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’08大統領選 反戦2氏に草の根支援
http://mainichi.jp/select/world/presidential/archive/news/2007/10/20071011ddm007030054000c.html
来秋の米大統領選に向け、ブッシュ政権のイラク戦争を徹底的に批判する共和党のロン・ポール下院議員(72)と、「平和の候補者」を自任する民主党のデニス・クシニッチ下院議員(61)が注目されている。ともに両党の指名候補争いでトップグループから引き離されているものの、泥沼化するイラク情勢を背景に、ブッシュ政権に対する不満のはけ口になっている側面が強い。【ワシントン及川正也、和田浩明】
ブッシュ大統領は先月、イラクへ増派した米軍部隊約3万人を来年7月までに段階的に削減すると発表したが、残る約13万人の本格撤退への道筋は依然、描けていない。撤退条件となるイラクの治安情勢や政治プロセスの安定も先行きは不透明のままだ。
9月末の米紙ワシントン・ポストとABCテレビの合同調査では、ブッシュ政権のイラク政策に関する支持率は30%で、不支持率は68%に上った。支持率は増派部隊の撤退表明前より減少し、現政権のイラク政策は「不信任」のレッテルを張られたも同然の状態だ。
こうした中、ポール氏は大統領選に向けた資金獲得競争で7〜9月期に500万ドル(約5億9000万円)を集め、同じ共和党有力候補のマケイン上院議員に匹敵する資金力を見せつけた。米メディアは相次いでポール氏の分析記事を取り上げている。
一方、クシニッチ氏は下院に提案した「平和省」設置法案で67議員から署名を集めた。9月の同時多発テロ6周年決議には「イラク戦争が(ブッシュ政権の)ウソによって引き起こされたことに言及していない」との理由でただ一人反対し、耳目を集めた。
ポール、クシニッチ両氏は今年6月、イスラエルの破壊を訴えたイラン大統領を国際法違反で訴えるよう求める下院決議案にも2人だけ反対した。「イランを威圧すれば戦争への布石となる」(クシニッチ氏)という反戦志向を共有している。
米アイオワ大学のデビッド・レッドロースク教授は両氏について「強い草の根の支援があり、しかも熱狂的だ」と指摘する。
イラク駐留米軍の死者が3800人を超す中、米社会にくすぶる反戦ムードが両氏の徹底した平和志向に共鳴しているようだ。
◆「平和の候補者」自任
◇核廃絶を訴える「超リベラル」−−民主・クシニッチ下院議員
「グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は『石油のためのイラク戦争』と批判したが、それこそ私が開戦前から言ってきたことだ」。9月26日、米東部ニューハンプシャー州の民主党討論会では、こう言って胸を張った。18年以上FRBに君臨し、経済・金融政策に絶大な影響力を誇ったグリーンスパン氏は先月出版した回顧録で、ブッシュ政権がフセイン前イラク政権による大量破壊兵器の脅威を増幅させ、「石油を主な目的」にイラクへ侵攻したと指摘した。
民主党の連邦議員の中でただ一人、イラク侵攻に反対した。泥沼化したイラク戦争の行く末を予測した先見性を武器に「私が大統領になれば3カ月で戦争を終わらせる」と豪語する。
リベラル派も驚くほどの「超リベラル派」。国民皆保険制度導入や死刑廃止、同性婚法制化、世界貿易機関(WTO)脱退を唱え、「平和の人」のニックネームを持つ。最大の理由は「平和省」創設の公約だ。家庭内暴力や幼児虐待から核廃絶までを管轄し、「平和を構築し、暴力を防ぎ、軍事的紛争をなくす」ことを目的としている。
核廃絶の訴えは日本にも共感の輪を広げ、04年大統領選では日本語版の支援サイトも立ち上がった。今年4月、当時の伊藤一長・長崎市長が射殺された際には、同氏の全面核廃絶への努力に敬意を表す書簡を発表した。
「私はこの戦争に反対しているだけでなく、戦争そのものに反対だ」。4月のサウスカロライナ州での民主党討論会ではこう言い切った。しかし、超大国アメリカが自ら戦争を放棄することには米国民も二の足を踏む。
