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《石油のための戦争》論の虚構:J.ペトラス「シオン権力と戦争」全訳シリーズA
http://www.asyura2.com/07/war98/msg/129.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2007 年 11 月 12 日 23:15:39: SO0fHq1bYvRzo
 

(写真はポール・ウォルフォヴィッツ)

《石油のための戦争》論の虚構:J.ペトラス「シオン権力と戦争」全訳シリーズA


これは次の拙稿の続きです。この原文と翻訳に対する説明はこちらをご覧ください。
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http://www.asyura2.com/07/war97/msg/854.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2007 年 11 月 10 日 08:39:54:
《石油のための戦争》論の虚構:J.ペトラス「シオン権力と戦争」全訳シリーズ@
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今回の翻訳に関連して、次の各拙稿もご参照ください。最初のものには元民主党大統領候補ウェズリー・クラーク将軍による重大な証言が書かれてあります。
http://www.asyura2.com/07/war90/msg/308.html
“我々はシリア、イラク、イランなど7カ国を5年以内に取り除くだろう”(911直後に米軍幹部)
http://www.asyura2.com/07/war95/msg/247.html
「イラク戦争政策を推進した委員会のほぼ全員がユダヤ人」ユダヤ人新聞(JTA)が認める
http://www.asyura2.com/07/war92/msg/661.html
世銀新総裁ゼーリック:1999年にウォルフォヴィッツと一緒にクリントンを脅迫してフセイン叩きを実行させたネオコン
http://www.asyura2.com/07/war96/msg/433.html
イラク3分割:シオニストの宿年の願望(The Cat’s Blog)

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(原文)
http://www.lahaine.org/petras/b2-img/petras_zion.pdf
Zion-power and War: From Iraq to Iran  
The Deadly Embrace
James Petras (November 2007)

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(全訳シリーズ@より続く)

【イスラエル、シオニスト権力構造、そしてイラク侵略準備】

分析してみると、極めて希な例外を除いて、イスラエル国家の政策と主要な米国シオニスト組織のそれとの間にある相違を見出すことができない。米国によるイラク攻撃の前段階はその格好の例である。1980年代末期以来、第1次湾岸戦争、クリントン政権による制裁と日常的な爆撃、イラク北部「クルディスタン」の他地域からの領土的分離、そして2003年の米国による侵略に至るまで、イスラエル政府は米国の議員達やベテランの政策決定者たちに圧力をかけてイスラエルの「敵」に対する軍事的政策の方向に進ませた。米国によるさらなるイラク破壊をせきたてるイスラエル国家の政策は、主要なシオニスト組織およびクリントンと後のブッシュ政権内部の重要なシオニストの高官たちを通して伝達された。デニス・ロス(Dennis Ross)、マーティン・インダイク(Martin Indyk)、マドレーヌ・アルブライト(Madeleine Albright)、リチャード・ホルブルック(Richard Holbrook)、サンディ・バーガー(Sandy Berger)、ウイリアム・コーヘン(William Cohen)とその他の者達はクリントン政権での最も重要な対中東地域外交政策決定者であり、彼らはイラクの制裁と爆撃と領土的分割を立案して実行した。省内にいる期間の後でクリントンの主要なシオニストたちはワシントンにある親イスラエル・シンクタンクで作業を行うこととなった。2001年9月11日の襲撃の後で、ブッシュ政権のトップ・レベル地位にいるシオン・コンたち、アリ・フレイシャー(Ari Fleischer)、ポール・ウォルフォヴィッツ(Paul Wolfowitz)、デイヴィッド・フラム(David Frum)、リチャード・パール(Richard Perle)、ダグラス・ファイス(Douglas Feith)、エリオット・エイブラムズ(Eliott Abrams)、アーヴング・(スクーター・)リビー(Irving (Scooter) Libby)、デイヴィッド・ウヮームサー(David Wurmser)その他、およびジョセフ・リーバーマン(Joseph Lieberman)上院議員のような重要シオニスト議員たちが米国にイラクを攻撃するように要求したが、それは引き続く一連の戦争の一部であった。それにはシリアとイランも含まれる。彼らはイスラエル国家、特にアリエル・シャロン首相の政策をオウム返しにしたのだ。

