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時の焦点 <海外>2007/1/11付
軍事費まだ不足を強調
西村哲也(外交評論家)
中国国防白書の本音
中国政府は昨年末、「2006年中国の国防」と題する国防白書を発表した。大雑把な内容は相変わらずで、外国メディアの評判は良くないが、白書は軍事面の透明性を高めるよりも、むしろ中国の軍事費がいかに少ないかを強調。軍内では、倍増論まで出ており、同国の軍事費は今後もハイペースの増加が続きそうだ。
この白書によると、中国の軍事費は〓小平時代初期の1979年から天安門事件のあった89年まで、年平均で1・23%しか増えなかった。消費者物価の上昇率を考慮した実質ベースでは年平均マイナス5・83%だったという。白書は80年代の防衛力整備について「投入が少なく、維持的な状態だった」と指摘している。
これに対し、90年から2005年までの軍事費の年平均増加率は15・36%。実質ベースでも9・64%で、かなりの伸びと言える。しかし、白書は90年代以降の軍事費についても「国防の基礎薄弱を補うという補償的な増加でしかなく、国家の経済発展と協調した適度な増加だった」と解説。「適度」と言いながらも、同時に、貧弱なところを補ってきた程度にすぎないと主張しており、「まだまだ足りない」という軍部の本音がうかがえる。
白書はさらに、中国の軍事費の総額と軍人一人当たりの額は大国と比べると、「低水準にある」と強調する。2005年の軍事費は米国の6・19%、英国の52・95%、フランスの71・45%、日本の67・52%でしかなく、一人当たりの額は米国の3・74%、日本の7・07%にすぎなかったとされる。
もっとも、中国の軍事費は公表されているより、はるかに多いとみられる上、同国と先進国は物価水準があまりに異なるので、単純な比較は難しい。どの国の軍隊でも、軍人の給与が軍事費の主な用途の一つになっていると思われるが、今でも月給1000元(約1万5000円)という労働者が少なくない国と、1万円では一人が3日生き延びるのも苦しい国の人件費をそのまま比べてみても、実態の相違を反映しているとは言えまい。
また、白書によれば、中国の軍事費は国内総生産(GDP)のわずか1・35%(05年)。日本やドイツよりは多いが、米国(4・03%)はもちろん、英仏ロ(1・93〜2・71%)より、はるかに低い。
そこで、白書の発表直後、香港の中国系メディアで中国国防大学の国防経済研究センター主任は、「規模の適正」と「構造の合理性」の二つの面から考えて、中国の軍事費はGDPの2・6〜2・8%を維持すべきだと主張。「3%は超えないようにする」としているが、それでも、この通りになれば、対GDPの比率は約2倍に拡大することになる。