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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=369
安全保障理事会議長
リペール フランス国連大使殿
アムネスティ・インターナショナルは安全保障理事会に対し、安保理が自らビルマ(ミャンマー)に特使を派遣して状況把握・情報収集を図ること、また、ビルマ軍事政権当局にいかなる武力行使をも行なわないよう強く申し入れることを要請いたします。安保理は同国への武器禁輸の可能性をも考慮するべきです。
改革を叫ぶ10万人を超える平和的デモが武力で弾圧されたことで、これまでも過酷に侵害されていた同国の人権状況はさらに悪化し、同国周辺地域の治安を深刻に脅かしています。すでに報道されているように、ヤンゴンおよび各地で現在も数千の市民が、僧侶の主導のもとに、政治改革と政治囚の釈放を求めて平和的に抗議行動を行なっています。
少なくとも150人が警察に拘束され、当局の支援を受けている連邦団結発展協会(USDA)に殴打などの暴行を受けた人びともいます。これまで軍事政権はデモ行進を黙認していましたが、1988年の経験から、軍事政権が反政府勢力を押さえ込むためには殺害という暴力的手段をも辞さないという危険があります。今の状況は、同国周辺地域に大量の難民が流出したりその他の深刻な問題が発生するという事態に発展する恐れがあります。
安保理は、事務総長特使ガンバリ特別顧問からビルマの状況についての説明を受け、ガンバリ特別顧問は早急に同国を訪問したい意向を持っています。安保理のメンバーのなかには、増大するデモに対する同国の軍事政権の対応を自制するよう促した国もあると伝えられており、アムネスティはこれを評価しています。
ビルマでは、これまでも人権の深刻な侵害が根強く続いてきており、そうした背景のもとに今回のデモが起こったことで、同国は重大な局面を迎えています。ビルマでの人権侵害には、1160人を超える政治囚が劣悪な環境の刑務所に長期拘禁されていること、ノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチーさんや軍事政権に反対する活動を行った「良心の囚人」らが長期拘禁されていること、そのほかにも超法規的殺害、拘禁中に広範に行なわれる拷問などが含まれます。また、表現の自由は国中で厳しく制限されており、強制労働や子ども兵士の使用も未だに行なわれています。国の東部に位置するカレン州では、反政府勢力に対する掃討作戦が行なわれるなか、人道に対する犯罪も起きています。
独立の監視員や国際人権団体がビルマの各地へ赴こうとしていますが、依然として拒否されています。ご承知のとおり、人権状況を調査するための国連特別報告者も、ここ数年間ビルマへの入国を拒否され続けています。
ビルマの現状況の深刻さはいまや国際社会全体の懸念となっており、安保理が一丸となって取り組むことが求められています。2005年9月に各国指導者らが確認しあったとおり、平和と治安、開発、人権の3点は国連システムの柱であり、ビルマでもっと人権が尊重されることが地域全体の安全保障と繁栄に不可欠です。アムネスティは、安保理が一刻も早く同国に監視団を派遣すること、悲惨な人権状況を改善するためにとるべき具体的措置についての指示をその監視団から受けることを要請します。
同様の書簡は安保理の他のメンバー国にも送られています。
2007年9月25日
アムネスティ・インターナショナル事務総長
アイリーン・カーン