イスラエル国家の高官たちの表現したことは、いかなる点においても、ブッシュ政権内で高い地位につく内通者たちの軍事主義的な努力と比べて差し控えた箇所や相違点などは無い。またイスラエル盲従のロビーAIPACと比べても、あるいは主要新聞と放送メディアの親イスラエル論評著作者たちと比べても同様である。シオニスト・イデオローグ達は米国軍の高官たちを臆病者と罵りながらあらゆる場所で優勢を占めた。イスラエルは、1980年代末期以来の政策を維持しながら、ラムズフェルド、パウエル、ライスそしてブッシュによる全てのトップレベル会議の中で、イラク侵略と占領に向けてブッシュ政権をせきたてた。イスラエルのメディアは、わずかの例外を除いて、サダムを悪魔化し中東とイスラエルの安全保障に対する彼の「脅威」を強調し、パレスチナの自爆攻撃とイラクによるパレスチナ人の民族精神に対する支援を同一視し、そして米国内のキリスト教原理主義者の同盟者達にイラク侵略要求の訴えに付いてくるように激励した。

イスラエル国家とブッシュ政権内で高位に就いたシオニストの官僚達との関係についての分析が、最初にそして最重要点として明らかにしたことは、占領地でのイスラエルによる民族浄化と占領パレスチナでの際限の無い植民居住区の拡大、および中東でイスラエルの支配権の強化に反対する中東の複数の政権を根絶するという戦略に基づいて、テルアビブがその政策を形作ったという点である。ブッシュ政権内のシオニスト・エリートは、戦争の口実を発明しプロパガンダを振りまき、そして極めて重要なことだが、米国によるイラク侵略を上手に計画して作戦を実行させたのである。この「作業部隊」には、(AIPACを含む)米国主要ユダヤ人組織代表者会(the Presidents of the Major Jewish American Organizations)に支援された、上流階層にいるシオン・コンたちや議会に対する影響を利用する地方や州や地域のユダヤ人連合が含まれる。

元ペンタゴン分析官であり元米空軍中尉であるカレン・クイアトコウスキ(Karen Kwiatkowski)は、このイラク戦争を導く時期を通して、イスラエルの軍幹部、諜報局幹部その他の高官達が国防次官ダグラス・ファイスのようなシオニスト・ペンタゴン高官たちと毎日のように接触していたと、断定的な証言を行った。相談や情報交換、そしてペンタゴン内トップのシオン・コンたちと米国内にいるイスラエル軍の上級工作員たちによる合同作戦がひんぱんに行われていたが、これは米国をイラク侵略に向かわせるという緊密な合意があったことを示している。イラクが中東地域で連続させる侵略の最初のものでありイランとシリアがその後に続くというシオン・コン/イスラエルの意思一致があったわけで、これは占領の当初の「成功」後にすぐに明らかになったことである。この当時、イスラエルで流行ったジョークはこうである。「バグダッドを奪うことのできる者なら必ずテヘランに向かう」。2002年11月にアリエル・シャロンは、ロンドンのタイムズ紙とのインタビューで、「米国がイラクに侵攻した次の日」にイランへの爆撃を要求したのであった。

連続する戦争についてのシオン・コン/イスラエルの計画は政策文書「アメリカ新世紀計画(Project for a New American Century=PNAC)であからさまに宣言された。これは、米国による世界支配という米国-イスラエル版「我が闘争(Mein Kampf)」であり、そこではイスラエルが米軍権力と利益の享受者となるのである。中東での米国戦争政策を立案し実行させたシオン・コンのほとんどは、この「アメリカ新世紀計画」の著者あるいはスポンサーとしてリストアップされる。その多くの者達は同時にリクード党リーダーであるベンジャミン・ネタニヤフの政策作りに貢献したのだが、それは特にイラクを解体して取り扱いやすい民族グループに分割することを求めたのである。