9月の世論調査によると、支持率は3%前後に過ぎない。だが「勝つために挑戦している」とくじける様子はない。04年大統領選でもケリー上院議員が大統領候補に確定した後も戦い続けた、ただ一人の候補者だった。
◆イラク戦を徹底批判
◇意気軒高「米国民の大統領に」−−共和・ポール下院議員
「イラク戦争は侵略だった。米軍はすぐ撤退すべきだ」「01年米同時多発テロは、米国の中東政策に起因する部分もある」
リベラルな民主党の中だとしてもかなりの左派を思わせる発言だが、実は保守的な共和党のベテラン下院議員。それも保守の地盤として知られるブッシュ大統領のおひざ元テキサス州選出である。
キリスト教ルーテル派のドイツ系移民の家に生まれ、刻苦勉励して産婦人科医になり、政界でも地歩を築いた。その思想は「リバタリアニズム」と言われる。他人の権利を侵さない限り、個人の自由は最大限に認められるべきだとの考え方だ。88年には、少数派政党リバタリアン党の候補として大統領選に出馬したこともある。
憲法とその制定にかかわった「建国の父たち」の教えを重視。憲法は連邦議会に宣戦権を与えているが、「ブッシュ大統領は議会をないがしろにしてイラク戦争を無理に始めた」として、この戦争を「大義なき戦い」とみなす。対イラク開戦決議には反対票を投じた。米国がテロの標的になったのは、伝統的な不干渉主義外交の道を外れ、中東に過度に関与したためだと考える。
個人の自由を最大限に尊重する考え方は、巨大化した連邦政府の官僚機構を可能な限り縮小し、連邦所得税も連邦政府の支出もできるだけ引き下げるべきだ、との主張につながる。中絶や銃規制にも反対だ。
共和党主流との考え方の違いは大きく、公開討論会では「指名を受けようとする政党を間違っているのでは」と司会者からやゆされたりもする。
インターネットユーザーの間で人気が高いとの指摘もあるが、各種世論調査の支持率は1ケタ台前半と振るわない。それでも「米国民は戦争にはうんざりしている。私は共和党の大統領より、米国民の大統領になるのだ」と意気軒高だ。
◇来年2月5日、20州で予備選など
米大統領選は来年11月4日に投開票される。共和、民主両党は同1月から各州で予備選や党員集会を行い、来夏の党大会に向け代議員を決める。両党の正副大統領候補は党大会で正式決定するが、代議員はだれを支持するか事前に表明しているため、実際には予備選や党員集会で候補者の一本化が進む仕組み。特に2月5日に約20州で予備選などが行われる。
各種支持率調査によると、共和党ではルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長が、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事やジョン・マケイン上院議員をリードしてきた。9月に出馬表明した俳優出身のフレッド・トンプソン元上院議員が、ジュリアーニ氏に肉薄する勢いを見せている。民主党では初の女性大統領を目指すヒラリー・クリントン上院議員がトップを走り、「黒人初」を掲げるバラク・オバマ上院議員や前回の副大統領候補だったジョン・エドワーズ元上院議員との差を広げている。
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■人物略歴
◇デニス・クシニッチ氏
クロアチア系の父とアイルランド系の母を持ち、少年期にはホームレス同様の生活を送った。31歳でクリーブランド市長に当選。市営企業の売却問題でマフィアに命を狙われた経験も。96年に下院議員に初当選し、現在6期目。
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■人物略歴
◇ロン・ポール氏
米東部ペンシルベニア州生まれ。デューク大医学部を卒業し、産婦人科医として開業。ベトナム戦争初期の60年代には航空医官として勤務。76年に連邦下院に初当選し、現在10期目。妻のキャロルさんとの間に5人の子供を持つ。