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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu155.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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情報ファイルを山とため込んでも意味はない。集めた情報を
どうやって国際社会での日本の「発信力」に転換させるのか。
2007年11月10日 土曜日
まさにCIAやMI6は情報ゼネコンであり9・11には全く無力だった
◆情報機能の強化 収集にも増して、「発信力」を育め 朝日新聞
http://www.asahi.com/strategy/0330a.html
かつて、並ぶもののない情報力で広大な帝国を築き上げた英国は、イラク戦争の大義となった大量破壊兵器をめぐる情報判断で、致命的なミスを犯した。安倍政権のもとで情報機能の強化が叫ばれる日本は、その教訓に学んでいるのだろうか。情報収集のアンテナを張りめぐらせることにも増して、いま、日本が全力で取り組むべきは、国際社会への「情報発信力」を磨くことである。(ヨーロッパ総局長・木村伊量)
■大英帝国の原動力――長期戦略で歴史研究 情報外交インフラ構築
羽田内閣の官房長官などを務めた熊谷弘氏の東京都内の事務所には、高さ1メートルほどの大きな地球儀が置かれている。
自民党竹下派の衆院議員時代に英国に外遊した折、1853年創業、「世界最大の品ぞろえ」をうたうロンドン市内の地図専門店で二つ買い求めた。もう一つは派閥の実力者、小沢一郎氏への土産にした。
「なんと、店には私の地元の静岡県の町の地図まであった。空間を埋め尽くすことに貪欲(どんよく)な大英帝国の遺産を見る思いがした」と熊谷氏は話す。
18世紀から20世紀初頭にかけて、大英帝国は「七つの海を支配して」世界に君臨した。その原動力は何だったのか。英国人の歴史学者、ニアル・ファーガソン米ハーバード大学教授は「知の力」だと言う。
「精密な地図づくりと、現地の歴史や習俗情報の集積、総延長9万7500マイル(約15万7000キロ)に達する海底電信ケーブルの敷設による情報ネットワークの整備。それらが結合して、比類のない情報外交インフラをつくりあげた」
ネルソン提督の像がそびえるトラファルガー広場脇の外務省別室。そこでは同省専属の4人の歴史家が、各国外交史を分析している。北欧史が専門の主任歴史家パトリック・サーモン教授は「国家の長期戦略に役立てるための歴史研究は、19世紀以来の英国の伝統」と語る。膨大な知と情報の蓄積が、英国の外交に厚みを与えてきた。
しかし、時は移る。
■つまずいた大国――一心同体の米英機関 伝聞情報が独り歩き
2004年7月、イラクの大量破壊兵器問題をめぐって、英国の独立調査委員会(バトラー委員長)は報告書を公表した。国外での情報収集にあたる「MI6」などの情報機関に、ブレア首相らが頼りすぎた過ちが厳しく批判されたのだ。
大量破壊兵器は見つからなかった。米英の情報機関の権威は地に落ちた。とりわけ米国に引きずられて、イラク戦争に突き進んだ英国の敗北感は深い。英政府は情報入手の詳細についていまも沈黙している。
MI6研究の第一人者スチーブン・ドリル氏は「ドイツの情報機関などには大量破壊兵器の存在を疑う情報があったが、MI6は米国情報から戦争は不可避だと判断し、しだいに大量破壊兵器を示唆する情報のみを重視する偏った心理に陥っていった。英国が得たイラクに関する機密情報の80%は、米中央情報局(CIA)など米国経由のものだった」と話す。
英国の情報コミュニティーでは、外務、国防、内務など各省次官級の高官、MI6や国内治安担当のMI5の長らでつくる「合同情報委員会(JIC)」が最高の検討機関だ。この場には、しばしば米CIAのロンドン支部長が加わる。9・11テロの2日後には、MI6など英国の三つの情報機関のトップがワシントンに飛んだ。米英の情報機関はいまや一心同体である。
内閣官房のJICのオフィスでは毎週、各機関の分析を競わせ、JIC議長兼情報調整官が集約して首相に報告する。大量破壊兵器をめぐり「命令から45分以内に危険な兵器を実戦配備できる」とする政府文書をまとめたのは議長だった。