この地域に対するサダム・フセインの「脅威」についてイスラエル諜報組織が行った「偽情報の捏造」は、脚色されてホワイトハウスによるプロパガンダの需要にあてがわれた。イスラエルのプロパガンダがサダム・フセインを現代のヒトラーであるようにしつこく繰り返される一方で、シオニストのプロパガンダ主任でありブッシュ用の台本作者であるデイヴィッド・フラムは、ブッシュが世界を前にして他国を予防的に攻撃する意図を語る悪名高い「悪の枢軸」演説の中で同じテーマを繰り返した。イスラエル政権の好戦的プロパガンダを考えるならば、イスラエルの世論が面面的にこの戦争を望ましく思っていたことは納得のいくことである。それは米国の主要なユダヤ組織の指導者達も同様だったのだが、しかし米国のユダヤ人の多数は異なっていた。特に若いユダヤ人、およびいかなるシオニスト(イスラエル第一)前衛組織にも属さない者達である。

イスラエルの顧問達と米国政府のシオン・コンたちは、イラクでの国民と軍部の構成を全面的に解体させることに極めて大きな影響を及ぼした。いわゆる「脱バース化キャンペーン」なのだが、イスラエルの地域的な覇権に反対するイラクの近代世俗共和制を再建しようとするいかなる試みをも決定的に弱体化させる目的のものであった。このイスラエルの政策はシオン・コンたちによって追求されたものなのだが、それは、イラクの国家と社会をバラバラにして、親イスラエルのイラク人亡命者(ダグラス・ファイスと仕事上の関係が深いアーメッド・チャラビのような者)たちによって運営される前近代的な種族単位の小地域の社会に変えることであった。それらは中東地域でイスラエルの覇権に挑戦する能力を永久に持ち得ないものである。

イスラエル-シオン・コンの政策は米軍がイラク国家を破壊することを確実にした点までは成功したのだが、それは第2場であるイラン侵攻への道を進む速やかな勝利を確実にすることには失敗した。イラク人たちによる巨大な武装抵抗のためである。アラブ人に対する盲目的な民族的偏見の中で、イスラエルの高官たちとその米国でのエージェントたちは、自分たちの社会への破壊に対するイラク人による人民戦争の盛り上がりの可能性を計算に入れなかったのである。イラク人の抵抗が勢いを得て米国軍の経済的な損失が膨らむにつれて、米国の世論は戦争に反対するようになり、そして誰が軍事的な総崩れ状態の責任者なのかを問い始めた。この危険な徴候を示す疑問に直面して、シオニストのプロパガンダは彼らの足跡を覆い隠すためにギヤーを切り替えた。戦争を煽ったシオニスト官僚のトップは急いで表舞台から去ったが、それは最も明白な戦争犯罪者どもから始まった。ポール・ウォルフォヴィッツ、ダグラス・ファイス、そしてペンタゴンのシュムスキー、およびホワイトハウスのデイヴィッド・フラムとアリ・フレイシャーである。国務省にいたより目立たない強硬派たち、エリオット・エイブラムズ、スクーター・リビー、デイヴィッド・ワースマーなどは、もう少しだけ長くとどまった。後にリビーは、ニジェール大使ジョセフ・ウイルソンがシオニスト軍団の戦争につながる「情報」捏造を表ざたにしたことに関連して彼の妻であるCIA職員の名前を漏らした役割のために、重罪に問われることとなった。《訳注:リビーは結局、ブッシュの力添えで実刑を免れた。》


