核分野のみに関する取引を、イランあるいは中国に関してインドが「正しい」政策を取っていることも含め、何にでもできることならすべて、負荷を課して123条改正取引を難しくしようとしているからなおさらだ。(それに加え、37名のノーベル賞受賞者が、原子力協力に反対する声明を出した。経済学者のケネス・アロー、科学者のラウル・ロータバー、アルフレッド・ギルマン、ロジャー・ギルミン、ドナルド・グレイサーなどが名を連ねている)。
このインドとロシアの関係が危機だと煽るパニックの気分は、ロシアの政界、「東」と「西」の対立の一環でいまだに世界を見ている者の中にも顕著にある。ここから、ロシアがインドを失うとの以前から根強く存在する会話が起こってくる。
しかし、インドの戦略目的は、アメリカの単なる年下の同盟国になることでは全くない。現在のインドの高教育層が1970年代にこの層がソ連という外国で教育を受けたのと同様にアメリカやヨーロッパという外国で教育を受けたという状況においても、インドはそれでも、当時のソ連の単なる同盟国に甘んじる考えを持っていたのとは別の何かに向かって、つまり、力においてアメリカあるいは中国に匹敵する国にしようとするために動いている。そのために、インドや中国が世界経済の第一線の役割に進出したことが明らかになった背景で、アメリカとヨーロッパの威力と影響が低下している今の好都合の機会が利用されている。問題は、原子力発電所にあるのではなく、世界のリーダー国を狙う国にとっては、アメリカとの新しい、単なる現在だけの現実に見合った交流語を見つけるよりも、アメリカに筋力を見せ付けることの方が重要である、ことにある。それがインドがやっていることである。インド流に独創的に、そして、インド流に騒がしく、苛立ちながら。
まったく同じように中国のグローバル政策もそうであり、ロシアの政策もそうであることを付け加えたい。従い、ロシアは、インドの巨大プロジェクトの遂行の遅れに理解を持って接している。もしその遅れがロシアとの世界の緊密なパートナーになるために必要なら。