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アルルの男・ヒロシです。
SEC(米証券取引委員会)のウェブサイトで、ロックフェラーと検索すると、ここ最近のロックフェラー家の株式大量保有報告や、一族の関連会社の株式保有割合が一覧でズラッと出てくる。ただし、ここにはロックフェラー財団やロックフェラー兄弟財団の資産内訳は出てこない。財団というカラクリを利用したやり方である。(そういえば、途上国にパソコンを寄付するという形で自社OSのシェア拡大を図った、巨大ソフトメーカーの会長も財団運営していますよね。これってあまりに露骨〜。)
ロックフェラー財団は、自らのアニュアル・レポートで、簡単な資産運用の内訳は書いている。2006年版のそれには次のように書かれている。
グローバル株式投資=10%、アメリカ株式投資=12%、Developed International=8%、新興国市場=10%、ヘッジファンド/ディストレスト投資=21%、不動産=13%、プライベート・エクイティ=12%、債券投資=12%、キャッシュ=2%
仮にロックフェラー財団が今でも企業を、資産運用の対象としてではなく、所有によって厳重に支配しているとすれば、この株式割合22%に含まれる企業を支配していることになる。プライベート・エクイティは、おそらくブラックストーンなどに出資している分を含むのだろう。債券投資は社債や米国債ということになる。綺麗に国債分散投資出来ているわけだ。
財団のカラクリについては、いずれ詳しく勉強した上で取り上げる予定だが、資本利子収入は非課税だそうだ。財団の資産を、「拡大世襲財産」と観れば、デヴィッド・ロックフェラーの財産は、実際に「フォーブズ」で発表されている数十億ドルでは済まないと思う。財団管理にしている不動産もあるだろう。例えば、ポカンティコの大邸宅は、財団保有にして一般にも貸し出しているようだが、だからといって、ロックフェラー家であれば、名目上の手続きをすれば自由に使えるというような話になっているのではないか。要するに、財団の経費でリムジンを買って、それを個人で使用するというようなことが出来るんじゃないかと思う。オーナー会社の社長であれば普通にやっていることだ。そこには形式と実際のギャップのようなものがあって、表向きはそのようなことは出来ないようになっているとされているんじゃないか。これについても詳しい調査をしないと確定的なことが言えない。
その財団とは別に、デヴィッド・ロックフェラーは、自分の直径の子孫10数人のための資産運用会社を設立しているようだ。それが今回のSECへのIRSの決まりで義務づけられた報告書を読むことで具体的に分かってきた。
SECへの報告書は、ロックフェラーとその関連資産運用会社(一つを除きデラウエア州に設立のペーパー会社)数社の、ボストン・プロパティーズという会社の株式保有報告であり、2004年末の状況を一月末に報告したもの。
報告者として、
David Rockefeller
RockMark Corporation
FedMark Corporation
ECW Investor Associates
DR & Descendants LLC
の名前があり、このうち、デヴィッドの保有割合は3.6%らしい。(米会計報告には詳しくないので、このPercent of class が普通株式の保有割合なのかどうかちょっと自信がない)他のペーパーカンパニーも、「ロック」と名前が付いていることで分かるように、デヴィッドがマネージング・メンバーである会社である。
それで、デヴィッドがこのボストン・プロパティーズと関係を持ったのは、以前に彼が他の投資家と共同で保有していた、カリフォルニア州にあるEmbarcadero Centerをこのボストン・プロパティーズに売却したときからだと思われる。
それで、このボストン・プロパティーズとはどういう会社かというと、ボストンに拠点を持つ不動産運用会社で、その現会長になっているのは、マーティマー・ズッカーマン。これは、USニューズ・ワールド・レポートの編集人であるメディア王といえばもっと分かりやすい。ところが、重要なのは、ズッカーマンだけではなくて、この会社のボードメンバーを観ると、さらにリチャード・サロモンという名前が見えてくる。
この人物は、現シティ・グループのサロモン・ブラザーズとの関係はすぐには見つからないので、このソロモン一族とは関係ないようだが、ニューヨークのユダヤ系財界人ではある。彼の父親が、現在はレブロンのブランドで知られる香水メーカーのLanvin=Charles of the Ritzを運営した、同名の人物だ。一族の子孫はベルギーからアメリカにやってきたエマヌエル・サロモンという人物らしい。
このリチャード・サロモンの肩書きは、「デヴィッド・ロックフェラーの上級顧問」である。現在もそのままのはずである。ボストン・プロパティーズの他には、ロックフェラー大学の資産運用委員会の会長、外交問題評議会の投資委員会のメンバー、ニューヨーク市立図書館、ニューヨーク近代美術館、アルフレッド・スローン財団の同メンバーでもある。イエール大卒だがボーンズではない。
さらに、このサロモンは、現在もブラックストーン・オルタナティブ・アセット・マネジメントのアドバイザリーボード・チェアマンでもある。ブラックストーンのピーターソンとロックフェラーをつなぐネットワークがここにもあったわけである。
そして、ブラックストーンは、自社のHPでフィナンシャル・アドバイザリー部門として、M&Aの買収アドバイザー業務として提携している、団体・金融機関、人物の名前を挙げている。
その中には、キッシンジャー・アソシエイツや北欧の大銀行であるEnskildaも含まれるほか、インターナショナル・アドバイザリー・ボードのメンバーも含まれている。このインターナショナル・ボードのメンバーが所属する団体は次の通り。
イギリス:ジェネラル・エレクトリック・カンパニーplc、ロイターplc
スペイン:Valorem
オランダ:ユーロネクストNV
フランス:パブリシス
スイス:バンク・ピクテ
イタリア:ジェネラル・エレクトリック・インターナショナル
ドイツ:ドイツテレコム
イギリス:ラザード兄弟商会
スウエーデン:スウェーデン・エンスキルダ・バンケン(会長:ヤコブ・ワーレベリ)
フランス:ワインバーグ・キャピタル・パートナーズ
国際金融資本について詳しくない人には知らない名前ばかりだろうが、スウェーデンのSEB銀行の会長であるワーレンベリは、ノーベル財団とも関係が深い。これについては既に書いた。
ユーロネクストは証券取引所、ロイターはメディア、パブリシスは広告会社、ピクテは泣く子も黙るプリヴェ・バンク。その他も調べれば、いろいろとおもしろいことが分かるはずだ。
そういう会社と戦略提携しているのが、ブラックストーンであり、そのメンバーの一人にロックフェラー家の管財人であるサロモンがいる。サロモンはロックフェラーの資産運用をやっているはずで、デヴィッドの息子達が遊んで暮らせる資産を維持するために、ブラックストーンなどに分散投資しているのだろう、と推測できる。
世界秩序の形成の面で、アクティブなのは実際に資産を運用するブラックストーンとそのネットワークたちであろう。ロックフェラー家もデヴィッド亡きあとは、アクティブというよりはパッシブな大富豪として、ボストンあたりに引っ込むのではないか。WASP神話の完成ではあるが、それは同時に「双六の上がり」ではないかとも思ってしまうのだ。「世界支配者」の定義は非常に難しい。
そういえば、ブラックストーンには、スピンアウトした、ブラックロックというヘッジファンドがありましたけど、まさかこのロックまでロックフェラーのロックじゃないでしょうね(笑い)
by japanhandlers2005 | 2007-10-22 12:17 | Trackback | Comments