【イランとの戦争:シオニスト権力構造(およびイスラエル)にとっての最優先事項】

イラン破壊のためのイスラエルによるキャンペーンはすでに二つの戦争行動に結び付いている。2006年にイスラエルはレバノンを襲ったが、その狙いはイランの同盟者であるシーア派政治軍事組織ヘズボラーを破壊するものであったのだが、これは失敗した。その1年と少しの後(2007年9月6日)、イスラエルはより挑発的な行動に出た。何の攻撃も受けていないのにシリアの領土を爆撃してある軍事施設を破壊したのだ。シリアとイランが相互防衛協定を結んでいるため、このイスラエルの行動はイランとシリアが奇襲攻撃に対して反応するかどうかを試すために計画されたものだった。

イスラエル諜報部のプロパガンダ機関は、以前の大量破壊兵器の嘘と比較できる偽情報のひとかけらを準備した。彼らは、北朝鮮が建設して核物質を提供している各施設を爆撃した、と言い張ったのである。イスラエルの偽情報は即刻、ロサンジェルス・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナル、そしてニューヨーク・タイムズといった米国の主要新聞や、あらゆる大テレビネットでその通りに繰り返された。親イスラエル・プロパガンダの専門家達はこの攻撃を正当化し、ワシントン・ポスト記事(2007年9月20日)の中で次々と引用された。ワシントン・ポストは、親イスラエルの中東政策サバン・センター(今や信用を失墜したブルッキングズ研究所の中にある)で諜報「専門家」をしていたブルース・リーデル(Bruce Riedel)を引用して次のように書いた。「それが重大な攻撃であったことに疑問の余地は無い。それは極めて重要な攻撃目標だった。それは、イスラエル人たちがシリアとの戦争を非常に気にかけており予想される戦争の可能性を小さくしようと望んだときに起こったものだ(ママ)。この決定は、シリアが戦争を起こす可能性があるという彼らの心配にも関わらずなされたものである(ママ)。この決定はイスラエルの軍事計画者にとってこの攻撃目標がいかに重要であったのかということを反映している」。言い換えるならば、イスラエルが「戦争を気にかけて」いるために、プロパガンダ要員たちがこの攻撃目標の性格を知ることすらないような、挑発を受けていない戦闘行為に携わる、というのである!

2007年9月21日に、米国主要ユダヤ人組織代表者会(the Presidents of the Major American Jewish Organizations=PMAJO)の代表的なプロパガンダ紙(デイリー・アラート)が続いてこのワシントン・ポストで繰り返された好戦的プロパガンダを再生産し、それをワシントンと全国のあらゆるトップクラスの官僚と議員に送りつけ、AIPACのロビイストたちを動員してイスラエルの派手な戦闘行為に対する米国の支持を確保させたのであった。この詐欺的なプロパガンダの機能について明らかなことは、デイリー・アラートがファイナンシャル・タイムズ(2007年9月21日号4ページ)からの抜粋を極度に誤誘導させる形で公表した点である。それは、元記事に含まれていたイスラエル・シオニスト・プロパガンダを暴露する数多くの段落を抜きにして、「可能性ある」シリア-北朝鮮の核の結びつきというイスラエルのプロパガンダの線をつないだだけのものだ。このファイナンシャル・タイムズの記事は、米国進歩センター(the Center for American Progress)で核政策責任者を務めるジョセフ・サークシオン(Joseph Circcione)の次の言葉を引用している。「イスラエルの攻撃がシリア-北朝鮮間の明確な核開発協力に関連するものであるとは非常に考えづらい。基本的で周知の事実なのだが、シリアの40年間に渡る核研究計画はあまりにも初歩的でありいかなる兵器能力をも高めることができるものではない。米国の各大学はシリアよりも大きな核施設を持っているのだ。」(ファイナンシャル・タイムズ、2007年9月21日)ブッシュ大統領の元アジア担当顧問で北朝鮮研究の専門家であり今は戦略国際研究センター(the Center for Strategic and International Studies)にいる人物も同様に、イスラエル-シオニストの核兵器策謀の正体を暴く。「もし北朝鮮がシリアに核兵器用の物質を運ぶほどに愚かだとしたら、あるいはシリアのような北朝鮮の外にある場所で作業をしようとしていたのなら、私にとっては驚愕の極地だろう(ママ)」。イスラエル-シオニストの戦争プロパガンダにとって同様にまずかったことに、ブッシュ政権は2007年中に行ったあらゆる会議の期間に北朝鮮のシリア関与の可能性を一言も取り上げなかった。それがシリアに対する敵意を非常に掻き立てることであり、攻撃を仕掛けるためのあらゆる口実を探しているにも関わらず、である。ブッシュ政権がイスラエルの言い訳に大慌てでなびいていった前述のイスラエルの挑発行為とは逆に、ブッシュはイスラエルによるシリアに対する攻撃についてのコメントを拒否した。どうやら彼の諜報係官から、それが米国を引きずり込もうと願うイスラエルの挑発行為であったとアドバイスを受けたものとみえる。