つまり、(1)米CIAと一体化したMI6情報が、JICで追認され、ブレア首相に届く(2)ブッシュ米大統領からイラクの脅威を聞かされ続けた首相は、自国の情報機関の報告に、ますます確信を深める――という経過をたどり、伝聞や不確かな情報が「動かしがたい証拠」へと変わっていったのだ。
情報分野の専門家クリスピン・ブラック元英陸軍大佐は「情報収集より重要なのは、情報の評価だ。そこに誇張があれば政治家のチェックは難しい。機密情報に依存するリーダーほど、ミサイルの発射ボタンに手をかけやすい」と語る。
かつての「情報大国」のつまずき。そこから、わたしたちは何を学ぶべきだろう。
■日本版NSC――国の運命握る速さ・正確さ まずイラク戦争の検証を
安倍首相の肝いりで日本政府が創設をめざす「国家安全保障会議」(JNSC)は、首相官邸主導で情報収集・分析の機能を一元化するところがみそだ。関係官庁の縄張り意識を排し、北朝鮮の核・ミサイル開発問題や、国際テロに素早く対応するのが目的だという。
日本ではもっぱら官僚機構の「縦割り」で情報の共有が進まず、迅速な政策決定ができない弊害が語られる。しかし英国の問題は、米国との情報機能の一体化が進む中で「大量破壊兵器は間違いなくある」という確信が共有され、否定情報が軽んじられたことにあった。
JNSCに情報分析のプロを集めたとしても、質量ともに圧倒する米国からの情報を覆すことができるだろうか。JNSC創設を日米同盟強化の手段と見る安倍首相は、米国に「ノー」と言えるのか。
「だから日本にも、米国に頼らずに海外で独自の情報収集活動ができる情報機関をつくれ」といった主張は、冷戦思考への逆戻りというほかない。
英国では約420万台の犯罪監視カメラ(CCTV)が作動する。国民1人当たり、毎日300回はカメラに記録されている、といわれる。「国際テロに備えて国家の情報機能を高めろという声は、必ず国内治安と市民監視の強化に結びつく」とドリル氏は指摘する。
情報の速さと正確さが国や社会の命運を決める。そうであればなおさら、イラク戦争をめぐる米英の情報当局の「失敗」を直視し、日本のイラク戦争支持に至る情報判断を検証することから始めるべきだろう。
情報ファイルを山とため込んでも意味はない。集めた情報をどうやって国際社会での日本の「発信力」に転換させるのか。そうした角度からの議論も、なおざりにされたままだ。
■内弁慶に未来なし――価値観異なる人たちとも信念語れる国際人出でよ
「もう、うんざりだ」。米国のある国防長官経験者は、選挙のない年のゴールデンウイークに日本から大挙して「ワシントン詣で」にやってくる国会議員たちへの批判を隠さない。
自民党の外相経験者は、日本の雑誌のコピーに目を落としたまま「沖縄の米海兵隊の一部をグアムに移したら、東アジアの安全保障はどうなる」と質問した。元国防長官は怒りを爆発させた。「どうなる?
それはあなたたち日本の政治家が考えるべきことではないか」
議論を挑むでもなく、有力者と握手し、笑顔で記念写真に納まるだけ。日本の平均的な政治家像はすっかり定着した。
2月、ロンドンの金融街シティー。野党政治家を囲む経済人のレセプションで日本が話題になった。「新しい首相は改革派なのか」「よく知らない。いずれロンドンにも来るだろう」。実は安倍首相が訪英して初の日英首脳会談に臨んだのは、そのひと月前。英メディアは安倍訪英をほとんど黙殺した。
英BBCの東京特派員を8年間務めたジャーナリストのウィリアム・ホーズレー氏は言う。「日本は政治家のメッセージの発信力が弱い。どういう国をめざすのかわからない。非核三原則があるのに核論議をしろといい、従軍慰安婦問題で政府が旧日本軍の関与を認めて謝罪しているのに、安倍首相が問題を蒸し返す。政治学者の丸山真男氏が、戦前の天皇制のもとでの『無責任の体系』を指摘した状況そのままではないか」
欧州のある外交官は「被爆国日本の政治家はなぜ、『核の闇市場』問題でもっと発言しないのか」と首をかしげる。
