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CIA工作員名漏洩事件:ヴァレリー・プレイムの回顧録がいよいよ刊行(暗いニュースリンク)
http://www.asyura2.com/07/war95/msg/265.html
投稿者 近藤勇 日時 2007 年 8 月 30 日 11:34:51: 4YWyPg6pohsqI
 

CIA工作員名漏洩事件:ヴァレリー・プレイムの回顧録がいよいよ刊行
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2007/08/cia_f9d5.html

この秋、アメリカ政界で最もスキャンダラスな著作がついに刊行されることになった。CIA工作員名漏洩事件(通称プレイムゲート事件)の渦中の人物で被害者でもある元CIA工作員、ヴァレリー・プレイムの回顧録である。

当初CIAは、元職員である彼女に対して回顧録出版を許可しなかったため、ヴァレリー・プレイムは今年2月にCIAを相手に裁判を起こし、8月初旬に回顧録出版の許可を勝ち取ったばかりだ。CIA側の回顧録公開条件は非常に奇妙で、彼女がCIAに勤務していた具体的・詳細な期間については言及してはいけないというものだった。しかしCIA工作員名漏洩事件に伴う議会調査で、彼女のCIA勤務期間の大半はすでに知れ渡っている。ともあれ、当初8月に刊行される予定だったこの回顧録は、CIAの通常検閲で問題がなければ、10月22日に正式に発売されることになった。

イラク侵攻前のブッシュ政権による情報工作活動を克明に記したベストセラー書籍『HUBRIS』には、この女性CIA工作員に関する詳細な経歴が紹介されている。それによると、ヴァレリー・プレイムはペンシルバニア州ハンティントンバレー生まれのスイス系アメリカ人で、父親がNSA(国家安全保障局)勤務経験のある空軍中佐、母親が小学校教諭という家庭で育ち、ペンシルバニア州立大学在学中に学友のトッド・セスラーと結婚、直後に22歳で夫婦揃ってCIAへ申し込んだという。

身辺調査を受け、CIAへの“入社”が認められて諜報員としての職業訓練課程に入る直前、夫は諜報員の道を断念し、ヴァレリー・プレイムは再び独身になった。

ヴァレリーはCIA工作員に志願した。CIA工作員教習課程では、最初の10週間で合衆国政府職員として、またCIA職員としての基礎教練を受ける。45人の同期のうち、22歳の彼女は最年少の訓練生であり、その美貌と聡明さからおおいにモテたらしい。彼女と同期だった人物は後の取材でヴァレリー・プレイムの印象について“抜群のカラダをした天然のプラチナ・ブロンドだ”と表現している。

基礎訓練課程が修了すると、今度はバージニア州ウィリアムスバーグにあるCIA軍事教練施設:通称『ザ・ファーム』(パーリー演習場)で基礎軍事訓練を受ける。この訓練過程の期間は約1年弱で、訓練生は迷彩服、軍靴、背嚢、その他を着用する。この軍事教練過程では、航空機からの降下、敵対地域での行軍、敵対海域から工作員を極秘裏に上陸・国境を越えて侵入させる訓練、爆発物の取り扱い、マシンガンやライフル、RPG等各種武器の使用、さらには敵国で拘束された際の尋問に耐えるノウハウ等をマスターするという。

1986年秋頃、ヴァレリー・プレイムは『ザ・ファーム』を卒業し、正式にCIAケース・オフィサーとなった。“本社勤務”を3年経験して、1989年にはCIAギリシャ支局に派遣された。ケース・オフィサーの業務は、駐在先国の政府職員をスパイとしてリクルートし、機密情報を盗み出すことであるという。ケース・オフィサーがリクルートしたスパイは、CIA用語では“エージェント”と呼ばれるそうだ。仮にヴァレリー・プレイムのような女性が日本で活動していたとしたら、永田町はあっという間にエージェントだらけになってしまうだろう・・・あくまで仮の話だが。

海外勤務CIA工作員の身分としては、合衆国政府職員として外交特権を付与されるオフィシャル・カバー(official cover)と、一般の民間人として政府と無関係の職業を装うノン・オフィシャル・カバー(nonofficial cover、略称NOC)に大別される。オフィシャル・カバーの場合は大使館等の海外公館に武官もしくは国務省職員として勤務し、仮に諜報工作活動が暴露されても外交官特権により駐在国での逮捕は免れる。一方でNOCの場合は、諜報活動が暴露された場合、公式には米政府からの保護を受けられないので、外国に派遣されていた場合は当該国の法律に従い逮捕され、拘束され、あるいは刑務所送りになるという重大なリスクがある。

ギリシャ支局に勤務した頃、ヴァレリー・プレイムはオフィシャル・カバーだったが、90年代初頭にはNOCに身分が変わったという。2003年にブッシュ政権によって身元を暴露された時も、彼女の身分はNOCのままだった。しかも2001年から2006年の退任時まで、彼女が所属していた部署はCIAの大量破壊兵器拡散防止部門で、担当はイラク・イランの大量破壊兵器情報であった。

