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2007/09/18
フランス政府もイラン攻撃を後押し [ パワーポリティックス非公式情報 ]
ベルナルド・クシュネル仏外相は9月16日、RTLラジオのインタビューに答え、イランとの戦争に世界は備えるべきだと語った。イラン側はこの発言に反発、ニコラス・サルコジ大統領の母方の祖父がユダヤ教徒だという事実をイラン政府系の通信社は持ち出している。逆に歓迎しているのはイスラエル。アメリカのネオコン(新保守)/シオコン(神保守)と同じようにイスラエルはイラン攻撃を臨んできただけに、新たな同盟国の出現といったところだ。
いつものことながら、今回も「最悪の場合」とか「交渉」といった「前提」をちりばめているが、これはクシュネル仏外相自身の本心を隠すための煙幕にすぎない。戦線が拡大してロシアが巻き込まれる事態になれば、アメリカの「ミサイル防衛システム」も意味を持ってくることだろう。準備は進んでいる。
9月6日にイスラエルの戦闘機が地中海側からシリア北部に侵入、爆撃しているが、これもイラン攻撃の予行練習だったのではという見方が出ている。実際、ネオコンの代表的人物で元米国連大使のジョン・ボルトンはイスラエルによるシリア爆撃を「イランに対する明確なメッセージだ」と発言している。
3日間の空爆でイランの軍事施設1200カ所を破壊するというシナリオをアメリカ軍はすでに作成、イランとの国境に近いイラク領内に基地を建設するという話も出ている。中東の情勢は緊迫化している。おそらく、原油や株式の相場にはこうした事態が反映されつつあるようだが、日本のマスコミは緊迫した状況を伝えない。彼らが無能なためなのか、あるいは戦争を望んでいるためのかはわからないが。いずれにしろ、戦争になれば、拙著『アメリカ帝国はイランで墓穴を掘る』でも書いたような深刻な事態が生じる。日本は世界の中でも、最も大きなダメージを受ける国になる可能性が高い。海上自衛隊が行ってきた給油活動も、そうした視点から考える必要がある。こんな時期に撤退されては困るとアメリカ軍が考え、主張するのは当然のことである。
もっとも、イラン攻撃に反対している勢力は第三世界だけでなく、アメリカやヨーロッパにも存在、ロシアや中国も賛成はしないだろう。最近では開戦に反対する声が世界的に大きくなっている。アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の議長を1987年から2006年まで務めたアラン・グリーンスパンは自身の著作『動乱の時代』の中で、ニュールンベルグ軍事法廷が「至上の国際犯罪」と呼んだ行為をアメリカは石油のために始めたと明言している。どこかの反戦グループ、平和団体が言っているのではない。アメリカの経済政策の中枢にいたエリート中のエリートがジョージ・W・ブッシュ政権のイラク侵攻はナチと同じだと書いたのである。
イラク侵攻は「石油だけ」が目的ではなく、ネオコン/イスラエルの戦略、シオコンの妄想、軍需産業のビジネスなどが関係していると思うが、ともかくコソボからイラクまで、アメリカ政府は虚偽の情報をまき散らしながら軍事侵攻を繰り返してきた。アフガニスタン侵攻の際にも報道されたタリバーン政権の対応は事実に反していたと後に報告されている。アメリカの主流派エリートにとっても、現在のアメリカ政府は犯罪的だということだ。フランスにしても、一般国民はイラン攻撃に賛成していないだろう。ブッシュ政権を手放しで支持しているのは日本人くらいかもしれない。