世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)では年々、中国とインドの存在感が高まる。米国の人権監視団体が中国の人権を批判すると、元フランス大使の呉建民・中国外交学院長は言ったものだ。「フランスの女性参政権獲得はいつだった? 革命から150年以上も後。歴史はゆっくりと進む」
知的所有権をめぐり英国人が中国やインドのDVDの海賊版をヤリ玉に挙げた。インド代表がお国なまりの強烈な英語で反論する。「では申し上げよう。古代インドはゼロを発見し、中国は羅針盤や火薬を発明した。西洋は1セントも払わずに無断使用してきたではないか」
ああ言えばこう言う。「かなわないね」と英国人は肩をすくめる。会場はどっとわき、発言が続く。しかし、そこに、日本の姿は影すらない。
内弁慶のリーダーがどれほど日本のイメージを損ねてきたことか。戦略がうんぬんという以前の話である。情報収集力もさることながら、何よりも情報発信力を鍛えなければならない。価値観や文化、習慣が異なる人たちの間で確固とした自分の信念を語れる、雄大な国際人を育てることこそ急務だ。
「耳の長いウサギ」がひっそりと暮らす内向きニッポンに、未来はあるはずもない。
(私のコメント)
「株式日記」でアメリカに対する批判的なことを書いたせいか、ドルが暴落して1ドル=110円になってしまった。以前ならマスコミは「円高」だと馬鹿なことを書き立てるのでしょうが、実際に起きているのはドル安なのだ。アメリカも不動産バブルが崩壊しかけて金融機関のリストラが相次いでいる。90年代の日本に見られた光景がアメリカでも見られるだろう。
アメリカの破綻はまず経済において現われ、経済が破綻すれば強大な軍事力は維持できない。軍事力が破綻すれば政治や文化でも大きな影響が出るだろう。現在はまだアメリカは経済でも軍事でも文化でも大きな力を持っていますが、経済からおかしくなりはじめている。1ドルが100円を割るのは時間の問題だ。
ドルが安くなり始めたのは1971年のニクソンショックからですが、ニクソンショックでドルは金との兌換から切り離された。そして1ドル=360円から308円に切り上げられました。そしてアメリカの国内油田の産油量がピークを迎えたのが同じく1971年であり、つまりアメリカの繁栄の源は国内油田から産出するオイルにあったのだ。
第二次世界大戦でドイツや日本が負けたのも石油があったかなかったかの違いであり、アメリカとソ連は当時は世界最大の産油国だったからだ。中東の大油田は1930年代に発見されたばかりであり、なぜ日本とナチスドイツは中東の大油田を確保する事を目指さなかったのだろうか?
ブッシュ政権の発想は国内油田に代わる中東の大油田を武力で確保する事にあるのですが、イラクを攻略して次はイランの大油田を狙っている。つまりアメリカは中東の大油田を確保できなければアメリカの繁栄が維持できない事を知っているからイラクを侵略したのだ。しかしそれは正しい選択なのだろうか?
中東の大油田を狙っているのはアメリカだけではなく世界各国が狙っている。地理的に近いロシアや中国が圧倒的に有利だ。それに対してアメリカは太平洋か大西洋を横断してさらにインド洋を横断しなければならない。イラク戦争では空輸作戦で補給していますが、トルコの米空軍基地が使えないと補給ラインが途絶える事になる。
地政学的にアメリカが中東の油田地帯を軍事的に押さえるのは無理なのですが、アメリカの軍情報機関は何を考えているのだろうか? もちろん軍は専門家だからイラクを完全制圧するのは無理だと答えたシンセキ陸軍参謀総長はラムズフェルドにクビにされた。しかしラムズフェルドもイラク戦争の失敗でクビになったが、地政学的に最初から無理なのだ。アメリカ人はバカだからそれが分からない。
最近のイギリスも情報劣化が酷くなり大英帝国の頃の面影はない。特に中東は大英帝国が宗主国であり、1930年代にクエートで大油田を発見していながらスエズ以東から撤退を余儀なくされた。大きな要因としては大東亜戦争でマレー沖海戦やインド洋において大英帝国の空母機動部隊は日本海軍によって大敗北を喫して、大英帝国の威信が失墜してしまったからだ。
それによってインドや東南アジアの英植民地は相次いで独立して権益を失ってしまった。日本とイギリスは1902年から23年まで日英同盟を結んでいましたが、それによって日本は日露戦争に勝ことが出来て日本をアジアの番犬とすることが出来た。しかしイギリス以外の帝国にとっては日英同盟は邪魔なものであり、様々な妨害によって日英同盟は解消された。その事が香港要塞やシンガポール要塞を失う結果となり大英帝国を支えてきた植民地を失う要因になった。