ブッシュ政権がサダム・フセインの脅威を国民に語っている頃、ヴァレリー・プレイムと、彼女の2回目の結婚相手であるジョセフ・ウィルソン元駐ガボン米大使は、イラクがニジェールからウランを購入したという情報が嘘であることを突き止め、あらかじめブッシュ政権側に説明していた。イラク侵攻を間近に控えた2003年3月8日、ジョセフ・ウィルソンはCNN放送に出演し、ブッシュ政権の大量破壊兵器情報は怪しいと示唆した。米軍がイラクで大量破壊兵器を発見できないことに米国民が首を傾げていた2003年7月6日、ジョセフ・ウィルソンはNYタイムズに寄稿し、ブッシュ政権がイラク侵攻のために脅威を捏造した疑いがあると書いた。それはまさしく真相だった。ジョセフ・ウィルソンの影響力拡大を恐れたブッシュ政権側は、政府寄りのマスコミ関係者を総動員してヴァレリー・プレイムの身元を暴露し、ジョセフ・ウィルソンを脅迫した。

結局のところ、ブッシュ政権が開戦前に世界に示した“フセイン政権が大量破壊兵器を開発している証拠”に関する3種の諜報材料−移動式生物・化学兵器施設があるというイラク亡命者の証言、ニジェールでのウラン極秘購入文書、ウラン濃縮装置用とされるアルミ管−はいずれも嘘であった。しかもこれら諜報が非常にいいかげんな分析と信頼性に乏しい情報源によって構成されている事実を、ブッシュ政権の閣僚達は充分承知していた。

国連でイラクの大量破壊兵器保有について世界に説明したコリン・パウエル米国務長官は、自分がいいかげんな証拠を提示していることを自覚していた。

イギリスでは、ブレア首相が「イラクは45分以内に大量破壊兵器を実戦配備出来る」と世界に向けて嘘をついた。イギリス情報局秘密情報部(SIS:MI6)は、ブッシュ政権がイラク侵攻のために情報をデッチあげ、それに合わせてブレア政権が嘘をつくことを充分知っていた。その嘘を内部告発したデイビッド・ケリー博士はあっという間に変死した。

米国政府の提示した大量破壊兵器情報について、ドイツ連邦情報局(BND)、フランス対外治安総局(DGSE)、イタリア軍事保安庁(SISMI)はそれが誤っていることを事前に知っていた。

ブッシュのイラク戦争を手放しで支持した日本の小泉首相は、イラクが大量破壊兵器を保有していると断言し、戦争に協力した。果たして日本政府側は、米政府側の主張の裏をとっていただろうか?この件について伝える数少ない資料として、朝日新聞社刊『自衛隊 知られざる変容』から一部を引用する:


開戦の数ヶ月前。
防衛庁情報本部の分析部に指示が下った。
「イラクが大量破壊兵器を保有している可能性を報告せよ」
米軍からのイラク情報、欧米や中東の防衛駐在官が収集した情報、報道資料、インターネットで集めた海外の論文・・・・。これらを参考に作成された報告書は当初、大量破壊兵器について、「保有していると言われているが、明確な証拠はない」などと当たり障りのない結論となっていた。
だが、情報本部の上層部が怒った。
「米国がイラクの大量破壊兵器保有の疑惑をアピールしている時に、この結論は何だ」
報告書を検討する会議で、幹部の1人は自らペンをとって「保有する可能性は否定できない」という趣旨に書き改めた。
一方、小泉首相の関心は、大量破壊兵器の有無にはさほど向けられていなかった。イラク開戦時の緊急声明を発するまでの事務的な手続きを説明する官邸のスタッフにこう言った。
「事務的なことはいい。米国の行動を支持すると言える材料をできる限り持ってきてくれ。あとは自分で考える」


(以下略)

自衛隊でも、現場は冷静だった。しかし上層部は現場の仕事を歪めた。さらに官邸は、国家の在りかたまで歪めてしまった。小泉政権の犯罪的なまでの親米追従体制、それに続く安倍政権の国民生活無視体制・・・これらはまさしく安倍首相の言う「戦後レジーム」の集大成のように見える。

日本の政界では、テロ対策特別措置法の延長問題が注目を集め始めている。再検討の際には、9/11以降からイラク戦争・占領に至る日本の政策内容の是非について、また官邸がどのように政策決定したのかについても再考されねばならない。ぜひとも与党・野党超党派の調査委員会を立ち上げて、「なぜ小泉首相は大義なき米軍のイラク侵攻を支持したのか」について報告書を作成し、一般書店で販売してほしいものだ。なにしろ日本国民は、未だに何も知らされていない。

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