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【全訳】イスラエルに歯向かうことができる米国大統領はいない(Counter Punch誌)
(阿修羅読者の皆様、ご無沙汰しております。)
これは米国の反戦系ウエッブ雑誌Counter Punchに掲載された論文です。著者のポール・クレイグ・ロバーツはレーガン政権時代の財務省次官で、現在はウォールストリート・ジャーナルやナショナル・レビューの共同編集者である米国保守派の論客です。
ロバーツは先日も9・11内部犯行を告発する文章を、デヴィッド・レイ・グリフィンの本に寄せたばかりですが、例のルパート・マードックが買収したウォールストリート・ジャーナルの中で無事にいることができるのかどうか、注目されるところです。
(参照)
http://www.asyura2.com/07/war92/msg/413.html
【ボルテール・ネット西語版】元レーガン政権高官P.C.ロバーツによる『9・11の正体を暴く』をスペイン語で紹介
この論文は米国の政治がどれほどイスラエルにがんじがらめにされているのかの、ほんの一端を示すものです。「しっぽが犬を振り回す」という言葉がありますが、しかし米国とイスラエルの関係でいえば「犬がしっぽを振っている」に過ぎません。もちろんしっぽが米国です。
以下に全文を翻訳して投稿します。
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http://www.counterpunch.org/roberts08152007.html
摩訶不思議な関係
「イスラエルに歯向かうことができる米国大統領はいない」
By PAUL CRAIG ROBERTS
「イスラエルに歯向かうことができる米国大統領はいない」
この言葉は辛らつな海軍大将トーマス・ムーラー(Thomas Moorer)の口から発せられた。彼は海軍作戦部長(1967-1970)であり参謀総長(1970-1974)であった。ムーラーはおそらく独立心を持った最後の米国軍指揮官であった。
ムーラー海軍大将は自分が何についてそう言っているのかを自覚していた。1967年6月8日に、イスラエルは米国の諜報船であるUSSリバティを襲撃し34名の米国海軍兵士を殺害し173名を負傷させた。イスラエル人たちは、傷ついた船から離れようとする米国兵士の乗った救命ボートに機銃掃射をすらしたのだ。
明らかなことだが、USSリバティはイスラエルが6日戦争に責任を負っていることを暴露するイスラエルの通信を傍受していた。今日でさえ歴史の本と大多数の米国人はこの紛争をアラブ人のせいにして非難している。
米国化イブンは真相を知っていた。しかし合衆国大統領は米国軍に敵対してイスラエルの側に付き、米国海軍に口を閉ざすように命令した。リンドン・ジョンソン大統領はそれが単なるミスに過ぎないと言った。晩年になってムーラー対象は一つの委員会を形作り米国人に対して消えることの無い真実を提示した。
米国の外交政策を支配するイスラエル・ロビーの力は相当なものである。2006年5月になって、二人の卓越した米国人学者、ジョン・ミアシャイマーとステファン・ウォルトが、the London Review of Books誌上で、イスラエル・ロビーの力が米国外交政策を米国の利益にもイスラエルの利益にもならない方向にねじ曲げている懸念を表明した。この負たちの専門家は、イスラエルと米国に対するアラブ人の嫌悪を増幅させるだけの抑圧政策の失敗から米国とイスラエルを救うかもしれない討論を開始することを望んでいた。イスラエル・ロビーはいかなるその種の再検討にも反対し、「ユダヤを馬鹿にする(Jew-baiter)」「反ユダヤ主義的(anti-semitic)」という常套句を用い、「反アメリカ的(anti-American)」とまで言って、それを孤立させようとした。今日、シオニストの拡大イスラエル計画に反対するイスラエル市民は「反ユダヤ主義者」として非難されているのだ。
多くの米国人はイスラエル・ロビーの影響力に気付いていない。逆に、彼らは米国を「世界唯一の超大国」、その命令が疑問無しに遵守されるか、さもなければ取るに足らない抑圧的な者達を「爆撃して石器時代に戻す」尊大な新たなローマ帝国であると考えている。多くの米国人たちは軍事的な強制力が我々の利益のためになると信じ込まされている。彼らはリビア、セルビア、アフガニスタン、イラクを例として取り上げ、そして今やイランとパキスタンに爆撃を仕掛ける準備ができている。
この傲慢さは何万人、いやたぶん何十万人もの男女と子供の殺害を結果としてもたらすのだが、それが、米国の主導権を受け入れない国々にとってふさわしい運命であるように多くの米国人たちが信じているようだ。
米国の外交政策こそが抑圧的になっているのだ。尊大な国粋主義者たちがそれを好む。これらの国粋主義者たちは、米国が「砂漠の黒ん坊どものケツを蹴り上げている」という妄想を我がことのような喜びを見出すのだ。
これがブッシュ政権の米国である。もしこれらの国粋主義者たちの一部が勝手に振舞うなら、「イスラム・ファシスト」に対する戦争をあえて批判するあらゆる「非愛国的なテロリスト支援者」たちは、もしその場で撃ち殺されるのでなければ、グアンタナモに送られることになるだろう。
このようなブッシュ支持者達が共和党を茶シャツ党【注釈:ナチ党のこと】に変身させた。彼らはイラン攻撃を待つことができない。なるべくなら核兵器を用いたほうがよい。ハルマゲドンにしびれをきらせている。一部の者達は、その邪悪さに対する支持によって「天に挙げられる」だろうと実際に信じ切っているほど傲慢さと独善性に満ち溢れている。