だからイギリスやオランダやフランスといった旧帝国を天皇陛下が訪問しても車に物がぶつけられるほど恨みをかっている。ならば日英同盟がそのまま維持されていたらイギリスは植民地を失う事もなく、日本は大東亜戦争に突入する必要もなかったかもしれない。チャーチルが回顧録で書いているようにまさか日本海軍が大英帝国の海軍を打ち破る事など想像もしていなかったのだろう。
朝日新聞の記事にもあるように大英帝国を支えてきたのは優れた情報インフラなのですが、今でも007ジェームス・ボンドが活躍しているMI6は世界有数の情報機関だ。しかしMI6もイラクの大量破壊兵器の存在で誤った判断を下した。それだけイギリスの情報機関も劣化してきているのだ。007はハリウッド映画の作り物に過ぎない。
日本でもJNSCを作って情報戦略で世界に遅れをとらないようにしようという構想がありますが機能するのだろうか? 現在でも公安調査庁を初め多くの情報機関がありますが、山のように情報を集めてもそれを分析できる人材がいなければ無いのと同じだ。かえって有害かもしれない。
9・11テロ事件が起きた時に「株式日記」ではアメリカが中東で戦争を始めるだろうと予測した。だから9・11テロ事件が起きた時には「いよいよ始めたか」という感想だった。しかし小泉首相が発した言葉は「驚いたねー」だった。時間的に言って日本が一番に「アメリカと共にテロと戦う」と宣言するチャンスだったのですが、何の情報も上がっていなかったようだ。「株式日記」を読んでいてくれればこのような事は無かった。
私は2001年9月18日の株式日記で次のように書いて、福田官房長官や安倍副官房長官などにFAXで送った。そしたら3日ほどあとで小泉首相が政府主催の追悼式を行なうと発表した。それほど日本政府は動転して関係官庁も機能停止状態だった。
◆機能が麻痺している日本政府と日本外交 2001年9月18日 株式日記
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu27.htm
<日本政府がマヒしている象徴が15日の祭日の国旗掲揚だ。米国が半旗を掲げているのに、日本はいつもどうりに国旗掲揚している。少し無神経過ぎやしないか。テロに抗議するためにも日本も半旗を掲げるべきだ。それから世界各国では犠牲者に対する追悼集会が行われている。ところが日本では行われていない。政府が主催してでもテロの犠牲者のためとテロに対する抗議のための追悼集会を開くべきだ。この国には全く国際外交センスがない。>
9・11テロがあったばかりなのに9月15日の祭日に日本の官庁は高々と日章旗を掲げていた。日本政府として何が出来るかといったことも考えていなかったようだ。大事件が起きた時こそ国家情報部の出番なのですが、イギリスのMI6もアメリカのCIAも「株式日記」ほどの情報分析は行なっていなかったようだ。9・11テロの2週間ほど前に私は次のように分析していた。
◆中東情勢がきな臭くなってきました 2001年8月29日 株式日記
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu26.htm
<イスラエルとパレスチナとの軍事衝突が拡大してきている。表向きはアメリカは止め役に回っているが、イスラエルがアメリカの了解なしに単独で軍事行動を起こすとは考えられない。イスラエルがPFLPの議長をヘリからのミサイル攻撃で殺すとは紛争の限度を超えている。アラブ諸国に対する挑発行為だろう。
ブッシュ大統領は何を企んでいるのだろうか。彼の背後には産軍複合体があり、エネルギー産業がある。となると中東で何か陰謀を企画してもおかしくは無い。イラクのフセインはCIAとつながりがあると言われている。湾岸戦争の時もフセインを失脚させなかったのもその関係だろう。>
国家情報部に何千人何万人のボンクラな情報部員がいたところで、的確な情報分析が出来なければCIAやMI6のように肝心な時に何の役にも立たず、情報は混乱するだけなのだ。むしろ天才的な情報分析官一人のほうがよほど役に立つと思う。