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アルメニア人虐殺で米政府の二枚舌
http://plaza.rakuten.co.jp/31sakura/diary/200710150000/
第1次世界大戦の頃、1915年から1923年にかけてオスマン・トルコが150万人とも言われるアルメニア人を殺害している。このアルメニア人弾圧を「大虐殺」だと認定する決議案が米下院の外交委員会で10月10日に可決された。時代の流れが変化しつつあることを感じさせる出来事だ。
この虐殺をアメリカの権力者たちは長い間、口にしようとしなかった。有力メディアも沈黙を守ってきた。トルコはイスラム圏に属するものの、親イスラエル/アメリカの国。アメリカの情報機関は秘密工作の拠点としても利用してきた。虐殺に触れることは自分たちにとって不都合だということだったのだろう。
戦後、アメリカの権力者は「共産主義の脅威」を口実としてファシストを保護、彼らの戦略を取り入れるだけでなく、戦闘や破壊工作の実行部隊としても利用してきた。ラテン・アメリカをはじめ、全世界に軍事独裁政権を樹立させた事実も否定できない。1980年代にアメリカ政府がアル・カイダを含むイスラム武装勢力を「自由の戦士」と呼んでいたことも思い出す。1960年代から1980年頃までイタリアでは、自国の情報機関を黒幕とする「爆弾テロ」が続いたが、その背後にアメリカの情報機関が存在していたと強く疑われている。アメリカはトルコのアルメニア人虐殺についてとやかく言えるような国ではないとも言えるだろう。
1990年代にネオコン(新保守)勢力は、イラクを制圧すればイスラエルと友好的な国がヨルダン、イラク、トルコとつながってシリアと湾岸諸国を分断できると分析、戦略的に重要なイラクからサダム・フセインを抹殺するべきだと主張していた。それほどトルコを信頼していたとも言えるだろう。
そのトルコは現在、クルド人勢力と対立関係にある。この民族はトルコとイラクをまたがる地域に住んでいて、分離独立を主張する勢力も存在、「PKK(クルド労働者党)」のように武装闘争を行っている人たちもいる。
そのPKKの拠点を攻撃するという名目でトルコ軍はイラク領内の村を砲撃、さらに越境攻撃を行う姿勢を見せている。この武装勢力は「テロ組織」と見なされていると言うが、その一方でアメリカやイスラエルとは協力関係にあるとも言われている。
トルコ軍がイラク領内で軍事作戦を展開すれば、当然のことながらイラク軍から反撃されるはずだ。クルド人勢力と敵対してきたとはいうものの、それに関係なくイラク軍は自国への軍事侵攻を許さないだろう。
かつて、トルコ軍はキプロスに軍事侵攻し、占領を続けた。キプロスではギリシア系の住民とトルコ系の住民が反目しあっていたのだが、ギリシアもトルコもNATO(北大西洋条約機構)の加盟国である。トルコのキプロス侵攻はNATO加盟国同士の戦争に発展しかねなかったにもかかわらず、当時のアメリカ政府は動こうとしなかった。トルコの軍事行動の背後には、「分断統治」を考えていたアメリカ政府が存在していたと言われている。ただ、今回のケースでアメリカ政府が同じ態度をとるかどうかは不明だ。キプロスの時ほど単純ではない。
ところで、アメリカのコンドリーザ・ライス国務長官はアルメニア人虐殺に関して質問された際、詳細で冷静な調査を歴史家が行う必要があると述べている。そういえば、イランのマフムード・アフマディネジャード大統領はホロコーストに関し、歴史家がさらに詳しい研究を行う必要があると語っている。これと同じことだ。アメリカの国務長官とイランの大統領は同じ考え方の持ち主だということがわかる。当然、メディアはライス長官に対し、アフマディネジャード大統領に対したのと同じ対応をしなければならない。