シリアとその国防に対するイスラエルの戦闘行為、および米国シオニスト権力構造によるその推進は、イランとシリアに対する合同の戦争に米国を引きずり込む最新のステップである。2007年6月から9月までの180に及ぶデイリー・アラート(米国主要ユダヤ人組織代表者会の私的機関)の記事を全体的に調査すると、イランと戦闘行為に取り掛かり、イランに厳しい経済制裁と海上封鎖を押し付け、そしてイランとの全面対決を準備するように要求するという、3種類の要求を米国に対して行っている。イスラエルの好戦的な姿勢に対して疑問を発するような記事や声は唯の一つも見当たらない。デイリー・アラートの全ての記事はイスラエルの主張をオウムのように繰り返す。イスラエルがガザ地区で100万人の閉じ込められた市民に対して行う残虐な電気、ガス、飲料水の供給停止を支持するときでもそうである。それは国際法のもとでの戦争犯罪行為なのだ。デイリー・アラートの文章の中では、イスラエルが丸腰のパレスチナ人の少年や少女を「戦闘員」「狙撃主」というレッテルを貼って殺害する。そしてデイリー・アラートはイスラエルの「和平交渉」を「誠意をもって」実行されているものであるかのように描く。実際には土地の収奪と子供達を含む大勢のパレスチナ人の殺害が継続中なのだ。「米国大統領ジョージ・W.ブッシュが(アナポリス)和平会議を2007年7月16日と10月15日に開催する間に、イスラエル軍は12名の子供を含む104名のパレスチナ人を殺害した。」ファイナンシャル・タイムズ(2007年10月18日号、4ページ)

2006年11月にイラク戦争に反対する選挙民の怒りが増えたおかげで民主党が議会選挙で勝利した後、イスラエルの外相ツィッピ・レヴィはワシントンでAIPACの会議に出席し、数千人のシオニスト活動家と米国民主党・共和党議員の巨大な分隊に対して、ブッシュ政権によるイラク占領を支持し続けるようにかり立て、イランに対する新たな戦争に向けて彼らを扇動した。極めて扇情的な長談義の中で、彼女はありもしないイランの核開発能力の「実際的な脅威」を絶叫した。このユダヤ・ロビー全員がその意思を汲み行動に向かったのである。

シオニスト権力構造の広がりと深さと中央集権的な仕組みはあらゆるものにも勝る。それは「ロビー」という言葉で適当に誤魔化されうるものだ。そういうことで、ミアシャイマーとウォルトはイスラエル・ロビーの研究の中で親イスラエル勢力の権力と政治的影響力を過小評価している。続いて、シオニスト権力構造の力を量るには数多くの要素を計算に入れなければならない。それらの中にはその直接的な力と共に間接的な力も含まれる。シオニスト権力構造が持つ力は、直接的には政治的、学術的、そして文化的な意思決定を行う者達に及び、彼らのポリシーが親イスラエル的、親シオニスト的な利益を支えることを確実にさせる。もっと直接的なその力の表現は、シオニストたちがトップの意思決定部門を占領しイスラエルの軍事的・経済的な利益のための政策を作る場合である。国家安全保障委員会(the National Security Council)でブッシュ大統領の重要な中東顧問を務めるエリオット・エイブラムズがその多くの例の一人だが、祖国安全保障省長官であるマイケル・チャートフ(Michael Chertoff)も同様である。彼は与えられた資金の4分の3を私的なユダヤ組織の「安全保障」に割り当てているのだ。

