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「テロ特措法」のまやかし 2007/09/05
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テロ特措法。施行は2001年11月2日。米英軍のアフガン空爆開始が10月7日だから、日本政府が同盟国支援のために大慌てで作った法律であることがわかる。
具体的な支援活動としてはインド洋上で海上自衛隊が同盟国などの船舶に給油しているのだが、給油された油がアフガニスタン以外で使われているのではないか、と野党議員は追及する。
過半数を取った野党が、参議院で国勢調査権に基づいて給油実態を明らかにするよう要求すれば、防衛省は情報を出さざるを得ない。広い海につい立てがあるわけではないし、油を他地域に回したとしても驚くことではない。
追及はかわせないと見たか。与党幹部の最近の見解はこうだ―
「(給油を受けた同盟国の艦船が)海上封鎖をやっているからテロリストの動きを止めている」〜高村防衛大臣・2日、フジテレビ報道番組で〜。
「アフガンから出た麻薬が金になってイラクに兵器が行く。これを阻止しなければいけない」〜石原政調会長・2日、テレビ朝日で〜。
額賀元防衛長官も高村大臣と同じことを言っている。
この人たちは本気でそう思っているのだろうか?そうだとしたらテロリスト(と呼ばれる勢力)の行動形態を知らないにも甚だしい。
できっこない海上封鎖
20年も前のことだが、海上保安部による船舶への抜打ち査察に立ち会ったことがある。船に乗り込んだ保安官たちは、船内の配電盤を開けたり乗組員のベッドをひっくり返したりして、密輸品がないかを調べた。早朝から昼頃まで船内を調べたが何も出てこなかった。船の中は迷路で、機関室などはブラックボックスだ。わずか数千トンクラスの船で場所は瀬戸内海だった。
広大なインド洋、アラビア海を行く夥しい数の船舶の中から不審船舶を見つけるのは、偵察衛星を利用しても骨の折れる作業だ。もし捕捉してもその船が数万トン、数十万トン級もある巨大船だったら、麻薬を発見するのは至難の業だろう。全長が数十メートルもある弾道ミサイルを運んでいるのならともかく、ゲリラ戦で闘うタリバーンやアルカイーダは、そんな“大道具”を必要としない。
魚一尾通さないほどの完璧な海上封鎖をしたところで、テロリスト(と呼ばれる勢力)は中小型の兵器をいくらでも入手できる。スリランカの反政府武装勢力「タミル・タイガー」(米国務省のテロ組織指定を受ける)が典型的な例だ。
北海道より小さい島国のスリランカは、政府軍が厳しい海上封鎖をしいている。「タミル・タイガー」に兵器が渡らないようにするため、タミル人漁民がエンジン付きの船を持つことを禁止しているほどだ。浜辺から1キロ以上沖に出ることもご法度だ。それでも「タミル・タイガー」が支配するスリランカ北東部には尽きることなく海外から兵器が流入してくる。爆撃機さえ持っている。
陸路を行き交うアヘンと兵器
話をアフガニスタンのタリバーン(スンニ派)に戻そう。西隣国のイラン(シーア派)とは内戦時代、血で血を洗う戦いを繰り広げた仇敵同士だ。酸鼻を極めたマザリシャリフの攻防(1998年)では、タリバーンによるイラン大使館員虐殺事件も起きた。
それから10年、情勢は変わった。共通の敵、米国と戦うためにタリバーンとイランは軍事協力までするようになった。アフガニスタンでNATO軍を殺傷している「高性能路肩爆弾」は、「(イラン)革命防衛隊製」のものだ。世界最大のケシ産地で採れたアヘンとイラン製の兵器が陸路を行き交っている。
インド洋を海上封鎖したところで「屁のツッパリ」にもなりはしない。「上に政策あれば下に対策あり」。テロリスト(と呼ばれる勢力)のためにあるような言葉だ。
「テロ特措法」に基づく海上自衛隊の給油活動は、「同盟国とのおつきあい」と見たほうがいい。与党の先生たちは、簡単にウソがばれるようなゴタクを並べるのはやめよう。
(田中龍作) http://www.news.janjan.jp/government/0709/0709041822/1.php