民主党員たちにとって「彼らの」党がブッシュの米国の中で居心地よくしていることがつまずきの一撃となっている。そして民主党はブッシュ政権によるイラク人に対する攻撃を止めるために、あるいはブッシュ政権のイラン攻撃を止めるために、何もしないだろう。
民主党員たちは議会の中でブッシュとチェイニーの両者を簡単に弾劾できるはずだ。弾劾が過半数の投票を必要とするのみだからである。上院では彼らは共和党の支持なしでは有罪の判定を下せないだろう。有罪の評定は上院議員の3分の2の賛成が必要だからである。たとえそうだとしても、議会における弾劾の投票は戦争への航海に向かう風を止め、無数の人命を救い、そして核ホロコーストから人類を救うことになるだろうに。
米国のためにならない戦争への民主党の共犯関係に対して様々な正当化と言い訳がなされてきている。おそらく最も有名な正当化は、民主党が2008年の選挙で圧勝するための共和党への非常に高い不支持率を作り出すために、民主党は共和党にその望むロープを投げ与えているのだ、というものだろう。
民主党員が、カール・ローブ【注釈:知っての通り、8月いっぱいで大統領補佐官を辞任する】やディック・チェイニーのような狡賢い者達が低い支持率の結果を理解せず選挙での完敗への道を盲目的に歩いているなどと考えているとは、信じがたいことである。ローブの離脱は戦術が無くなることを意味するものではないのだ。
それでは一体、米国国民、特に民主党支持の選挙民が拒否する政策に民主党が共謀していることを、何が説明するのであろうか。おそらく一つの解答が、ミネアポリス・セイント・ポール・スター・トリビューン(the Minneapolis-St. Paul Star Tribune)の2007年8月1日のニュースによって与えられるであろう。それは、民主党上院議員キース・エリソン(Keith Ellison)が「米国イスラエル教育連合会(the American Israel Education Federation:AIEF)に資金を与えられた私的な旅行」でイスラエルで1週間を過ごすであろうと告げている。そして「AIEFは、米国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の慈善事業組織なのだが、19名の下院議員を送り込んでイスラエルの指導者と会見させることになっている。そのメンバーの多くが民主党の新人議員であり、イスラエル首相エフッド・オルメルトおよび(傀儡の)パレスチナ大統領マフモウド・アッバスと会うことを予定している。この旅行に参加するベテランの民主党員は議会多数派リーダーのステニー・ホイヤーなのだが、彼はもう3回もこれに参加している。・・・。このイスラエル旅行はエリソンが議員として参加する2度目のものだ。」
スター・トリビューンによれば、共和党員のグループが、それにはミシェル・バックマン議員(ミネソタ州)が含まれエリック・カンター(ヴァージニア州)に率いられているのだが、すでにイスラエル入りしている。そのニュースによると、他の40名が8月の夏休みの期間にその2つのグループに続く予定である。そして「この年度が終わるころまでには、議会のあらゆるメンバーが全員、イスラエル詣でを行うことになるだろう。」この主張は言い過ぎかもしれないが、しかしそれはイスラエルによる米国中東政策の注意深い管理を表しているのだ。
世界のどこででも、特にイスラム教徒たちの間では、次のような疑念が広まっている。イラクに対する戦争の理由は終わることが無く、米国が必ずイランとシリアを攻撃する理由はイスラエルによるパレスチナの強奪に対するすべてのイスラム教徒反対派を破壊することであり、それはあらゆる人々を自分の祖国と何世紀もの間住んでいる土地から追い出して難民にする、ということだ。米国人たちは、自分達が単に石油の支配権をつかみ、テロリストの手からそれを遠ざけているだけだ、と考えるのかもしれないが、しかしそれはこの紛争に対する他の国々の見方ではない。
ジミー・カーターはイスラエルに歯向かった最後の米国大統領であり、実際にではないにせよ少なくとも公式に、米国外交はイスラエルとパレスチナの双方に対して平等に対処するべきだと要求した。カーター政権以来、平等な取り扱いは徐々に米国の中東外交政策から抜け落ちていった。ネオコンであるブッシュ/チェイニー政権は平等性のポーズすら放棄している。
これは不幸なことだ。軍事的な傲慢さは不成功に終わることがはっきりしているからである。以前の国務長官であり元参謀総長であるコリン・パウエルによると、米国軍は紛争に疲れ果てて「ほとんど崩壊状態」なのだ。やる気を失った陸軍士官学校出身のエリート達は30才台でさっさと陸軍から去って行ってしまう。荒廃が急速に押し寄せている。ベトナムでの戦闘に従事した米国海兵隊の士官だった友人が、最近私に次のようなことを書いてよこした。彼の息子が海兵隊の一部隊にいる。そこは9月に3回目のイラク派遣を控えて訓練中なのだが、どの小隊でも12名から16名が不足しており、派遣までにもっと多くの無断離隊者に見舞われるだろうと予測しているのだ。
ブッシュの「戦争皇帝(war tsar)」であるダグラス・ルート(Douglas Lute)将軍は、失敗した政策を見直すのではなく、徴兵制の復活を呼びかけている。ルート将軍は、米国をもっと多くの戦争と悪化しつつある長期の中東での軍事紛争に向かわせるという誤った中東政策を正さねばならない面倒さからブッシュ政権を救う目的などのために、米国人が軍隊での労役に舞い戻るべきではない、という理由が分からないのだ。
この政策が極めて狭い軍事産業の利益以外でいかに役立っているのかを見て取ることは困難だ。現行の軍事的傲慢の政策がイスラエルの利益に対して役立っていないことをイスラエル・ロビーが気付くようなことがあるまでは、この破滅的な政策を変更するための何をも為すことができないのは明らかなことだ。