同様に恐ろしいことに、シオニスト権力構造は数多くのメカニズムを通して間接的な影響力を行使するのである。

その一つとして、議員たちの小グループを通して大多数と交渉する力がある。たとえば、AIPACが法案を作り上げそれをリーバーマン上院議員に提出させ、そしてキル(Jon Kyl)上院議員が共同署名し、イラン革命防衛軍を「テロリスト」としてレッテル貼りを行ったのだが、それはブッシュに攻撃を仕掛けさせる道をならすものである。この法案は議会の80%の賛成を得て通過した。

累積的な権力はある一つの案件に対してシオニスト権力構造の様々な要素が集中することによって作られる。例えば、親イスラエル的な作家とあらゆる主要組織と左翼から極右までの範囲にいるユダヤ人たちが、ミアシャイマーとウォルトの論文とそれに続く本を、共同で非難する。そのほとんどが人身攻撃(「反ユダヤ主義者」)か、あるいは事実に基づくデータを無視する非論理的で複雑怪奇な主張の、どちらかに訴えるのだ。

プロパガンダを張ることはシオニスト権力構造好みの強力な武器である。これは、現在と未来の政策立案者を恐れさせるためにイスラエルとシオニスト権力構造による懲罰的な批判を上手にばら撒くことである。その例として、ハーヴァード法科大学院のシオニスト・ファシストの教授であるアラン・ダショーヴィッツ(Alan Dershowitz)はシオニスト権力構造に支えられてキャンペーンを成功させ、ノーマン・フィンケルシュタイン教授を大学のポストから追い出した。これが将来イスラエルを批判する可能性のある全ての者に対する「見せしめ的な懲罰」として機能するのである。ダショーヴィッツのキャンペーンは、ナチの死の収用所を生き延びたフィンケルシュタイン教授の病気の母親をユダヤ人「カポ」つまりナチ協力者と中傷するまでに至ったのである。

シオニスト権力構造は、私的・公的な両面で相互に強制力を働かせあう複合的な手段を持っている。大きなスケールで長期間の政党と選挙に投資することは議会への影響力を手に入れることである。これは次に、党全体の大統領指名や議会で委員会の作業に対する支配権を手に入れることで、偉大な少数派であるシオニスト議員団の権力を増大させることになる。これが相互にフィードバックし、米国の中東外交政策を形作ることや主要新聞や週刊誌などの各メディア産業分野で意見欄に親イスラエル作家が登場することで、シオニスト権力構造のより大きな影響力を育てるのである。

シオニストの力はまた、長期間にわたる曲解に満ちた全く一方的なプロパガンダ・キャンペーンの結果でもある。それはイスラエルのアラブ人、特にパレスチナ人の批判者を悪魔化し、(世界で第4、中東唯一の核戦力を誇る)イスラエルを民主主義の砦でありそれが悪意に満ちた独裁政権に取り囲まれているかのように描くのだ。この手法と主要メディアのほとんどの部分へのコントロールを通して、このシオニスト権力構造は、イスラエルによるレバノンの人口密集地やガザなどのあらゆる場所に対する恐怖の爆撃などの出来事に対して極めて偏った報道を提供する。米国でのシオニスト権力構造によって計画される世評作りの力は中東における現実を悪化させる作用として働き、それが、イスラエルによる軍事支配と土地収奪そして恒常的な暴力的攻撃という40年間の苦しみを受けるあらゆる年齢と男女のパレスチナ人犠牲者を暴力集団であるかのように仕立て上げ、イスラエルの惨殺者たちを善良で平和的な犠牲者であるかのように描くまでに至っているのである。

全訳シリーズBに続く



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